●
今年もふたりで 〜あたたかい部屋でのんびりと〜
「ちょっと待っててね」
ルラはそう言うと、用意しておいたお菓子を取り出した。
去年は彼から自分が貰ったから、今年は私からプレゼントしよう。
そう決意して、レシピを見ながら頑張って手作りしたお菓子。
美味しく出来ているかな?
喜んでくれるかな?
どきどきしながら、綺麗にラッピングしておいた箱をカイジに差し出す。
「ありがとうございます♪ 今、あけても良いでしょうか?」
「うんっ」
ルラの返事を待って、箱を開けるカイジ。
ふんわりいい香りと共に中から現れたのは、チョコレートスフレだ。
「わ、美味しそうです〜♪」
嬉しそうに顔を輝かせて、思わずルラに抱きつくカイジ。そんな彼の様子がすごく嬉しくて、ルラも笑みをこぼしながら、ぎゅーっと彼を抱き返す。
「ね、食べてみてよ。……その、味はどうか分からないけど……」
少し不安の入り混じった瞳で見つめれば、カイジは大らかにそれを受け止めて「ルラさんの作った物なら、絶対美味しいですよ〜」と笑う。
「じゃあ、今一緒に食べましょう?」
「う、うん」
ちょっと強張った顔で頷くルラの前で、カイジはフォークを差し込んで。小さく切り分けたチョコレートスフレを口に運ぶ。
そして、一呼吸置くと……とびきり幸せそうな笑みを浮かべて。
「んー、やっぱり美味しいですよ♪」
そうルラに告げるカイジ。彼がそう言ってくれて、本当に嬉しくて。思わず「よかったぁ」と口に出しながらルラも笑む。
そして、ほーっと安堵の息を吐き出せば、目の前に、カイジが切り分けてくれたチョコレートスフレが差し出される。
「はい、ルラさんもどうぞ♪」
「うん……!」
彼の手から、ぱくりとチョコレートスフレを頬張れば、広がっていく甘い味。
一緒に広がる『しあわせ』な気持ちは、きっと、彼が隣にいるからこそ。
2人でいるから、幸せなのだ。
「今度は、わたしが食べさせてあげる」
ルラは目を細めながらチョコレートスフレを切り分けると、それをカイジの口に運んだ。
そうして、チョコレートスフレの最後のひとかけらが無くなるまで、2人は和やかにランララ聖花祭のひとときを過ごすのだった。
|
|