●再会 「やぁ、みんな。久しぶり」 バーレル護衛士団が解散して、しばらく経った頃……。 ルシュドは、バーレル護衛士団で一緒に仕事をしてきた団員達と、久しぶりにバーレルの酒場で再会する事になった。 この酒場はガイの行きつけ。ルシュドもガイに連れられ、頻繁に通っていた場所である。 「皆さん、お変わりありませんね」 エルサイドの言葉を聞いて、その場にいた者達が笑みをこぼす。 「皆、元気なようじゃのう。本当に久しいのう」 そう言ってセレーネがクスリと笑う。 その視線の先には、大きな鍋。 鍋の中ではラルフがグツグツと煮込まれている。 ちなみにラルフは生命の書を使うつもりがないらしく、『もし生まれ変わる事があったら、正義のヒーローになりたい』と願っているらしい。 「そう言えば、他の皆さんはどうしているんですかね?」 開いていた席に座り、ベルローズが首を傾げる。 風の噂では、北方セイレーンの女王エメラダは相変わらずのようだが、グロリオサ護衛士団の団長セレンは、年貢の納め時だと思ったのか副団長のローズと結婚したようである。 ただし、浮気癖が治っていないので揉め事が絶えず、団員達にはそれが悩みの種だとか……。 「七色鶏冠の皆さんは、今も忙しいようですよ」 苦笑いを浮かべながら、ハルヒが七色鶏冠の近況を話す。 紫色の鶏冠団長シルキーは、レッグランブランドの新たな衣装を製作し、赤色の鶏冠団長シャモはいついかなる事があっても対処する事が出来るように団員達を鍛え中。 黄色の鶏冠団長コーニッシュは何故か平和になった今でも、患者が後を絶たず、逆に増えているためか、理由が分からず首を傾げているとか。 橙色の鶏冠団長コーチンは交易に本腰を入れて頑張っており、藍色の鶏冠団長レグホンは放浪癖があるせいか、頻繁に仕事を抜けだしている様子。 また、緑色の鶏冠団長プリマスロックはたらふく食べて、寝る生活を繰り返しているため団員達も呆れ果て、リョクを新たな団長にしようという動きがあるらしい。 そして、藍色の鶏冠ヒナイは……。 「そ、そろそろ落ち着きたいって言っているんですよね。最近、料理教室に通い出して、腕を磨いているようですし……。子供はたくさん欲しい……って、何を言っているんでしょうね。あはは……」 恥ずかしそうに頬を染め、ハルヒが乾いた笑いを響かせる。 既に結婚指輪を購入したので、後はプロポーズをするだけだが、なかなかキッカケが見つからない。 ヒナイもその事に気づいているため、もどかしい思いをしているのだろう。 「そう言えば、ガイ団長は元気っすかね」 心配した様子で、リョクが口を開く。 「みんな、もう集まっていたのか。遅れてスマン。ちょっと準備に手間取ってな。これから旅に出ようと思うんだが、一緒にどうだ? 身体もなまっているだろ?」 そう言ってガイがニコリと笑う。 その笑顔はあの頃と何ひとつ変わっていなかった。
【マスター候補生:ゆうきつかさ】
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