Cyborg─奇怪な機械─


<オープニング>


 崩れたコンクリート壁に囲まれた、瓦礫と鉄屑だらけの廃墟。
 捨て置かれた幾つもの機械が、黒い雨に打たれてバチバチと嫌な音を立てている。
『クク、クハハハハ! 遂に……遂に手に入れたぞ!』
 そこに、人ならざる黒い影がひとつ。
 それは意中のモノを手に入れた歓びから、雷鳴轟く空に向かい、上機嫌で嘶いていた。

 ……そう、影の正体はナイトメア。
 悪夢の欠片を手に入れた彼は、周囲の人々から悪夢を吸い取りまくり、たっぷり力を蓄えつつあった。
『ククク……流石吾輩、天才だな!』
 がっしゃがっしゃと瓦礫の中を駆け回り、壊れた機械の部品を踏み砕く。
 しかし、何かを思い出したかのように突然足を止めると……。
『おぉっと、遊んでばかりもいられない。いつ何時、愚民どもがこの欠片を奪いに来ても良いように、万全の策を練っておかねば』
 そう言って、鉄屑の中に眠る何かを起こすように、ガンガンと後ろ脚の蹄を鳴らした。

 ───ガシャ、ガシャリ。
 鉄屑の中からむくりむくりと起き上がる、鉄の躰を持った骸。
 LEDの目が光り、無数のギアが音を刻む。
『ギギギ……』
『ギギ……』
『よいか骸機兵ども、この地に悪夢の欠片を奪わんとする愚民どもが現れたら、完膚無きまでに叩きのめせ!』
 ナイトメアの号令に、骸機兵は目を強く光らせた。
 
 
「ハァイ、今日も集まってくれてアリガト♪ ね〜ぇ、みんなもやっぱり、サイボーグとかロボットとかに憧れたりした事ってあるのカシラ?」
 久慈・久司(高校生運命予報士・bn0090)はそう言って、集まった能力者達に視線を向けた。
 またナイトメアが現れた。
 悪夢に囚われてしまったのは、ロボットに興味を持ち始めた6歳くらいの男の子。どうやら、過日TVで見たSFアクションが、彼にはまだ刺激が強すぎたらしい。
「ナイトメアは、彼の精神を追い込んで、既に悪夢の欠片を手に入れているワ。そして、その影響は彼の周囲にも及んでいるの」
 このまま放置しておけば、悪夢は際限なく巨大化し、取り返しのつかないことになってしまうだろう。
 その為、一刻も早くナイトメアを打ち倒し、この悪夢を終わらせなくてはならない。
 
 久司の説明によると、ナイトメアが潜んでいるのは、崩壊した町の外れにある廃墟らしい。
「アナタ達には、まずは廃墟を目差してもらうことになるワ」
 黒いオイルの雨が降る町には、様々な形状のロボットが30体ほど彷徨いている。しかしどれも出来損ないで、体当たりくらいしかしてこない。特に警戒しなくても、簡単に蹴散らせる相手だろう。
 しかし問題は、廃墟にいるナイトメアと、彼の周囲にいる衛兵達である。
「ナイトメアのいる廃墟は、建物の大半が崩れ落ちていて屋根も何もなくなっているワ。唯一無事なのは、地下研究室へ続く扉。そしてナイトメアは、その研究室にいる筈なの」
 崩壊した建物部分には、ナイトメアが放った『骸機兵』と呼ばれる衛兵達が6体いる。鋼鉄で出来た骸骨に、機械の内蔵が詰め込まれ不気味なロボットだ。
 直接の打撃だけでも、町にいる出来損ないとは桁違いだが、それ以外にも口からレーザーを撃ってきたり、ケーブルで締め付けてきたり、近接した全ての者に電撃を発したりもする。
「それでも、アナタ達の力なら問題なく倒せる筈ヨ。でも……」
 軽く溜息をつく久司。
「廃墟には、球状の監視カメラが浮かんでいて、ナイトメアはそれで外の様子を伺い知ることが出来るのヨ」
「じゃあ、僕らの様子って筒抜け?」
 やや不安げに、風祭・遊(微睡み適合者・bn0161)が口を開く。
 臆病で小狡いナイトメアのことだ。もし状況が不利と分かれば、忽ち行方を眩ませてしまうだろう。
 そうさせないためには、何かしらの手段を用いてナイトメアを油断させておく必要があるのだが、だとしてももし研究室に続く扉を開かれるところを見られてしまえば、結局は逃げられてしまうことになる。
「一応ね、カメラに衝撃を与えれば、20秒くらいは画像を乱して音声だけにすることが出来るのヨ。でもあんまり頻繁にやっちゃダメよ? ……あっ、それと、もうひとつ大事なこと! この世界では、生身の人間は力を発揮することが出来ないワ。だからみんなも、サイボーグやアンドロイドになったつもりで戦って!」
「それって例えば、呪いの魔眼なら目からビームとか、僕だったら「電磁バリアー!」とか言ってサイコフィールド展開するとかでいいの?」
「そうネ、それでイイと思うワ」
 
