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♪花よりケーキ♪
朝露の花園に二つのパラソルがくるくる回る。
一つは白地に苺のパラソル。ストロベリィのものだ。
もう一つは、黒地に赤い薔薇のパラソル。イオンのものである。
二人は持ってきたケーキで、過ごす予定である。
綺麗な花はそっちのけで。
「良い天気でよかったですね、イチゴ様」
「ええ、今日はイオンさんとの楽しいデートですもの」
二人は程よい場所に敷物を敷いて、今日の場所を確保した。
綺麗な花が見られる場所。
だが、二人の目的は、花ではない。
どんどんどんっ!
持って来たバスケットからは、大量のケーキが姿を現した。
(「やっぱり、2本持ってきて正解でした」)
イオンはケーキと、持って来た2本の水筒を見比べた。
ストロベリィは沢山ケーキを食べるだろうと、前もって用意していたのだが、正解だったようだ。
さっそく水筒にいれたお湯を使って、お茶をいれるイオン。
「それじゃあ、いただきましょうか」
「では、いただきまーすっ!」
さくっとフォークでケーキを切って、美味しそうに頬張るストロベリィ。隣でイオンも美味しそうにぱくりとケーキを食べる。
「美味しーーっ!」
「ええ、とっても美味しいですよね」
二人は甘いケーキをひとつふたつみっつと……いや、まだイオンは一つだけ。
ストロベリィは、既に4個も食べている。
驚くべき、そのスピードで。
「あら? イオンさん……小食ね。もっと食べたら?」
「あ、では、その遠慮なくいただきます」
イオン、2個目のケーキを頬張る。その間にもストロベリィのケーキを食べるスピードは、目を見張るほどである。
「お茶も美味しいわね。こーゆーのって幸せだわ!! たくさん食べられるって若い頃の特権よね。ウチって幾ら食べても太らないから余計に無問題!!」
そういう問題ではないような気がすると、ストロベリィに新たなお茶を注いで、手渡した。
「あ。イオンさん、食べないならウチが代わりに食べてあげるわよ?」
「………イチゴ様、流石に食べすぎです」
こうして、ストロベリィはイオンの食べた数の4倍のケーキを食べて、今日のランララ聖花祭を堪能した。イオンは途中で気分が悪くなったようだが、まあいい。
幸せなひと時を楽しんだのだから。
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