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想いは届くと…
ガルスタは、ゆっくりと夜空を見上げた。
空には美しい星が輝いている。
「書いた手紙は、贈り物は届いただろうか……」
ここにはいない、大切な妻を思い、呟いた。
一通の手紙。
そして、贈り物。
ガルスタの送ったものは、全て妻のアティの元に届けられていた。
開いた贈り物の箱の中には、スターサファイアのイヤリングと紅梅の口紅。
「大切にするわね……」
アティは、手紙を手に、そっと外に出た。
瞬く星を見つけて、思わず笑みを浮かべる。
「ガルスタは……星が、好きだから……。今も、星を見てるわね……きっと」
アティは側にあったランタンを手元に引き寄せる。
ランタンの暖かい灯りが、アティの手元にあった手紙を照らし出した。
あれから色々あった。
私はいつでも戦場に立つ。
きっと心配させているだろうな。
元気でいるか、アティ。私は生きている。
たとえ神であろうとも、私の想いを断つことはできない。
愛している、アティ。再び出会うその日まで、私は死なない。
たとえドラゴンであろうとも、私の想いを絶つことはできない。
「貴方は、止めても、戦場に行くのよね」
手紙を元に戻しながら、アティは少し寂しげに呟いた。
もちろん、アティはそんなガルスタの事を心強く思っている。
でも、心配が先に出てしまう。
もう二度と会えないのではないのかさえ、思ってしまう。
「……愛しているわ、ガルスタ。愛してる」
だから、とアティは流れる星に願いをかける。
どうか、無事で……。
つうっと、星が流れていく。
「流れ星……」
遥か遠くにいるガルスタの目にも、それが映った。
「アティも同じ星を見ているのだろうか……」
ガルスタは笑みを浮かべ、もう一度夜空を見上げると、ゆっくりと仲間のいる場所へ歩き出したのであった。
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