 夢の中では、現実では起こり得ないことがごく当たり前に起きてしまう。また、夢の中で怪我をすれば、それが現実にも跳ね返る。
「いつも言ってることだけど……それだけは、絶対に忘れないでネ!」
 最後にしっかりと念を押し。
 久司は、能力者達を教室から送り出した。

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参加者
上城・雪姫(氷葬の弔華・b00301)
柊・海斗(漆黒に舞う闇夜の月・b15604)
幸田・泉水(琥珀色の夢・b22961)
烏森・メジロ(いつか月に行ってみたい・b26804)
今井・海里(明星の霊媒士・b30229)
関西・東(高校生クルースニク・b31521)
佐々・風(凪の空・b41049)
暗都・魎夜(かつてキングと呼ばれた男・b42300)
須賀・義衛郎(天を取る者・b44515)

NPC:風祭・遊(微睡み適合者・bn0161)




<リプレイ>

●起てよ夢幻のサイボーグ!
 カシャーン、カシャーン。
 黒い雨が降る灰色の町に、冷たい金属音が響き渡る。
 闊歩するのは人間ではなく、様々な形状をした出来損ないのロボット達。
 そこに、突如蝙蝠の群れが飛来した。
「半径20m動物型爆弾! 吹っ飛ばせ!」
 暗都・魎夜(かつてキングと呼ばれた男・b42300)の放った吸血蝙蝠……もとい、蝙蝠型爆弾が、雑魚ロボット達に炸裂する。
「Rock'n Roll!」
『ギギッ……』
『ガガーァッ!』
 続けざまに放たれる、須賀・義衛郎(天を取る者・b44515)のバレットレイン……ではなく、エネルギー弾。これで、忽ち7体のロボットが消し飛んだ。
 幸田・泉水(琥珀色の夢・b22961)は『玉鬘』と名付けられた呪髪っぽいピアノ線で、足を齧ろうとする鼠型ロボットを粉砕し、風祭・遊(微睡み適合者・bn0161)は幻夢の力を秘めた電磁バリアで仲間達を包み込む。
「リジェネーター発動!」
「電磁ナイフの切れ味、見せてあげるのね」
 関西・東(高校生クルースニク・b31521)が、機械仕掛けの大鎌を頭上でガンガン振り回せば、烏森・メジロ(いつか月に行ってみたい・b26804)は手にしたナイフで蛸型ロボットの足を切り落とす。
「ハイメガビィィィィム!」
 目から呪いのビームを発し、タクシー型ロボットを一撃で粉砕する佐々・風(凪の空・b41049)。一気にエネルギーを発したせいか、顔が少々赤い気がする。
『ヴモォーーーッ!!』
「行くよカナさん! 最終合体!」
 今井・海里(明星の霊媒士・b30229)は突進してきた牛型ロボットをかわし、やたらノリの良いポーズを決めるスカルロー……骨型ロボットのカナと華麗な最終合体を果たした。

 そう、今の彼らは銀誓館学園の能力者ではなく、悪の科学者『黒馬博士』と戦う、正義のサイボーグ戦士なのだ。
「さっさとガラクタにお戻りなさい」
「で、電光スピアーッ!」
「僕の身体と同じ素材の特殊金属鞭、受けてみる?」
 戦士達は、襲い来る雑魚ロボットの群れを、次々撃破していった。上城・雪姫(氷葬の弔華・b00301)と柊・海斗(漆黒に舞う闇夜の月・b15604)は、あいにく生身の人間であるため、この黒馬機奇械怪帝国では本来の力を発揮できていないようだが、この程度の雑魚相手なら、とりあえずは問題ない。
 そして、破損らしい破損もなく戦いを終えた戦士達は、とりあえずその場で軽く一息つくと、黒馬博士の待つ町外れの廃墟へ向けて走りだした。

