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宝石言葉は?
色とりどりの花が恋人達を祝福するかのように出迎える。
そこは、朝露の花園。
デートでやってきたレナートとセイカは、子猫達を連れてやってきていた。
「誕生日おめでとうございます、レナートさん」
セイカはそっと、レナートに誕生日プレゼントを差し出した。
「ありがとう、セイカさん」
お礼を言ってから、レナートは中身を見てみる。
箱に入っていたのは、ペリドットと水晶を繋いで作られた、綺麗なお守り。
腰につけられるアクセサリーにもなるようだ。
レナートはさっそく、それを腰につけて笑みを浮かべている。
「さて問題。ペリドットの宝石言葉は?」
と、そこでセイカが、問題を出してきた。
「えーと、なんだったかな……」
むむむっと、真剣に悩むレナートに、セイカは慌ててこう付け加える。
「べ、別に答えなくてもいいですよ」
と、そのとき。レナートの頭に何かがひらめいた。
「……あ、夫婦愛だったかな」
照れた様子でそう答えるレナート。
「だから、全然答えなくてもよかったのに〜〜」
セイカは更に慌てた様子で、顔を真っ赤に染めている。
「嬉しいな」
そう嬉しそうな笑顔を見せるレナートに、セイカはまだあたふたしている。
「他にも『幸福』とか『信じる心』とか宝石言葉あるのに……っ! もう……好きに解釈して下さい! ちなみに正解は教えませんっ」
レナートがピンポイントで言ったその答えは、セイカを慌てさせるのに、充分な威力があったようだ。
この様子だと、セイカの心の中で決めていた答えは、レナートには教えないつもりらしい。
それに異論を唱えるのはレナート。
「おや、せっかく問題出してくれたのに、正解はなし? 正解のご褒美をしてくれると思って、頑張って考えたのに」
「しりませんっ!」
ときおり吹く優しい風が、草花を揺らしていく。
そして、二人の側では、子猫達も楽しげに戯れている。
まだレナートとセイカは何かを話していたけれど、草花は変わらず揺れていた。
そう、レナートの腰につけられた、あのお守りもゆらゆらと、ゆらゆらと。
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