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星空・・ふたりでの夜・・
初めてのランララ聖花祭。
お互い緊張しながら、相手が来るのを待っていた。
それは恥ずかしくもあるが、とても幸せだと思える時間。
相手の事を考えているだけで、あっという間に時間が過ぎていく。
それでも、相手がなかなか来ないと思い、心配になって後ろを振り向くと、そこにいたのは愛する相手。
どうやら、ふたりとも待ち合わせの場所を勘違いしていた様子。
そんな事もあってお互い照れ笑いを浮かべながら、持ってきたチョコレートを交換した。
ヤイバは市松模様のクッキー。
フォンテは紅茶風味の生チョコ。
いつもと同じように何気ない会話をかわし、チョコレートを食べるふたり。
「……可愛い」
そう言われてフォンテに頭を撫でられ、照れるヤイバ。
そんなヤイバをフォンテは、『やっぱり、可愛いな』と思った。
その途中でヤイバが『どうしても外せない用事があるの』と呟き、フォンテの元を離れてしまう。
フォンテはその間、ヤイバが帰ってくるのを、ずっと待っていたのだが、彼女が戻ってきたのは、夕方が終わりにかかる頃……。
そのため、ヤイバもフォンテに対して何と表せばいいのか分からない感情を抱いていた。
満天の星空を見ながら、お互いの気持ちを伝え合い、抱きあう二人。
「じゃ、帰ろっか……」
星空の丘で愛を語り合っていたカップル達の姿が見えなくなったため、ヤイバが『そろそろ家に帰る時間かな』と思って立ち上がる。
本音を言えばもう少し一緒にこうしていたかったが、そこまで切り出す勇気が無い。
「うん……、帰ろう」
ゆっくりと右手を差し出すフォンテ。
ヤイバはその手を掴み、
「あっ、ちょっと待って」
と答え、フォンテの右腕をぐいっと引っ張り、彼の唇にちゅっとキスをした。
「さっきのおわび……かな?」
恥ずかしそうに答えるヤイバ。
「わっ……。はっ、早く帰ろう……」
今更ながら、赤面するフォンテ。
どんな反応をしていいのか分からず、彼女の手を掴んだまま、フォンテがその場から去ろうとする。
ヤイバはそんな彼を『可愛い』と思い、繋がれた手に少し力を込めるのだった。
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