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木陰の下で
試練の乗り越えて、二人は女神ランララの木の元にたどり着いた。
「このお菓子、とっても美味しいよ、リィアさん」
「そういってもらえると嬉しいです。ベスさんのお菓子もとっても美味しいですよ」
リィアとエリザベスの二人は、木陰に座り、自分達の持ってきたお菓子を堪能していた。
「それにしても……あのカップル、ちょっと気にならない?」
「あ、ベスさんも気になりましたか? 実は私も気になっていまして」
なかなか告白に踏み切れないカップルを見かけて、ずっと彼らを眺めている。
「男性の方と女性の方、どちらが先に言うと思います?」
リィアがエリザベスに尋ねる。
「うーん……そうだね。男性の方が積極的な感じはするけど、うまくタイミングが図れないみたいだね。女性の方はそれに気づきつつあるけど、相手のことを考えて待ってる感じがする……うん、やっぱり男性の方が先に告白しそうな気がする」
「よく見ているんですね」
エリザベスの分析力に感心するかのようにリィアが言う。
「そうでもないよ〜。こうじゃないかなと思ってみているだけだし」
「きっと、その分析力が冒険での戦いにも生かされているんですね」
「そ、それはちょっと言いすぎだよ……」
汗を浮かべながら、エリザベスが否定する。その様子にリィアはくすくすと微笑んでいる。
「なぁ〜ん」
と、のどかな鳴き声が。
ここにつれてきたノソリンが、自分にもかまって欲しいと鳴いたらしい。
二人は顔を見合わせ微笑んでから、ノソリンの頭を撫でてやるのであった。
お菓子を食べて、他愛のない話を楽しむ。
一番楽しくて、幸せな時間。
けれど、お菓子でお腹がいっぱいになったこと。
暖かい木漏れ日が心地よいのと。
ちょっとした疲れも手伝ってか、二人はうとうと、うとうとと……。
どちらが先で、どちらが後かはわからない。
そっと手を握りながら、ノソリンを枕にして、横になる。
うとうとと、うとうとと。
二人はあっという間に夢の中へ。
つながれた手の暖かいぬくもりを感じながら、素敵な夢をみているのだろうか?
かりかりと、エリザベスのペットのリスがお菓子を摘んで、二人を見た。
ぐっすり眠っているらしく、起きる素振りも見せない。
もう一度、かりかりと食べる音が響く。
そして、リスは不思議そうに首をかしげて、二人を眺めるのであった。
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