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貴方と私の聖花祭
「あ、あのぉ……。こ、これ、クッキーですぅ……。が……、がんばって作ったのですけどぉ……。もしよろしければ、食べてくれますかぁ……」
女神ランララの木にクッキーを奉納した後、ポム達はさえずりの泉に移動し、先ほど奉納した物と同じ物をシャイレイルに渡す。
彼女が作ったクッキーは、どれも不恰好で、いびつな形をしている。
「うっ……、くっ……」
それを見てシャイレイルは一瞬、言葉を失ってしまったが、不器用な彼女なりに、一生懸命だった事が伝わってきた。
「が、がんばった……な」
『それにしてもすごいな』と心の中で思いつつ、シャイレイルが彼女に対して答えを返す。
だが、心に思っていた事が顔に出てしまったらしく、ポムが不満そうな表情を浮かべて大きく頬を膨らませる。
「ちゃんと味見はしたからぁ大丈夫ですよぉ〜……」
シャイレイルの身体をポカポカと叩き、ポムがクッキーの味を保障した。
さすがにここまで言われて、食べないわけにも行かないので、シャイレイルも覚悟を決めてクッキーを齧る。
しかし、クッキーは見た目に反して味はなかなかで、以前食べたクッキーの味よりも明らかに上達していた。
そのため、自然と笑顔になってしまい、むくれ顔になっていた彼女に、『美味しいぞ』と答えて頭をワシャワシャと撫でる。
「ほ、本当ですかっ! 嘘をついたら、承知しませんからね。でも、喜んでもらえて嬉しいです。これから先も、ずっと……、貴方と一緒にぃ過ごせたら、幸せですぅ〜」
シャイレイルの言葉を聞いて、とても嬉しい気持ちになり、ポムがその喜びを表現するようにして、背中の羽をパタパタさせた。
「ああ。ずっと共にな……」
彼女の羽が嬉しそうに動いていたため、シャイレイルもさらに嬉しくなって、微笑みながら答えを返す。
そして、ふたりは『この先もふたりでずっと共にいたい』と願いながら、目の前を横切るようにして飛んでいく、つがいの小鳥を眺めるのであった。
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