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大きな木の下で
待ち合わせ場所に、先にたどり着いたのはリエンだった。
「あ、リエンさんなぁ〜ん! 遅くなっちゃってごめんなさいなぁ〜ん」
「俺も今、着いた所だよ。それじゃあ行こうか」
後からやってきたナナと無事合流して、二人は広い場所へと移動する。
やってきたのは、大きな木の下。
さっそく、ナナはつれてきた猫を放してあげる。リエンも同じく、つれてきた猫を放す。二匹の猫はすぐさまじゃれあい、遊び始めているようだ。
と、ナナがリエン側に寄ってきて。
「今年も頑張ってきましたなぁ〜ん♪ じゃーん、なぁ〜ん☆」
そういって、ナナが手渡したのは、つれてきた猫達と、ナナとリエンをかたどったお菓子であった。
「ちょっと、食べるのがもったいないね」
嬉しそうにお菓子を眺めるリエンに、ナナはふふんと笑みを浮かべる。
「実は一工夫してあって、ここを持ち上げると……中に黒ノソチョコと白ハピタンチョコや、色々お菓子満載なぁ〜ん♪ これで安心して食べれるなぁ〜んね☆」
どうやら、抜かりないらしい。
「頑張ってくれたんだね、ありがとう」
リエンは嬉しそうに微笑んで、さっそくお菓子を選ぶ。
「それじゃあこれから……うん、美味しい」
「美味しくてよかったなぁ〜ん♪」
美味しそうに食べるリエンにナナも満足げだ。
「ナナも、ほら、あーん」
「なぁ〜んっ!?」
ちょっぴり驚きながらも、最後には。
「あーん、なぁ〜ん☆」
リエンに食べさせてもらった。
食べさせてもらったからには、お返しが必要だ。
そう思ったのか、ナナは作ったお菓子からチョコレートを選ぶと、その端を口にくわえた。
「どうしたの?」
「んー」
チョコをくわえてるため、声になっていない。だが、見ればわかる。
(「照れちゃうなぁ〜んけど……リエンさんに、た、食べてもらおうなぁ〜ん♪」)
そうやって、食べやすい方を差し出しているのだから。
リエンもすぐに気づき、緊張した面持ちでチョコレートに口をつける。
ゆっくりと二人は食べ始め、顔が徐々に近づいていく。
(「俺がしっかり、リードしなくちゃ」)
きっとナナもドキドキしているだろうと思い、リエンは安心させるかのように、しっかり肩を抱き寄せて、『最後まで』チョコレートを食べ切る。
それは、二人の唇が重なることも意味していた。
甘い甘い二人の時間。
お菓子はまだ、たくさん残っている。
そう、二人の甘い時間は、まだ始まったばかり……。
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