●立ちはだかる骸機兵
 屋根のない、鉄屑の散乱する廃墟の中で、黒馬博士……ナイトメアは、前脚を器用に組んで嗤っていた。
『現れおったか愚民ども。ここまで辿り着いたことを、まずは誉めてやらねばなるまい。……しかし!』
 キィンと高く鳴らされる蹄。
 それに呼応するように、周囲に立っていた6体の骸骨型戦闘用ロボット『骸機兵』が、ギラリと赤い眼を光らせる。
『ククク……吾輩の頭脳の粋を集めて創り上げたこの骸機兵相手に、貴様等、果たしてどこまで持ち堪えることが出来るかな?』
 ナイトメアはそう言うと、球状監視カメラを宙に浮かべ、骸機兵を戦士達に嗾けると、自身は嗤いながら地下研究室へと去っていった。

『ギギ……』
『ガギギ……』
 耳障りな摩擦音を立てながら、骸機兵が迫り来る。
「ここまでの雑魚同様、あなた方もガラクタに変えてさしあげます」
 挑発的なポーズをとり、フンと鼻をならす泉水。
 そしていよいよ、骸機兵と正義のサイボーグ達の戦いの火蓋が切って落とされた。

 頭上で剣を旋回させ、海斗が前へ歩み出る。
「行くぜ! ダークマター、フルチャージ!」
 魎夜もまた、黒炎剣の高速回転でエネルギーをチャージするが、そこに骸機兵が激しい電撃を放ってきた。
「まずいっ、ショートする!」
「くそっ……くらえエネルギー弾!」
 バレットレインで応戦する義衛郎。泉水も合わせて、鋼鉄の牙で目前の骸機兵に齧りつく。
 海里は分離したカナを鞭型リモコンで操りながら、自身も攻撃を仕掛けるが、あと一歩というところで装甲板に阻まれてしまった。
「くらえ! エナジー・アブソープ!」
 傷んでいる骸機兵に狙いを定め、機械鎌で生命力を吸い上げにかかる東。斬りつけられた骸機兵は、ぎゅみんぎゅみんと腹からケーブルを伸ばしてきたが、幸い誰も絡め取られることはなかった。
「あ……アウェイクニング!」
 謎の電子音とともに、風の身体に虎縞模様が浮かび上がる。そこに2体の骸機兵が、左右から同時にレーザーを放ってきたが、どちらもほんの少し掠っただけで、大事に至ることはなかった。
「こうそくきっく発動!」
「いくよ、電磁バリアー!」
 骸機兵の背中に素早い蹴りをくらわせながら、さり気なく扉側へと移動するメジロ。遊もサイコフィールドを展開しつつ、横目で扉までのルートを確認する。
「趣味の悪い衛兵ですね」
 アビリティを温存し、斬撃だけで骸機兵に挑む雪姫だが、やはりサイボーグになりきれていない所為か、その攻撃力は普段のものとは程遠い。そして同じく海斗の剣も、幾ばくかのダメージを与えることは出来ているものの、やはり本来の威力は発揮できていないようだ。
『ギィーーッ!』
「暗都さん!」
 骸機兵のレーザーが、魎夜の肩を貫いた。
「うわーっ!」
 大袈裟に痛がって蹌踉めき、ドサクサに扉側へと移動する魎夜。
「くっ、此処までの相手とはひと味違うようですね……ですが!」
 泉水はやや大袈裟に顔を蹙めてみせると、バチバチと電気の火花をあげている骸機兵に鉄の牙を食い込ませた。
『ギ……、……』
 しゅぅっと静かな音を立て、動きを止める骸機兵。それを見た義衛郎は、一度目のカメラ揺らしを試みた。

 ザザー!
 ガガピー!
『ななな、何だ! 何事だ!?』
 モニターの突然の故障に、地下研究室のナイトメアは動揺し、一瞬椅子から立ち上がった。
『ま……まさか……』
 だが、そこから伝えられてくる音声に、ナイトメアはほくそ笑んだ。
 ──パワーが違いすぎる!?
 ──ゴメン……僕、もう動けない……。
 ──風祭のお兄さん、しっかりするのね!
 ──馬鹿な、こんなはずではっ!
 そして、ほんの20秒ほどで正常に戻ったモニターには、骸機兵に背中を撃たれ、蹌踉めき倒れる泉水と、既に力尽きたのか、扉の前に横たわる魎夜、遊、メジロの姿が。
『フフ……フハハハハ! 愚民どもが。吾輩に楯突こうなどとするから、そのような醜態を晒すこととなるのだ』
 ナイトメアは上機嫌で、再びゆったりと戦いを鑑賞し始めた。

