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幸せな一日の終わりに
星屑の丘に二人は待ち合わせをしていた。
最初にたどり着いたのは、カイン。
けれどもカインは、すぐ別の場所に身を隠す。
やってくる恋しい人を今かと今かと待ちながら……。
数分後。ローラインが現れた。
きょろきょろとあたりを見渡す。
どうやら、カインはまだ来て……。
「ローライ……ああああ!」
どさりとカインが空から降ってきた。
訂正。カインが木から落ちてきた。
「カイン……様……?」
驚き硬直したものの、ローラインはカインへと手を差し伸べたのであった。
「来て下さって……ありがとうございます……カイン様」
緊張した面持ちで、ぺこりと頭を下げるローライン。
そして、持ってきたポシェットから包みを取り出した。
いつにも増して真剣な表情で見上げる。
「受け取って……いただけますか?」
「え? いいの? さっそく開けてもいい?」
カインの言葉にローラインは、こくりと頷いた。
包みを開けると、そこには美味しそうなトリュフが入っていた。
「わ、トリュフ! ありがとー♪」
とても嬉しがるカインにローラインも僅かに瞳を細めたようだった。
けれどもカインの喜びは止まることはなく。
「ローラインも♪ はい、あ〜ん♪」
「え?」
トリュフを一つ差し出して、あーんするよう催促するカイン。
ローラインは驚いていたが、おずおずと。
「あーん」
その口に甘いトリュフが入ってきた。
いつの間にか、甘い時間は夕暮れに染まっていた。
「ここ、見晴らしがいいんだよね……そうだ♪」
丘の上で眺めながら、カインは良いことを思いついた。
「……あっ……」
ひょいっとカインは側にいたローラインを抱き上げ、肩車した。
「今日はつきあってくれてありがとね♪ 楽しかった♪」
夕日に染まる風景を眺めながら、カインはそうローラインに告げる。
「わたくしも……楽しかったです……カイン様」
大好きなカインの肩車にローラインは、初めて微笑んだ。
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