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ランララ聖花祭 〜 花冠 〜
ランララ聖花祭の日、マリアとジェフは朝露の花園にいた。
色とりどりの鮮やかな花々に囲まれて、彼らが何をしていたかといえば――。
「どうして、上手くいかないのかしら」
むむ、と眉を寄せるマリアの手には、上手く編めずにひしゃげてしまった花冠。
そう、2人は今、花冠作りに挑戦しているのだった。
「コツがあるんだよ、こういうのは」
難しい顔をするマリアの隣で、そう言うジェフの手元には、同じように編んでいる途中の花冠。でもそれはマリアの物とは違い、色々な花をバランスよく織り交ぜながら、とても上手に編まれている。
2人の手の中にある花冠の姿は、マリアの無器用さとジェフの器用さを、とてもよく表していた。
「コツ? どんな?」
「そうだねー……」
手元を見せながら、いくつかのコツをアドバイスするジェフ。
それを受けて、今度こそ! と気合を入れるマリアだが……やっぱり、上手く編めなくて。
「むぅ……」
何をどうしたら良いのやら、さっぱり分からなくて頬を膨らませるマリア。そんな彼女の頭に、ジェフは今完成させたばかりの花冠を載せた。
「これ……?」
「あげるよ、マリアに」
微笑みかけるジェフに、マリアは顔を赤くして。ちょいちょいと花冠に触れながら、隠し切れない嬉しさを滲ませてジェフを見る。
自分で上手く作れなかったのは、ちょっと悔しいけれど。
でも……ジェフからこうしてプレゼントして貰えた事は、とても嬉しくて。
マリアは、喜びを噛み締めながら……つい、じっとしていられなくて、傍らのジェフに抱きつく。
「え、えっ? マリア!?」
そんなマリアの仕草に、今度はジェフが赤くなる番だ。思わず慌てる彼を見ながら、マリアはくすくすと笑う。
だって……とっても幸せだから。
まるで胸の奥から溢れてくるかのように、自然と笑顔で満ちてしまうのだ。
「ありがと、ジェフ」
「……どういたしまして」
抱きついたまま告げれば、ジェフは照れ恥ずかしそうにしながらも、そう笑み返した。
小さな頃からの幼馴染で……何よりも大切な人。
あなたが、一緒だから。
朝露の花園で、たくさんの花々に囲まれながら過ごすひとときを、2人は噛み締めるのだった。
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