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幸福の情景 ― 日常の中にある至福 ―
「こうやって、ハルヒさんと２人っきりでゆっくり時間過ごすのって久しぶりだよねえ？」
「そうだね、確かに久し振りかも……」
カナメの言葉に、ハルヒは静かに頷く。
さえずりの泉を取り巻く木々の傍、カナメとハルヒは久し振りに過ごす二人の時間を穏やかに過ごしていた。
静かで穏やかな時間……ふと欠伸をこぼしたカナメに、ハルヒはおずおずと問いかける。
「ぅん？ えっと…膝枕、する？」
「え、ハルヒさん、いいの？」
「別に嫌な訳じゃないし……ダメな訳でもないし……カナメさんがして、って言うなら、膝枕くらい幾らでもしてあげるよ？」
「うわ……なんか凄く嬉しいかも……」
喜色を顔に浮かべたカナメに微笑し、ハルヒは膝をそろえてカナメを促す。
カナメは、柔らかいハルヒの膝にゆっくりと頭を乗せると、静かに目を閉じた。
「えっと……カナメさん？ 寝ちゃった？」
ハルヒの声にも、カナメは目を閉じたままだ。このまま寝かせてあげようと思いつつ、ハルヒは長い耳を軽く動かし、しばしの間考え込む。
（「起こしたら悪いよね？ 気持ち良さそうだし……うーん……そうだ」）
何やら思いついたように頷くと、ハルヒはゆっくりと歌い出した。
カナメも好きな、優しい子守唄。
歌声と共に、ハルヒの指先がカナメの髪をそっと撫でる。
（「ぅん？ ……あ……ハルヒさんが歌ってる……子守唄……？」）
歌声に気付いたカナメは、目を閉じたままに思考を巡らせる。
（「気持ち良いから、もう少しこのまま眠ってるふりしとこうかな……」）
もう少し、子守唄を聞いていたい。
そう考えるカナメだが、ハルヒはその気配の変化に気付いたらしい。
ふと歌声が途切れ、問いかけの声がハルヒの口から発される。
「カナメさん？」
「って、あーあ……ばれちゃったか」
目を開き、にこりと微笑んだカナメにハルヒの顔が真っ赤に染まる。
「もぅ！ 寝たフリなんかして！」
「ごめんごめん。だって、恥ずかしがってハルヒさん普段滅多に歌ってくれないし……」
「あぅ〜……だって…恥かしいんだもん」
赤くなりながらそう言ったハルヒは、僅かに赤らんだ顔でカナメを見つめると、
「でも……膝枕も子守唄もカナメさんの望みなら幾らでも叶えてあげるよぅ」
「ホント？ 言えばまた歌聞かせてくれる？ 膝枕も？」
コクリと頷くハルヒに、カナメは喜色を浮かべてその頬に手を伸ばす。
「やった♪ 絶対だよ？ 約束だからね？」
「うん、絶対……約束だよ」
約束を交わす２人を祝福するかのように、木々に止まった小鳥達は声を響かせるのだった。
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