 だが現実は、ナイトメアが想像したものとはまったく異なっていた。
 倒れ臥している4人は、実は殆ど傷を負っておらず、それどころか地下研究室の扉にかなり近い。そしてひどく苦戦しているように見える他の6人も、仕草や表情とは裏腹に、しっかり骸機兵にダメージを与えまくっていた。
 生身ながらも、黒燐蟲を纏わせた剣で必死に応戦する雪姫。義衛郎も、謎のエネルギー弾で着々と敵を削ってゆく。
「くっ……オイルが……!」
 海里の顔は油汚れで真っ黒だった。だがこれは、実はわざと自分で付けたもの。
『ギギギ……』
「負けられない、けどパワーが足りない……!」
「この程度でへこたれるな……!」
 骸機兵にレーザーを撃ち込まれた風だが、それをバッチリ防ぎきり、お返しにハイメガビームをくらわせていた。けれど、ひどくダメージを受けたかのようにわざと蹌踉めき、東もそれに便乗し、かなり厳しげな表情で彼女を庇う。
『ギーッ!』
「この程度っ……!」
 ケーブルに締め上げられた雪姫だが、すぐに振り切り、反撃の剣を横に薙ぐ。
 骸機兵の様子を伺い、再度エネルギー弾での削りをいれる義衛郎。
 冷却システムの不具合でも起きているのか、頬を真っ赤に染めて戦う風。
『ギギギギギギ!』
「カナさん!」
 電撃をもろにくらってしまったカナに、海里はすぐに治癒を施した。けれどうっかり素でかけてしまったため、回復量は今ひとつ。
 一方、電撃をかわした東だが、その苦悶の表情はまさに迫真の演技。
 そして倒れた振りを続けている4人は、ワンアクションで研究室へ突入可能な絶好の位置まで、さり気な〜く移動を完了させていた。
(「よし、今だ」)
 それを見た義衛郎は叫んだ。物凄く悔しげな口調で。
「ポンコツと侮ったか……!?」
 と同時に、自棄を起こしたように放ったエネルギー弾を、ドサクサ紛れにカメラに当てた。

 ザザザーッ!
『ぬぅっ、またか!』
 再び乱れた映像に、ナイトメアは顔を蹙めた。
 だが、そこに警戒心は微塵もなかった。
『フハハ。先程は確か4人だったが……さて、今回は一体何人が倒れているかな』
 音声のみを伝えてくるモニターを、ナイトメアはまるで勝利を確信したかのようにニヤニヤと見つめていた。
 故に、気が付かなかった。
 とうに事切れたと思われていた4人の戦士が、己の背後に現れていたことになど。

●黒馬博士の最期
「はんじゅうりょくぱれっと発動!」
『うぬぉおっ!?』
 さり気なくインフィニティー強化プログラムを起動させていたメジロが、ナイトメアを上昇気流で巻き上げる。
『ぐぬ……き、貴様ら一体……!』
「通りすがりの中学生型サイボーグだ!」
『そんなことは聞いてはおらん!』
 魎夜の答えに、ナイトメアは声を荒げた。そこに、泉水が妖しい光を放つが、これは惜しくも効果を及ぼさないままに消えた。
 だが、彼らの攻撃は、これで終わりではなかった。
「催眠電波、スイッチオン!」
『ぬぉ、ぅ……ん、ZZZZZ………』
 深い眠りに誘われ、バタリと横倒れになるナイトメア。
「良し、後は……!」
 泉水は眠るナイトメアを一瞥すると、皆の残る地上へと視線を向けた。

