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二人だけの聖花祭、女神の木下の逢瀬
「あ、あの……。これ、どうぞ」
女神ランララの木にふたりでお菓子を奉納した後、ライナが隣り合うようにして木の根元に座り、緊張した様子でクスハにお菓子を渡す。
まだ、ふたりは付き合い始めたばかりのため、辺りには緊張した空気が漂っており、御互い何か言葉を発するたび、照れた表情を浮かべて頬を赤らめている。
「せっかくですから……、私が食べさせてあげますね……」
恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、クスハが箱の中からチョコレートクッキーを取り出した。
クスハの作ったチョコレートクッキーは、どれも少々いびつな形をしていたが、彼女が一生懸命になって作った気持ちが伝わってくる。
それだけでもライナにとっては嬉しく、彼女をよりいっそう愛しく思えた。
「……えっ？ いいんですか？ それじゃ、遠慮なく……」
驚いた様子で彼女の顔を見つめ、ライナが恥ずかしそうに『あーん』と口を開ける。
「な、なんだか、恥ずかしい、ですね……」
いざ食べさせようと思った途端、クスハが胸をドキドキさせた。
何とか落ち着かせようとして、深呼吸をしてみたが、心臓の高鳴りが相手に聞こえてしまうほど、大きくなっていく。
その思いがライナにも伝わったのか、彼女と同じように赤面し、口元に運ばれたチョコレートクッキーを食べた。
（「……クッキーの形はいびつでしたけど、味はしっかりとしていますね」）
「おいしいです」
そのため、ライナは躊躇う事なく、素直な感想を口にした。
「ほ、本当ですか……。よ、良かった」
ホッとした表情を浮かべ、クスハがライナに視線を送る。
その途端、自分の感情が抑えられなくなり、不意打ちをするようにしてライナの頬にキスをする。
「あ、あの……」
そこまで言って、ライナが顔を真っ赤にした。
もう何も言う事が出来ないほどの幸福感。
ライナはその気持ちを彼女に伝えるため、クスハの身体をギュッと抱き締めた。
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