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〜文明の発祥点〜

四大文明攻撃失敗。撤退準備を……!

 ダイウルゴス内部で緊急議題が速やかに決定されようとした、その時だった。

「決議に賛同しよう」
 穏やかな声音と共に、ひとりの人間が、ダイウルゴス文明の中枢である、この「文明の発祥点」に足を踏み入れた。いや、それは人間ではない。八枚の翼を背負ったそれは……。

「魔石の統率者」、「ヴァンダルの始祖」、「八空覇王」、「生命にあらざるもの」……!

「そう、私がゾフィラーガ。ゾフィラーガ・ヴァンダルだ」
 はじまりのダイウルゴスに対しそう答えた男は、百匹のドラゴンを前に、悠々とその姿を現していた。
 彼の周囲は、見るもおぞましき『地獄』と化している。キマイラ塔がじっと動かず力を蓄えた事により、収穫を迎えた無数の「アヴェスタの種」。それが今、ゾフィラーガの手によって持ち運ばれ、ここ「文明の発祥点」までの道を作り上げていたのだ。

 だが、円卓の長である「はじまりのダイウルゴス」に、その光景に驚愕する余裕は既に無かった。突如として、頭部が謎の激痛に襲われたのだ。はじまりのダイウルゴスを持ってして抗いきれぬ程の力に、頭部がぎりぎりと歪められていく。

 激痛と共に、はじまりのダイウルゴスは全てを悟った。

はじめから、これが目的だったのだな!
お前は、虚無へ渡る術など持っていなかった! この樹は、私を殺す為に育てていたのだ!
それは、私の「能力」がお前にも利用できるものであり、それと同時に私が……!

「そう、その通り。お前が、一番『弱い』ドラゴンロードだったからだ」

 穏やかな笑みと共に、ゾフィラーガははじまりのダイウルゴスに向けて左腕をかざす。
 そして、彼の左手が固く握られると同時に、はじまりのダイウルゴスの頭部は弾け飛び、内部より一本の剣が引きずり出された。それこそが、ドラゴンロードの真なる中枢である。

 はじまりのダイウルゴスの体液と魔力に塗れた剣を手に取り、ゾフィラーガは残る99体のドラゴン達に宣言した。

「我ら百名の決議が無ければ、ダイウルゴスは動かぬのだろう? 我も撤退に一票を投じよう。緊急議題を決定するがいい」