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暖かな場所
お日様の光が優しく降り注ぐ朝露の花園で、バゼットが気持ち良い陽気につられて、次第にウトウトとし始める。
さすがに眠るには早過ぎると思ったので、何とかして起きていようと思ったが、油断した隙に睡魔が襲ってきたため、花の絨毯をベッド代わりにして昼寝をし始めた。
「あら? バゼット……、寝てるの?」
そはれから、しばらくして……。
バゼットにチョコを渡すため、ラシェットがやってきた。
しかし、バゼットはなかなか起きてくれそうにない雰囲気。
(「……残念。眠っているのね」)
だからと言って、あまりにも気持ちよさそうに眠っているバゼットを起こす気にもならない。
そのため、ラシェットはその場にちょこんと座り、バゼットが起きるまで待つ事にした。
その途端にバゼットも同じようにして睡魔に襲われ、だんだん眠りの世界へと足を踏み入れていく。
(「せ、せめてチョコレートを渡すまで……、起きて……なきゃ……」)
そう自分自身に言い聞かせ、ラシェットが睡魔に抵抗する。
だが、隣でスヤスヤとバゼットが眠っていたため、遂にはぱたりと倒れて寄り添うようにして共に眠り始めた。
(「……人前で、こんなに無防備になるなんて、今まで無かった事なのに。……本当よ? あなたの側にいると、ホッとしてしまうから……。安心して気がぬけてしまうの。でも、嫌じゃないわ。暖かくて、なんだか気持ちが良いし……」)
薄く行く意識の中でバゼットに語りかけ、ラシェットが抱きしめるようにして持っていたチョコレートの箱を落とす。
「ふぁ……、よく寝た」
眠い目を擦りながら、バゼットが彼女と入れ替わるようにして、ようやく目を覚ました。
何故か横には、ラシェットの姿。
一瞬、バゼットも『あれ?』と思ったが、冷静になって考えてみると……、記憶に無い。
「な、なんでここにラシェットがいるの?! 何この状況!!」
そして、バゼットはおろおろとした様子で、自分の置かれている状況に、ただただ吃驚するのであった。
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