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幸せを伝える時間
……次第に日が沈み始めた頃。
ライカとアースは朝露の花園にあるベンチに、肩が触れるか、触れないかの距離に腰を下ろしていた。
普段は子供達と一緒にいるので嬉しい反面、なかなかふたりで一緒にいられる機会がなかったため、ふたりきりなれた事だけでも幸せな気持ちになっている。
「チョコレートを持ってきたんだが、一緒に食べないか……?」
持参した小さな包みを開け、ライカがチョコレートを取り出した。
このチョコレートは、ライカが隠れて作ったもの。
だが、アースは一生懸命になって作ったチョコレートを手渡そうとしていた矢先だったので、驚いた様子でおろおろわたわたとし始める。
「あ、あの……その、これからも私のことを好きでいてくれるってことだと思って……いいです、か?」
緊張した様子で顔を真っ赤にしながら、アースが思い切ってライカの気持ちを聞いた。
もちろん、ライカからどんな答えが返ってくるのか分からないので、怖い気持ちもあるのだが、ここで聞いておかねばチャンスがない。
「勿論だ。今だって、アースを想わない日はないから……」
思いがけない言葉を聞き、ライカが躊躇う事なく即答する。
「う、嬉しいです……」
あまりの嬉しさに笑みを浮かべ、アースが幸せな気持ちを彼に伝えた。
「それは俺も同じだ……。だから俺の気持ちを貰ってくれないか……?」
恥ずかしがっている様子も可愛い、と思いつつ、ライカが彼女にチョコレートを食べさせる。
アースも差し出されたチョコレートに顔を赤らめ、一度は拒否しようと思ったが、ここで断る理由がひとつも無いので、結局そのままチョコレートを口にした。
途端に幸せな気持ちが全身を包み、自然と笑みがこぼれていく。
「食べてくれてありがとう。……愛しているよ」
そして、ライカは彼女に愛を囁くと、優しく包み込むようにして抱きしめた。
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