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一応17歳ですがなにか・・(怒
木漏れ日を受けて、さえずりの泉はきらきらと輝いていた。
辺りには小さな花も咲いている様子。
そして、響き渡る小鳥の歌声。
それはまるで、ここに来た恋人達を祝福しているかのよう。
ずっとローゼンシアにお世話になりっぱなしのウキョウ。
たまには謝礼をしようと、この日を迎えた。
「ウキョウさん、遅れてすみません」
「いや、気にする事はない。わたしも先ほど着いたばかりなのだから」
そのウキョウの言葉に、ローゼンシアも笑みを浮かべる。
と、ウキョウがさっそく、何かをローゼンシアの前に差し出した。
大きな升。
その中には、豆を思わせるようなチョコレートが山ほど入っていた。
「これは……」
「今までの礼だ」
受け取ってくれと、ウキョウは差し出して。
「ああそうだ。歳の数だけ食べていいぞ」
「歳の数……ですか?」
不思議に思いながらも、ありがとうございますと告げた後に、ローゼンシアは自分の歳の数分だけ、手に取る。その隣で、ウキョウも歳の数だけ手に取った。
「ん?」
ウキョウはチョコの数を見て、首をかしげる。
ローゼンシアは17個。ウキョウは65個。
「ローゼンシア殿、もう少し持っていってもかまわんのだぞ?」
「わ、わたしはまだ17歳ですっ」
断固としてその指摘を跳ね除けるローゼンシア。
けれど……こうして、ウキョウが自分の為にチョコを用意してくれた事がなにより、嬉しい。
さっそく、いただいたチョコを一つ食べて、美味しいと呟くローゼンシア。
「それはよかった」
二人は微笑みあい、チョコを一つ一つ大切に口に運ぶのであった。
そして数時間後。
「あ、ウキョウさん」
ローゼンシアは、チョコを食べ終えたウキョウに告げる。
「歳の数だけ食べるのは、今日ではありませんよ……」
「………そうなのか?」
こうして、二人の甘い時間は、ゆっくりと終わりを告げるのであった。
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