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絶対に秘密だから。
きちんとこの日に会えるよう、約束をしていた二人。
「トラスー!」
「ミゾレさん」
ミゾレとトラスは無事に、女神の木の下で合流を果たした。
きちんとお菓子を奉納した後、互いのプレゼントを交換する。
「トリュフですね」
「こっちはチョコレートだ♪ ありがとな、トラス!」
「いえ、喜んでもらえて嬉しいです。ミゾレさんも、トリュフ、ありがとうございました」
二人は嬉しそうにさっそく、一口つまむ。
「お、美味いっ!」
「このトリュフも、とても美味しいですよ」
顔を見合わせ、二人は微笑んだ。
「ミゾレさん……散歩しませんか?」
しばらく思案した後、トラスはそう提案した。
ただ、このまま帰るのはもったいないと思ったから。
「うん、どこ行く?」
「あちらの森に行きましょう。とても景色が良さそうです」
「じゃあ、行くか!」
快く承諾するミゾレにトラスも嬉しくなる。
二人は仲良く森の中へと入っていった。
きょろきょろと辺りを見ているのはミゾレ。
トラスはそんなミゾレの行動になんとなく気づきながらも、気づかない振りをしている。
「トラス、あっち行こう」
「はい、行きましょうか」
ミゾレは導く場所へとそのまま付いていくトラス。
そこは誰もいない奥まった場所。小鳥さえもいない、二人だけの空間であった。
「あ、あの……あのさ、トラス」
「なんでしょう?」
「そ、その……さっき、俺があげたトリュフ、ま、まだあるよな? ひ、一つ……くれないか?」
少し頬を染めながら、ミゾレは尋ねる。
「ええ、ありますよ。はいどうぞ」
トラスはそっと先ほど貰ったトリュフの箱を開けてやる。
ミゾレはそこから一つ手に取り、口にくわえた。
「ん……」
「え?」
「んっ!」
恥ずかしそうに頬を染めながらも、ミゾレはくわえたままのトリュフ。
ミゾレはそのトリュフがトラスの口元にいくように、一生懸命背伸びしている。
赤く染まる頬が、一層赤くなっているようだ。
「ミゾレさん……」
トラスも恥ずかしそうに頬を染めながらも、ゆっくりとその顔はミゾレの方へと近づいていく。
口から渡されたトリュフは、一人で食べるよりも。
もっともっと、甘く感じられた。
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