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sweet * sweet
夫婦になってから、初めてのランララ聖花祭。
ランララ聖花祭には今までにも何度か参加した事があるのだが、今回のようにしっかりと計画を立て参加するのは、おそらく初めての事である。
そのせいか、恋人でいた頃よりも緊張し、逆にどきどきしているようだ。
一応、プレゼントはミリアからカイに手渡す予定になっているが、せっかくのお祭りという事もあり、ふたりとも別々の試練に挑み、さえずりの泉で待ち合わせする事になった。
幾多の試験を乗り越え、女神ランララの木にやってきたのは、ミリア。
どうやら、ミリアは朝早くから試練に挑んでいたらしく、カイよりも早く女神ランララの木に到着したようである。
ミリアは女神ランララの木にお菓子を奉納した後、待ち合わせ場所であるさえずりの泉にむかう。
さえずりの泉では沢山の鳥達がさえずっており、まるで泉が宝石のようにキラキラと輝いている。
「悪い、待たせたかな?」
それから少し経った頃、カイが試練を乗り越えて、さえずりの泉にやってきた。
「私もさっきついたばかりなの」
ミリアも笑顔を浮かべて答えを返し、人気の無い場所を選んで、横に並ぶようにして座る。
「はい、プレゼント」
淡い桜色の布包みに結ばれたピンクと赤いリボンを解き、ミリアがオレンジやさくらんぼのドライフルーツにチョコを絡めたお菓子をカイの口に持っていく。
カイは恥ずかしそうにあーんと口をあけ、彼女の手作りチョコを口にした。
「……何か、やっぱりこういうのは気恥ずかしいな」
程よい甘さに舌鼓を打ちつつ、カイが彼女にもチョコを食べさせる。
「そうね」
ミリアもそれが嬉しかったのか、とても幸せそうな表情を浮かべて、カイにコクンと頷いた。
そんなミリアの顔を見て、カイも照れた様子でクスリと笑う。
それから、ふたりで寄り添って小鳥のさえずりに耳を傾け、他愛の無い話をしながら、穏やかな時間を過ごす。
そんな何気ない事であっても、愛する人と一緒であれば、幸せを感じる事が出来るのだった。
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