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ふたり一緒に
好きになって、付き合い始めて。
いつまでも二人でいたいと言い続けてきた。
でも……言うだけでは、何かが足りない気がして。
だから……。
「……だからっ、その、もっと………こ、行動に現すべきだと……」
ジェドは心に決めた。
この夜のさえずりの泉で……。
「ええいっ、聞いてクスリさんっ! ……俺と、俺と結婚して下さいッス!!」
「……へ……えっ!?」
勢い良く握られた手にクスリは驚きを隠せずにいた。
ジェドの勢いあるその告白に、口は動いても言葉も出せずじまい。
クスリは自分の心を落ち着けるように、深く深呼吸をし、握られた手に自分の額を乗せた。
「……本当に、毎回ビックリしちゃいますね……」
「あはは、毎回心臓に優しくなくて、すんません……」
そう笑顔を見せて、ジェドはそっと片手を離した。そのままクスリの背中に手を回し、そっと抱き寄せる。
言葉も行動もまっすぐなジェド。
だからこそ、信じられるものがある。それに応えたいという気持ちも。
「……答えてくれますか? クスリさん」
真面目なジェドの声が響いた。その声にクスリがゆっくりと顔を上げる。
「……私で、良いのですか? まだまだ、未熟者ですよ」
そのクスリの言葉に、ジェドが即座に答えた。
「俺だって、未熟者ッスよ。足りない所、悪い所はまだまだあるッスから。一緒に教えあって、たまにはケンカもしたりして、そんで笑って直していきましょうよ」
ねっと、また微笑むジェドに、クスリも笑みを浮かべた。
「……至らぬ身ではございますが、よろしくお願いします」
その真面目な答えにジェドも深々と頭を下げた。
「こちらこそ。至らぬ所はまだまだありますが、良き伴侶となるべく精進させて下さいッス」
「一緒に、ですね?」
「もちろんッスよ!」
静かな泉の側で、きらりと輝くのは、金の指輪。
その指輪は今は、クスリの薬指にはまっていた。
ぽつんと、指輪に雫が落ちる。
嬉しくて幸せな……涙が落ちる。
そんなクスリの額に、ジェドはそっと口付けた。
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