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ランララ聖花祭2008 〜黄昏時に〜
ゆっくりと、日が傾いていく。
そんな夕日を眺めながら、二人は互いに背を預けながら、その光景を眺めていた。
「綺麗な夕日やな……」
レインは呟くように瞳を細めた。
「ああ、綺麗だな」
同じようにヴォルスも瞳を細めた。
去年のフォーナ感謝祭も、二人きりで過ごした。
そして、今日も。
背中越しに伝わる暖かいぬくもりが、何だか嬉しくて、くすぐったい気もする。
「また、行ってしまうんやろ?」
思わず尋ねてしまう。
彼はバーレルの護衛士団に所属している。その護衛士団で持ち上がっているのは、フラウウィンド大陸への航海だった。
「まだ、考えているところだ」
振り返り、レインを見つめるヴォルス。
「………」
何かを言いかけて、レインは口をつぐむ。
たとえ、ここで止めて欲しいといえば、ヴォルスは止めるかもしれない。
でも、それでいいのか?
自分のわがままで、大切な人の冒険心をも止めてしまって良いものか?
「レイン……」
「ええよ。私、あんたが戻ってくるのを待ってるから」
それは、僅かな辛さを伴うもの。覚悟はしている。
「だから、約束や。無事に帰って来ぃや……」
レインの言葉に、ヴォルスは頷く。
「ああ、約束する」
その言葉にレインは顔を上げた。
「俺はお前を独りにはしない……そして、お前を守りたいんだ……」
だから、必ず帰って来ると、そう告げた。
「絶対やで……」
「もちろん」
気がつけば、空には星が瞬きはじめていた。
二人は空を見上げた。
もうすぐ夜になろうとしている空。
それを見上げていた二人の影が、ゆっくりと重なった。
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