もらっとcafe☆フェス


<オープニング>


 大型連休特別企画。
 執事喫茶! わんこ喫茶! 大正カフェ!
 そのぜーんぶが味わえる贅沢なイベントに、白くてふわもこで悪戯好きのヤツラが現れた。

 会場の地階にある執事喫茶では、優雅な仕草で「お屋敷」を行きかう執事達を、訪れたお嬢様方(一部お坊ちゃまあり)が、うっとりと目で追う。
「お嬢様。お食事をお持ちいたしました」
 静々と執事が銀のクロッシュ(ふた)をあけると、濃密な芳香を伴った湯気……ではなく。
「もきゅ?」
 ビーフシチューの褐色をほっぺのうずまきにひっつけた白い毛玉が1匹。
 1階は和菓子メインの大正風カフェ。女給さん達がお盆を手に大忙し。ところで厨房では、和菓子職人さんと女給さんが首を傾げていた。
「職人さん、柏餅もう切れちゃいましたか?」
「あっれ? 先ほどそこにたんまりとこさえておいたんですが……」
 そんな厨房からぽよんぽよんと跳ね出てきたのは、満足げな顔のふかふか毛玉。
 建物の外は草原で、わんこと触れ合えるスペースだ。
 わんこたちも元気よく走り回ってい……おや。
「もっきゅきゅきゅきゅきゅ〜♪」
 わんこ達を追っかけまわして喜んでいるのは、白い毛玉のモーラット。迷惑この上ない。

「小さな館って……収容人数150人で言われてもねぇ」
 星崎・千鳥(中学生運命予報士・bn0223)は『浪漫cafe☆フェス 〜大草原の小さな館〜』と描かれた千代紙のチケットを見せると続ける。
「今回は、節操無さが炸裂するイベント会場に現れたモーラットを捕まえてきて欲しいんだ」
 時はゴールデンウィーク。
 都内から少し外れた場所で、執事喫茶と大正風カフェと犬とふれあい喫茶をくっつけた剛毅なイベントが行われているのだという。
 そこにモーラットが3匹現れて悪さをしているようだ。。
「今のところ怪我人は出てないらしいんだけどね。追いかけられたモーラットが火花を出したらそうもいかないし、なにより世界結界によくないからさ」
 モーラットにそのつもりがなくても、大事に発展しかねない。
「3匹のモーラットは出現場所が決まってるんだ。だから見つけやすいと思うよ」
 千鳥曰く。

 1匹は地階の執事喫茶で、料理の中に潜んでは食い荒らしいている。
 1匹は1階の大正カフェで、和菓子を食い荒らしいている。
 1匹は外で、犬を追い掛け回して遊んでいる。

 だ、そうだ。
「モーラットは能力者を見ると寄ってくるから、これに入れて捕まえてきてくれるかな?」
 千鳥は、カスリ模様の布で作った巾着と花飾りをあしらった籠とスポーツバックを取り出した。それぞれ大正、執事、わんこ、に合わせたのだろうか。妙なところで細かい。
「捕まえた後は、改めてイベントを楽しんでくるといいよ」
 執事喫茶で上流階級気分を味わうもよし、大正カフェで当時の高等遊民ぶって議論にわくもよし、わんこと転げまわるもよし。もちろんそれ以外だってOK。楽しみ方はキミ達次第だ。
 ちなみに。
 わんこのお持ち帰りは無理だが、執事喫茶からは『老執事が焼き上げたスコーン』を、大正カフェからは『柏餅(こいのぼり)』をお土産に出来るらしい。
 ――それぞれこの日この時しか買えない限定品だ。口コミでは極上の味らしい。大事な誰かにあげると喜ばれるかもしれない。
「んじゃ、いってらっしゃいませ、ご主人様」
 恭しさの欠片も無く、いつもの口調で千鳥は能力者達を送り出すのであった。

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参加者
桜宮・桃(緋猫の恋詩・b21221)
彼岸花・紅葉(旅鴉・b31310)
三枝・留萌(虹描く筆・b32115)
霊門・稀(小学生貴種ヴァンパイア・b47674)
志水・みゆ(高校生ヘリオン・b53832)
城段・絵梨奈(炎のエロ子・b61265)
壱目・侑李(朱色錯綜・b62347)
小野瀬・謙(トゥールビヨン・b62891)
高梨・藺草(宵闇の唄・b62998)




<リプレイ>

●豪華絢爛・ふぇすてぃばる
 目に入るのは、一抱えもあるような支柱に2本に渡された『浪漫cafe☆フェス〜大草原の小さな館〜』ののぼり。
 前方に鎮座まします西洋建築は、明治〜大正に名を馳せた迎賓館、かの鉢鳴館をモチーフに特別に作られたらしい。
 チケットを受付で渡し芝生を踏みしめると、胸いっぱいに爽やかな緑の空気が満ちた。ふわりと浮かれた気分に捕われそうになるが、きりりと気持ちを引き締めよう。まずはお仕事お仕事!

