● ランララ聖花祭〜星達に見守られて〜

 昼間の喧騒がまるで嘘のように、星屑の丘は静かな空気に包まれていた。
 その中でフウランはルシフィからプレゼントされた雪のローブを翻し、彼へのプレゼントを大切そうに抱え、嬉しそうに空を見上げてクルクルと回っている。
「あまり回っていると目を回すぞ?」
 彼女に優しく微笑みかけながら、ルシフィが『また風邪を引くと大変だからな』と言って、ローブのフードを頭に被せた。
「星が降ってきそうですの」
 夜空に輝く星々に心を奪われ、フウランが思わず丘の緩やかな傾斜に寝転んだ。
「ほんとだな、綺麗だ」
 フウランの頭が地面につきそうなところで素早く受け止め、ルシフィが彼女に膝枕をしてにっこりと微笑みかける。
「展望台の星と、この星は同じなのですよね……。いつもみていてくれる」
「そうだな、同じだ」
 共通のお気に入り場所にある星空を思い出し、ふたりで一緒に夜空を見上げた。
 こうやって夜空を見ていると、時間が経つ事すら忘れてしまう。
「でも、フゥのほうがもっと綺麗で可愛いよ」
 その言葉を聞いてフウランの顔が真っ赤になり、『もうっ!』と言って俯いた。
「はぃ……これ……。マカロン……ですの。……ビターチョコとココアパウダーだけだから甘くないはずですよ」
 恥ずかしそうに頬を染め、フウランが用意していたお菓子を渡す。
「それじゃ、遠慮なく貰っておくか」
 彼女にお礼を言った後、ルシフィがマカロンを食べ始める。
 フウランはそんな彼の様子を眺め、思い切った行動に出た。
「いつまでも……ずっと……傍に……。またつくりますから……」
 彼にすがりつくようにして首に手をかけ、フウランが自分の身体に引き寄せるようにして起き上がり、そのままルシフィの頬にキスをする。
「ずっと、一緒にいような……、俺の風蘭の姫君」
 ルシフィはその行動に暫し驚いていたようだが、フウランに優しく微笑みかけ、その気持ちに応えるようにして、彼女の柔らかい唇にそっとキスをした。

イラスト:オオタ