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らんらんらん
「うー、今日は寒いわさね」
カタカタと身体を震わせながら、リュティがぬくもりを求めてヴェオに擦り寄っていく。
そのため、ヴェオが不思議そうに首を傾げ、『ぅに? あったかいですなの』と答えたが、リュティは恥ずかしそうに頬を染めて『こ、ここは寒いんだわよ!』と断言をする。
「それに、こうやって一緒にくっついてれば、寒くないわさ」
言い訳気味に説明しながら、リュティがヴェオに寄り添った。
そこでようやくヴェオも彼女の気持ちを察し、『分かったですだよ』と答え、リュティと仲良く手を繋ぐ。
「あ、そうそう。あんまり料理とか得意じゃないけど、頑張ってクッキーを作ったわさ。これからはレディとして、料理とかもね〜、やって行かなきゃだわね、おほほほ」
自信ありげな態度をとりながら、リュティは笑い声を響かせた。
ヴェオも素直に『はい、とっても良く出来てますだよ!』と答えたが、リュティとしては納得の行く出来ではなかったので、驚いた様子で視線を返す。
「……えっ? そ、そう? いや、もう少し突っ込んでもいいんだわよ……。あんまり良い出来じゃないわさ、このクッキー」
だんだん申し訳ない気持ちになり、リュティが一気にテンションを下げた。
もしかするとヴェオが無理をしているんじゃないのか、と心配になったりもしたが、何故か彼はキョトンとした表情を浮かべている。
「ほ、本当に無理をしなくていいんだわよ。まだ慣れてないから、ちょっぴり変だってわかっているから」
自分りに言葉を選びながら、リュティがヴェオの本音を聞こうとした。
例え、褒めてもらっていても、無理をして嘘をついているのならば、まったく嬉しくないないからだ。
「ぅに? あ、わかりましたです、なの!」
リュティの言葉を誤解した様子で笑みを浮かべ、ヴェオが彼女にもクッキーを食べさせる。
「そ、そうじゃなくて! でも、悪くない味だわよ」
『……何か違う』と思いながら、リュティがヴェオと顔を見合わせクスクスと笑う。
その間もふたりの手は繋がれており、幸せな気持ちがふたりを包んでいた。
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