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forever with you
きらきら、きらきら。
ここまで手を繋いで歩いてきたアイギールとセラは、太陽の光を受け止めて、きらきらと輝くさえずりの泉を眺めていた。
「とても綺麗だな」
「ええ」
2人はそう頷き合うと、泉のほとりに腰を下ろす。
今日は、ランララ聖花祭。
ひだまりの下でセラが取り出したのは、この日の為にと用意したお菓子だった。
包み紙を開けば、その中には花をかたどったチョコレートが姿を見せる。
「お菓子は沢山ありますから、お好きなだけどうぞ」
「ああ、ありがとう。いだだくな」
微笑みかけるセラに頷いて、指先を伸ばしかけたアイギールだが、その手をそっとセラが遮った。
「……?」
その行動に、怪訝に首を傾げるアイギール。
問いかけるような彼女の瞳を受け、セラは口を開いた。胸の鼓動が、どんどん速くなっていくのを感じながら……。
「――あの、ご迷惑でなければ、わたくしが食べさせて差し上げたいのですけど」
頬を赤く染めて見上げるセラに、そういう事かと呟いたアイギールは、優しげな瞳で頷き返した。
「では……はい、どうぞ」
セラは包みの中から、チョコレートを1つ取り出す。
かすかな緊張と、それから、早鐘を打つように高鳴る鼓動。さっきと同じように……いや、それ以上に顔が熱くなるのを自分でも感じながら、セラはアイギールの口元に、チョコレートを差し出した。
「……やはり、少々恥ずかしいな」
ぱくりとチョコレートを食べて、そう苦笑するアイギール。自分が今した仕草を思い返すと、もうとにかく恥ずかしくて、自分の顔が赤くなっていくのがわかる。
2人は赤くなったまま見つめ合うと……やがて、どちらからともなく、くすくすと笑い出して。
「もう1つ、いかがです?」
「いただこう」
2人はお菓子を囲みながら、鳥達がさえずる泉を眺めて、ゆったりと流れていく時間を過ごす。
甘くて。ちょっとくすぐったくて……でも、とても幸せな時間。
アイギールも、セラも、口には出さなかったけれど、互いにそれを感じながら、2人だけの満ち足りた時間を楽しむのだった。
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