 その頃居残り班の6人は、先程までとはうって変わって、容赦ない攻撃を残る骸機兵に浴びせまくっていた。
 2度目のカメラ攻撃で、既に2体を巻き添えにして倒していたため、残る骸機兵は3体だけ。
「悪趣味な人形劇はこれにて終焉です」
 雪姫の放った黒燐蟲が、骸機兵の機械の内蔵を貪り喰らう。続けて海斗が更に黒燐蟲をぶつけ、ボロボロになったところに義衛郎がとどめの一撃を見舞う。
「は、ハイメガビィィィーーーム……ッ!」
 指の先まで紅潮させている風だが、その目から放たれた怪光線の威力は凄まじい。
『ギギ、ギィィ……!』
「遠慮なくいくぜ! エナジー・アブソープ!」
 先程とは違い、最小限の身のこなしでケーブルを避けた東は、風のビームによってへこまされていた骸機兵の鉄の頭蓋を、真っ二つに叩き割った。
「さあカナさん、僕達の番だよ!」
 海里の声に応じるように、骨型ロボ・カナが死神の大鎌を振るう。
 そして、何か雑霊っぽい古代文明の技術をアレして失われたはずの右手のエクトプラズムうんちゃらが、ロケットパンチとなって最後の骸機兵の心臓部を貫いた。
『ギ、ガ、ガ……ガ………』
 バチバチバチッと火花を上げて、完全に停止する骸機兵。
 この間、じつにほんの十数秒。
「よし、急ぐぞ!」
 全ての骸機兵を倒し終えた戦士達は、先に突入した拘束班の4人を追って、即座に地下研究室へと駆け込んだ。

 ───勝負は決した。
 ナイトメアは、突然投げつけられた暴走黒燐弾によって目覚めたが、その時にはもう四方を完全に囲まれていた。
『ぐ、むぐ……斯くなる上は……!』
 異空間への逃亡を謀ろうとするナイトメア。だが、戦士達の動きの方が、ナイトメアのそれよりほんの一瞬だけ早かった。
「こうそくきっく発動なのね!」
「くらえダークマター!」
「わたしのピアノ線の髪、味わってみる?」
「エネルギー弾もついでにね」
『ちょ……貴様ら、待……ぬぉっ!?』
「待ったはナシだよ。えーっと、エネルギーラーンス!」
「最後の生命力、吸収させてもらうぜ!」
「お前のかーちゃん違法サイボーグ! はい、ロケットパーンチッ!」
「ハイメガビィィィム……って、これで本当に最後よね!?」
 容赦の「よ」の字もない、凄まじい一斉攻撃。
 さしものナイトメアも、これにはひとたまりもなかった。
「悪は栄えはすっけど、すーぐ滅ぶのが世の常だよね!」
「絶頂の中で倒れていきなさいな」
 消えゆくナイトメアに向かい、ニッと笑ってみせる海里。冷酷な笑みを浮かべる泉水。
『ぐ、ぬ、ぬぅぅ……無念、ッ……!』
 黒馬博士とサイボーグ戦士達の戦いは、ここに、遂に幕を閉じたのだった。

●空想科学
 戦いを終えた能力者達は、晴れ晴れとした笑顔で地下研究室を後にした。
 降り続いていた黒い雨は止み、空には七色の虹が架かっていた。
「みんなすごい! 僕ら最強!」
 海里はカナの手を取って、満面の笑みを皆に向けた。
「これで、世界の平和と少年は守られた……なんてね?」
 キラキラ輝く空を見上げ、ふっと呟く風の頬は、まだ少々赤みが差している気もする。
「まさに悪因悪果、因果応報……ですね」
 肩の力を抜くように、雪姫が大きく溜息をつく。
「まったく、メカにならなきゃ戦えないなんて、悪夢ってのはやり難いぜ」
 ぐっと大きく伸びをして、胸一杯に雨上がりの空気を吸い込む東。
「そういえば、最近はSFやロボットの好きな女の子も多そうよね」
 そんなことを呟く泉水自身、もしかしたら、少なからず興味があるのだろうか。
「風祭のお兄さんと一緒に夢の中に立つのは久しぶりだけど、うまくいって良かったのね」
「うん、無事に片付いて本当に良かったね」
 ニコッと笑顔を向けるメジロに、遊も柔らかな微笑みを返す。
「こわがってた子、これでいい夢見れるかな?」
「ナイトメアも倒したんだし、多分大丈夫じゃないかな?」
 魎夜の言葉に、義衛郎が空を見上げて答えれば、皆もそれに倣うように、晴れ渡った空へ視線を向けた。

 空想科学が、これからも、少年少女達の素敵な夢であり続けますように。


マスター:大神鷹緒 紹介ページ
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いまいち
参加者:9人
作成日:2009/07/14
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