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ランララ聖花祭・朝露の花園で三度…
ランララ聖花祭。
それは恋人達の為の日であり、そして。
彼らに大きな障害と試練が課される日でもある。
そしてここにも、そんなランララ聖花祭の試練に挑む男がいた。
彼の名はヨウ。今年で三度目となるランララ聖花祭を迎え、大切な人の待つ朝露の花園を目指して、試練を次々と突破していた。
何度目になるのか、もう数え切れないほどの試練を乗り越えた、その時……。
ヨウの目の前が開けたかと思うと、一面の花園が広がった。
そう、彼は見事に試練を突破したのだ!
「ふっ……。そう毎年毎年、ボロボロにされてたまるかよっ」
ガッツポーズと共に花園の奥を目指すヨウ。やがて彼の先に、白いドレス姿の女性が見えた。
「ミリィ!」
それこそ、彼が目指していた最愛の人。ミリィに間違いなかった。
「ふふっ♪ 今年もお疲れ様♪」
ずっとヨウが来るのを待っていたミリィは、そのまま彼に抱きつくと、彼の努力をねぎらうかのようにキスを贈った。
「はい、それじゃ今年も、ね」
やがてヨウから離れたミリィは、そう言ってチョコレートを取り出した。
愛情を、たっぷり詰め込んだチョコレート。
ヨウはそれを受け取ると、早速一口かじって……甘い物を口にしたからなのか、それとも、ミリィと一緒にいることで気が緩んだからなのか……ようやく疲れを感じ始めて、花園の一角に座り込んだ。
「なあ、ミリィ。膝枕してくれないか?」
「分かりました、いいですよ」
そんな彼の様子にくすっと笑って、ミリィも花園に座り、そのままヨウを膝枕する。
優しい風に乗って、ふんわり広がる花園の香り。
2人でこうして過ごしていると、なんだか、それだけで満ち足りた気分になれる気がする。
「こうしてここに来るのも三度目だね……」
これまで一緒に過ごした時間を思い返しながら、ふと、ミリィはそうヨウの顔を見下ろした。
「ああ。……来年も、再来年も、きっとここに来ような」
今まで共に歩んできたのと同じように、これからも。
そう頷いて語りかけるヨウに、ミリィは満面の笑みで頷き返す。
「うん。約束、だよ♪」
過去と同じように、未来も。
2人でずっと共にいたいと、そう願いを込めて。
笑い合う2人の間を、優しくて暖かい風が吹き抜けていった。
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