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星屑の丘で〜これからもずっと…〜
「よくよく思い返してみれば、いままで色々とありましたね」
星屑の丘で夜空を見上げ、シルスがこれまでふたりで過ごした日々を思い出す。
初めてのフォーナ祭……。
孤児であるが故、家族への感謝を祝うフォーナ祭をいつも寂しく過ごしていたふたりにとって、忘れる事の出来ないとても素敵な夜になった。
初めてのランララ聖花祭……。
料理はまだまだ修業中だったキュールが一生懸命になって作ったお菓子。
どれも形は不揃いだったものの、たくさん思いが詰まっていたので、見た目が気にならなくなるほど美味しかった。
そして、星凛祭……。
まるで星空が降りてきたように錯覚してしまうほど、無数の蛍が光を放って舞っていた。
とても幻想的な光景に思わず心を奪われてしまったため、『また、行けるようになればいいな』という気持ちが過ぎる。
そのためには色々とやらねばならない事もあるのだが、同盟諸国の問題が片付くまでは、昔のように自由に行き来する事は難しそうだ
それ以外にもふたりで参加した依頼や、ドラゴンとの戦い……。
とても帰ってくる事が出来ないような戦いでも、キュールが傍にいたおかげで、余計な事を考えず頑張る事が出来た。
シルスにとってキュールは、は何物にも代え難い存在……。
例えどんな事があろうとも、彼女と離れる事など、考える事が出来ない。
「僕は……、キュールさんと出会えて本当に良かったと思っています。これから、どんな困難にぶつかるか分かりませんが、何があっても一緒ですよ」
彼女に誓いを立てながら、シルスがキュールの肩を抱く。
シルスはそんな彼女が愛しいと思い、そっと唇を近づけた。
「私……、今が一番幸せよ」
ゆっくりと目を閉じながら、キュールがシルスに身を預ける。
そして、ふたりは星空の下で、お互いの気持ちを確かめ合うようにして、優しく口付けをかわすのだった。
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