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花畑の中の小さな恋人達
「頑張って徹夜で作ったチョコだけど、美味しく出来たかな? クゥが喜んでくれると良いな♪」
楽しいそう鼻歌を歌いながら、ペオースが試練を乗り越えて朝露の花園に辿り着く。
少しでもクゥに喜んでもらうため、一生懸命になってチョコレートを作ったが、味見をしていなかったので、どんな味がするのか分からない。
しかし、隠し味として愛情がいっぱい詰まっているので、きっとクゥは喜んでくれるはずである。
しばらくして、朝露の花園にクゥがやってきた。
クゥはペオースの姿を見つけると、息を切らして駆け寄っていく。
「ごめんなさい。ちょっと、待ちましたか?」
その問いかけに、ペオースが激しく首を横に振る。
大好きな人を待っていたのだから、それが苦になるわけがない。
ぺオースは恥ずかしそうに頬を染め、真っ白なリボンでラッピングされた手作りチョコレートを取り出した。
「エヘヘ♪ 手作りだけど……気に入ってくれるかな?」
激しく尻尾を振りながら、ペオースがクゥに手作りチョコレートを渡す。
クゥは照れ笑いを浮かべてそれを受け取ると、真っ白なリボンを外して箱を開ける。
箱の中には額にハートマークのあるノソリン型のチョコレートが入っており、辺りにほんのりと甘い匂いが漂った。
「な、何度貰っても照れるのです〜」
ペオースから貰ったチョコレートを見つめ、クゥが幸せそうに答えを返す。
このチョコレートを貰う前は、『去年の時よりは恥ずかしくないかな?』と思っていたのだが、好きな人から貰う心のこもった贈り物は、何度貰っても嬉しくなって照れてしまう。
「今年もよろしくね♪ そして、来年もその次ぎの年も♪」
大好きなクゥの顔を見つめながら、ペオースがニコリと微笑んだ。
クゥもその笑顔に気づいて、自然と笑みがこぼれていく。
「今年もありがとうなのです♪」
優しくペオースを抱きしめながら、クゥが恥ずかしそうに頬を染める。
そのため、ペオースは自らの喜びを表すようにして、幸せそうに尻尾を絡ませていく。
「クゥに抱きしめられていると……僕……何だかとても落ち付く♪ こうやってペオースと一緒にいる時間は幸せなのです♪ また、一年仲良く付き合っていきましょうね♪」
いまの自分が幸せである事を実感しつつ、ペオースが改めて愛を確認し合う。
そんなふたりを祝福するようにして、風で舞った花びらがふたりを包むのであった。
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