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闇ノナカ、光カガヤイテ
「……はぁ……」
星空を見上げながら、ユエンは思わずため息をついた。
待ち人が、まだ来ない。
待ち合わせの時間はもう過ぎているように思う。
そう考えただけでまた、ため息が零れそうだ。
と、そのとき。
「ごめん、ゆーちゃん！」
ヒカリが笑顔で、駆け込んできた。
「遅い！ 今、何時だと思ってんだ？ それとゆーちゃん言うな」
不機嫌そうにそう、ユエンはヒカリに訴えるものの……。
「12時でしょ、夜の。普通じゃん？」
ユエンの言葉は、まるっきり無視されている。特に後半部分が。
額を押さえて、ユエンはため息混じりに告げる。
「あのなぁ……これが普通なわけあるか？ 普通なら4時間前には寝とるわ！」
「ええっ！？ 4時間って……8時じゃん！ 子供！！」
驚くヒカリに。
「子供じゃねぇ！ 学者だ！！」
そういうユエンにヒカリは思わず頬を膨らませた。
「ゆーちゃん、四六時中寝てるじゃん」
その言葉に、ユエンは何も言い返せなくなる。
頭をくしゃくしゃと掻きながら。
「あー、解ったから。座れ」
「うんっ！」
ユエンは、ヒカリを隣に座らせた。
今は深夜。気がつけば、冷たい風も吹き付けてきていた。
と、ヒカリが身震いし、抱きついてくる。
「いきなり抱きつくんじゃねーよ」
「だって寒いもん」
ユエンはヒカリの頭の上に手を置き、理由になってねぇと呟いた。
「そーいえば」
「ん？」
「ゆーちゃん、何見てたの？」
ユエンはそっと、夜空を見上げて、ゆっくりと口を開く。
「あぁ……星の光を見ていた」
「星って、光ってるもんでしょ？」
すかさずヒカリが突っ込んでくるものの。
「ん。まぁ、な……星は、いつだって光っている……」
そういって、ユエンは僅かに微笑み。
「あ、ゆーちゃん笑った♪」
「笑ってねぇよ」
ヒカリの言葉に、ユエンは照れたように夜空を見上げた。
「笑った」
「笑ってねぇ」
「絶対笑った！」
しばしの沈黙。そして。
「はいはい」
ヒカリの頭をなでて、二人の言い合いは終わりを告げた。
嬉しそうに微笑みながら、ヒカリはユエンに寄り添う。
「ゆーちゃん、大好きっ」
「そーかそーか」
そういってまた、ユエンはヒカリの頭をなでる。
広い闇の中、一番輝く小さくて大切な星の『ヒカリ』。
それは空にあるのではなく、きっと………。
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