● Cute! Cute! Cute!

 緑色と白色の可愛らしいワンピースが並んで揺れる。
 ここは朝露の花園。
 可愛らしい花々が、人々を喜ばせている素敵な花園。
 そんな花園に二人の少女が遊びに来ていた。
 二人はちょこんと座り、辺りを見渡す。
「いい匂いだねー」
「ああ、そうだな……」
 一人は、緑色のワンピースを身にまとったアンナ。花の匂いが好きなアンナが、この場所を選んだのも、頷けるかもしれない。
 ここにはたくさんの花が咲き乱れ、それぞれの花から心地よい香りが風に乗ってやってくる。
 瞳からだけでなく、香りも楽しめるのだからと、アンナは思う。
 しかも隣には大好きなヴィータまでいる。
 アンナは満面の笑みを浮かべて、ふと、隣を見た。
 そこにいるのは、今日という日に誘ったもう一人の少女、ヴィータ。
 アンナに負けないくらい可愛らしい少女で、白いワンピースを着て、白い帽子を被っている。
 ヴィータの手には、お菓子の袋があった。
 先ほど、アンナの渡したプレゼント。中には愛情たっぷりのお菓子がいっぱい詰まっている。
 ヴィータはアンナと視線が合うと、僅かに微笑んだ。
 アンナも微笑まれて、また微笑み返す。

 と、ヴィータはお菓子の袋に視線を移した。
 袋をあけたとたん、甘い香りがふわっとヴィータの鼻先をくすぐった。
 それに思わず、ヴィータは僅かに笑みを浮かべた。
 袋の中から一つ、気に入ったお菓子を選んで、口に運ぶ。
 ぱあっと、笑顔になるのが、隣に居たアンナにも分かった。
「ん、うまいな、これ」
 むぐむぐと美味しそうに、ヴィータはお菓子を頬張った。

「………!!!」
 アンナはきゃーっと言わんばかりにヴィータを凝視していた。
 そして。
「もー、お菓子を食べるヴィータちゃんが、すっごくかわいいのーっ!」
 そういってアンナは、食べているヴィータをぎゅっと抱きしめ、さらには頬擦りまでし始める。
「う……」
 突然の恥ずかしい行為にヴィータは、照れてしまい固まっていた。
 口にはお菓子をくわえたまま。
「えへへ、ヴィータちゃんは、ほんとかわいいなー」
 まだまだ照れるヴィータに、アンナはその勢いのまま、また頬擦りするのであった。

イラスト:あららぎ風矢