● 2度目の聖花祭 〜これまでも、そしてこれからも〜

 丁度、一年前の今日……ランララ聖花祭の日に、ラムナとライは、恋人同士になった。
 幾度も迎えた世界の危機。
 その危機を二人は寄り添うように乗り越えてきた。
 深まる二人の絆。
 そして迎える、ランララ聖花祭の日。

「ここがさえずりの泉か……綺麗な泉だな……」
 ラムナはそういって、目の前にある泉を見つめている。
「ええ、とっても綺麗……。こういう場所って、心が潤いますよね♪」
 ライの言葉に、ラムナはああと、頷いた。
 と、ラムナは遥か遠くを見つめるかのように瞳を細める。
「あれから、もう1年も経つんだな……早い、な……」
 ラムナの言葉にライは僅かに笑みを浮かべた。
「うん、お付き合いを始めたのが、つい昨日みたいに思えます……」
 付き合い始めた頃を思い出したのか、ライはぽっと頬を火照らせ、照れたように俯く。
「いろいろあったけど……これからもよろしく頼むよ」
 ラムナはそういって、ライだけに聞こえるように。
「これからも、ずっと……」
 そう付け加えた。
 ライは頬を火照らせながら、俯いた顔を上げる。
「はい、もちろんです……これからもずっとずっと、傍に居てくださいね」
 そのままぎゅっと、ラムナに抱きついた。
「もちろん。ライがいない人生なんて、考えられないから、な」
 そういって、ラムナも抱き返す。
「それは私だって同じですよ……」
 ぽっとまた頬を火照らせ、ライも呟く。
 そんなライの頬に、ラムナの手が添えられる。
「ライ……」
「ん……ラムナん」
 ラムナはそっと、ライの唇に自分の唇を重ねた。
「んぅ」
 瞳を閉じて、それに応えるライ。
 長くも短くもある幸せな時間が過ぎていく……。

 そっと、互いの唇が離れる。
「改めて……愛しているよ、ライ」
「私も愛してます、ラムナん……」
 二人はもう一度、抱き寄せて。
 泉に映る二人の影が重なって、幸せそうに揺らめいた。

イラスト:摩宮靄羅