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花笑み、微笑み
「シュリアさん」
久しぶりにシュリアと会えた喜びに包まれ、ソアが彼女の名前を呼びながら駆け寄り、思わずぎゅっと抱きしめた。
シュリアもソアの姿を見て自然と顔が綻び、名前を呼ばれて抱きしめられた事に頬を染める。
「……お誕生日、おめでとう」
幸せな気持ちに満たされながら、シュリアがソアにプレゼントを渡す。
それは花々の中央で咲く、薔薇の花を模したショコラ。
まるで小さな庭園のような贈り物は、見ているだけでも心を和ませてくれた。
「ありがとうですー」
チョコレートを貰って、ますます幸せな気持ちになったため、ソアが心のまま飛びついて感謝をする。
その勢いでシュリアを巻き込み、花の絨毯に転がるようにして倒れ込む。
「ごめんなさいです、大丈夫……?」
心配した様子で声をかけ、ソアがシュリアに顔を見合わせる。
シュリアは小さくコクンと頷き、クスクスと笑い始めた。
その姿を見てソアも何だかおかしくなってしまい、彼女につられてふたりで一緒にクスクスと小さく笑う。
「ソア……。いつも、ありがとう」
そのまま手を繋いでころんと寝転び、シュリアがお揃いのブレスレットに視線を送る。
寄り添うようにして並んだブレスレットが、まるで自分達のようで何だか嬉しい気持ちに包まれた。
「こちらこそ、一緒にいてくれてありがとう……。ずっとずっと、大好きでいてくれてありがとう。いまは沢山の綺麗なお花に囲まれているけど、お傍のお花さんの笑顔が一番綺麗で素敵だと思ってますよ」
心からシュリアに感謝をしながら、ソアが最高の笑顔をプレゼントする。
そして、心を込めて、ゆっくりと……。
「大好きなのです」
と告白した。
そのため、シュリアも満面の笑みを浮かべ、
「シュリアも同じ気持ちだよ」
と迷わず答えを返すのだった。
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