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いつまでも共に……
「レイメイさんと、こうして並んで……ランララを迎えられるとは思っていませんでした。去年は一人で試練を乗り越え、周りの幸せそうな顔を見つめていただけなのに、今年は……その、こうして一緒に迎えられて……幸せです!」
ふたりで肩を寄せ合って、さえずりの泉の傍に座り、ニルギンが幸せそうな表情を浮かべる。
手元には白いハンカチが敷かれており、色とりどりのマカロンと、チョコレートクッキーが置かれていた。
「えっと……木の実をつかったマカロンです。一緒に食べてくれるとうれしいのですが……」
恥ずかしそうに頬を染めながら、ニルギンがレイメイにお菓子を渡す。
彼女から受け取ったマカロンを齧り、レイメイもニコッと笑う。
……ふたりが出会ったのは、1年半前……。
今までの出来事を振り返ってみると、自分達が思っている以上に色々な事があった。
ふたりで同盟諸国に起こった事などを話しつつ、何となくお互いの視線を合わせる。
「いろんな事が起こっていますけれど……私は、貴女の皆の笑顔の為に、頑張ります」
頬にクッキーをつけたまま、ニルギンがキリリッとした表情を浮かべた。
そのため、レイメイがクスクスと笑い、ニルギンの頬についたクッキーを取る。
途端にニルギンの頬が真っ赤になり、ふたりでクスクスと笑う。
しばらく、ふたりでのんびりした後、ふとした考えが脳裏を過ぎる。
……ゆったりと流れる平和な時間。
それを守るために、戦う冒険者達。
そう考えると、責任重大だ。
でも、だからこそ、あんな過酷な場所でも、希望を捨てずに闘い抜ける。
「冒険者になってよかった、と思うときってどんな時ですか?」
ゆっくりと空を見上げながら、ニルギンが独り言のように呟いた。
「私の場合は……こうして、みんなが平和に祭を楽しんでいる姿を見ていると……そう思うんです」
ニルギンが彼女を見つめてクスリと笑う。
心の中で『一番は、貴女の笑顔ですけれど、ね』と呟きながら……。
そして、ニルギンはレイメイにそっとキスをすると、彼女をつれて別の場所にむかうのだった。
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