≪【CLOVERS CAFE】≫RPスレ【四葉のお茶会】

 美しい庭園に敷かれた小路を辿れば白い家が姿を見せる。
 密やかに佇むその場所は、知る人ぞ知る、四葉の名を冠した一軒のカフェ。
 もう肌寒さを知る程度に冷えた秋風が窓を叩けば、深緑色で染められた制服の裾を揺らして、店員たちがカフェの中を行ったり来たり。お客様が途絶えた閉店の頃合い、今日は互いに対していたわりを向ける、ささやかなお茶会が開かれる手筈。
 勢いよく扉を開ければ、ふんわりと甘い香りが鼻腔をくすぐる。
 その正体が何かは考えるまでもない。
 店長が焼いてくれるスイートポテトは大好物のひとつ。
 甘薯の風味を生かした、余計なものがない素朴さを、大切に封じ込めた優しいお菓子。
 よく手入れされた庭園から、秋桜を両手いっぱいに摘んできた海天藍・エルヴィーネ(a36360)は、茶会の席につくより早く硝子の花瓶を捜し求める。
 そして、花を綺麗に生け終わる頃、今度は聞こえてきたものに耳を澄ませた。
 演奏を『イケメンの音』と評された宵藍・リュー(a36901)は、相変わらずの反応に小さく笑みを零し、よく使い込まれたヴァイオリンで暖かな色を綴るように曲を奏でる。
 美しい音を聞きながらのお茶会はとても贅沢な楽しみ。
 ミルクをたっぷり注いだ、優しい風合いの紅茶がテーブルに人数分揃う頃、みんなの差し入れも綺麗に切り分けて並べられる。風来の翼・リリア(a72539)が持ってきたのは、まるで小さな山を思わせるふうに、螺旋を描いて栗のクリームを搾り出した上に、白い粉砂糖を振りかけたケーキ。
 清麗なる空牙の娘・オリエ(a05190)が差し出したタルトには、生地よりも多いくらいの熟した無花果が載っていた。冬が訪れようという時期を考えれば、きっと干していない無花果を食べられるのは、今年これが最後の機会になるだろう。
 散り逝く者への子守唄・クローディア(a20766)は、柔らかに焼き上げたシフォンケーキに、それぞれクリームと楓の糖蜜を添えれば、やり遂げたような顔で安堵の息を吐き出した。自分が積み重ねてきた歴史を思えば、これは格段の進歩だろうかと多少の満足も感じられる。
 それぞれの顔で紅茶を飲む皆を見遣り、軽やかに跳ねる靴音・リューシャ(a06839)は微笑む。
 どんなに辛くとも苦しくとも、のんびりと安らげる場所でありたい。
 ここに託された願いは、今も叶えられている。小さなカフェに人が集い、いつしか賑やかな空間となり、共に笑い、喜び、励まし合い、そして、たくさんの思い出を作ってきた。
 紡がれた優しい記憶は、もう数え切れないほど。
 運ばれてくる甘さは幸せの味。
 これが、みんなを笑顔にする魔法。

 哀しくないのに涙が溢れ、誤魔化すように紅茶のカップに口付ける。
 魔法の効き目はいつも感じる。そして、変わらず叶い続けるとも知っている。
 この大切な時間は、ずっと、ずっと忘れないから。

 カフェを訪れたすべての人に心から伝えたい。

 ……『ありがとう』。
【マスター候補生:愛染りんご

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