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お菓子品評会
花畑に大きなシート。
そこには大小さまざまなお菓子が並べられていた。
無表情とは言えども、お菓子を物色している様子を見ると、ルシエルも喜んでいる……のだろう。たぶん。
お茶を飲み、お菓子をいくつか食べたのを確認した後、レインは、とっておきのお菓子を取り出した。
「自信作だから食べて」
出てきたのは、飴細工の乗ったチョコレートケーキ。
「チョコケーキ……」
静かにルシエルはそう呟き、レインから切り分けられたケーキを受け取る。
そして、もぐもぐとケーキを口に運んでいく。
でも、無言。
次第に不安になるレインが堪らずに尋ねた。
「……美味しい?」
もしかしたら、不味かったのかもしれない。
だが、その不安もすぐに消える。
「……美味しい」
その表情は変わらないままだったけれども、その声は嬉しそうな響きを感じて。
「よ、良かったー……」
ほっとしたのと、嬉しさと思わず笑みを浮かべるレイン。
がさごそと、今度はルシエルが何かを取り出した。
「……はい」
ルシエルが持ってきたのは、先ほど用意したものとは違うトリュフチョコにビスケット、そしてソースとクリーム付のクラッカー。
「予想はしてたけど、これはすごく嬉しい……!」
「……味の保障は、しないからね」
レインはさっそく嬉しそうに頬張り、一言。
「美味しい!」
表情は変わらないままだけれど、レインの目には、ほんの少しだけ嬉しそうに見えた。
(「ケーキが口に合うか心配だったけど、美味しくできてて良かったー。ルシエルからお菓子も貰えたし、こんなに幸せで良いのかなー」)
幸せそうなレインの隣でルシエルはこう思っていた。
(「レインのケーキ、美味しかったな……。リクエストすれば何でも作ってくれるらしいし、また作ってもらおう……」)
どうやら、また何かリクエストが来そうな気配。
ルシエルがそんなことを考えているとは思っていないレインは、幸せそうにルシエルのお菓子を頬張るのであった。
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