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甘味と幸福の一時
一足先に待ち合わせに着いたのは、アルトであった。
「カルは……まだみたいですね……」
女神ランララの木の下で、アルトはカルフェアの姿を探すが見当たらない。
もう少し待たねばいけないか。
そう思ったときであった。
「やは、アルト。お待たせ」
そこに現れたのはカルフェア。右手をぴっとあげて挨拶をする。
「あ、カル……♪」
二人は木の下で無事、合流を果たすのであった。
人が多く訪れる女神の木から少しはなれた場所。
「んー、この辺にしとく?」
「あ、は、はい」
アルトとカルフェアは、程よい木陰を見つけ、腰を下ろす。
アルトはちょこんと、女の子座りで。
隣に座るカルフェアはあぐらをかいて座っていた。
「良い場所、見つかってよかったですね」
「ああ。これも……アルトが側に居てくれるお陰かな」
「か、カルったら………」
そうカルフェアに言われ、アルトは頬を赤く染める。
「……カル」
緊張した面持ちで、アルトは持ってきたものを手渡した。
ハート型の箱に入った、甘い甘いお菓子。
「……あ、ありがと……」
「自信は、無いんですけどね」
箱を受け取り、カルフェアは赤くなりながらも、箱をじっと見つめていた。
「えっと……開けていい?」
渡された箱をじっと見つめたまま、カルフェアは尋ねる。
「はい、どうぞです」
アルトの許可を得て、カルフェアはすぐさま箱を開いた。
そこに入っていたのは、丸いトリュフ形のチョコレート。さっそく一つをつまんで、口の中へ。
「ん、おいし♪」
ものすごく幸せそうな顔で、そうアルトに告げる。
「あ、ありがとうございます♪」
アルトも照れくさそうに俯きながらも、笑みを浮かべた。
ぱくぱくとカルフェアは貰ったチョコを食べていく。
と、その手が止まり、アルトに差し出した。
「アルト、アルト。はい、あーん」
「ぁぅ……」
突然、差し出されたチョコにアルトは困惑ぎみの様子。
二人の甘い時間は、始まったばかり。
いたずらな恋人の悪巧みは、果たして成功するのか?
それは二人だけの素敵な秘密。
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