●犬追いモラ
「モーラットって可愛い見た目なのに悪い子なんだね!」
 くっと胸のところで両の拳を握るのは、壱目・侑李(朱色錯綜・b62347)だ。
「やれやれ、人に迷惑をかけるのは頂けぬな」
 予報士から預かったスポーツバックをぶら下げて、彼岸花・紅葉(旅鴉・b31310)はついっと芝生を見渡す。さてさて件の悪戯毛玉は一体どこだろうか?
(「こっちだ」)
 気流を纏い一般人からは姿を消した小野瀬・謙(トゥールビヨン・b62891)が、右斜め前方から2人を手招きする。ついっと指差す先を見ると……。
「「「「わふわふわふわふっっ」」」」
「もっきゅきゅきゅ〜♪」
 柴犬、ゴールデン・レトリーバー、コーギー、ラブラドール・レトリーバー……様々な犬種が入り乱れながら、芝生を疾走しているのが目に入った。周囲からは驚きの声があがり、逃げようとした子供が転んだりもしている。
 もちろん原因となっているのは、後ろから追いかけているモーラット。全身で楽しそうに転げている様は、自分が迷惑になっているなどとは夢にも思っていない事だろう。
 3人は視線を交わしこくりと頷く――これはとっとと捕獲しないと大事になりそうだ。
 まずは姿を消した謙がモラに近づいていく。能力者に興味を持つモラの習性を利用して、人目につかない場所への誘導するのが狙いだ。
「も〜きゅぅ〜??」
 転がり走る足を止めて、モラは人が首を傾げるように体を斜めに傾けて謙を見た。
(「よし、かかった!」)
 モラの興味を引きそうな綺麗な色の飴玉を鼻先にちらつかせ、誘うように歩き出す。いざなう先は、侑李と紅葉がスタンバっている屋敷の影だ。
 たまに立ち止まる謙に、跳ねるようについてくるモーラット。手にしているキラキラ飴玉が気になるご様子。
「そうそうモラちゃん、こっちおいで〜良い物あげるから♪」
 侑李も踏み出すと紅葉が持ってきた香りが強めのバニラクッキーをひらめかす。
「もきゅきゅん♪」
 風に乗って届いた甘い香りに惹かれたのか、更に素早く跳ねて毛玉はぱくっと侑李の手のクッキーに食いついた。
「もっと欲しい?」
 にこーっと笑うと、ほっぺにクッキーの欠片をひっつけたモラに問いかける。
「もきゅ!」
「じゃあこっちにくるでござるよ」
 紅葉は全開のスポーツバックにクッキーを散らすと「ほーれほれ」と誘うように入り口をもふもふと動かした。
「もきゅうう〜☆」
 きらきらきら。
 つぶらな瞳を輝かせてスポーツバックに突っ込んでくる毛玉さん。
 1匹目、捕獲!

●上流階級なモラ
 一方、鉢鳴館を模した西洋建築の地階。
 階段を下りたお嬢様方は、ドアマンよりグループごとにいくつかのブロックへと案内された。傍らにはふかふかのソファ、目の前には大きな扉。
「え、ええと……扉が開かなくて中に入れないんですが……」
 城段・絵梨奈(炎のエロ子・b61265)は、落ち着いた風合いのノブに指をかけ、傍らの志水・みゆ(高校生ヘリオン・b53832)に疑問を呈する。
「帰宅するお屋敷のイメージですから、向こうの準備が出来るまで鍵がかかっているみたいですよ」
 みゆはリーフレットを開きながら、穏やかに微笑み答える。
「成程……」
 感心したように頷く絵梨奈を横目に、霊門・稀(小学生貴種ヴァンパイア・b47674)は一体どんな躾の執事が出てくるのやらと興味津々だ。
 一応程度の貴種とはいえ「礼儀作法」は完璧に叩き込まれている。バイト執事如きに遅れは取らない。
 がちゃり。
「お帰りなさいませ。お嬢様、お坊ちゃま。遠い所をさぞやお疲れでしょう、どうぞ」
 若い執事(フットマン)が開くドアの向こう、柔和な笑みと共に出迎えた老執事に、稀の唇から「ほう」と感嘆のため息が漏れた。
 声を聞くだけで「あぁ、帰ってきたんだ」という寛ぎの気持ちに満たされる。作法にうるさい稀だからこそわかる……仕草からにじみ出る礼儀は決して付け焼刃の物ではない、と。
「あ、ありがとうございます」
 恭しく差し出される手に荷物を預け、気恥ずかしさで身を竦める絵梨奈とみゆ。
「本日は、とても香りの良いアプリコットティがお勧めですよ」
 その緊張をほぐすように、老執事は優しく声をかけた。
 先導されたのは、シャンデリアの淡い光が飾られるアンティーク家具に琥珀の彩を添える空間。一行はレースのカーテンで仕切られた角の席に案内された。
 現実から切り取られたような佇まいに、ほわほわと夢見心地な女性陣。しかし彼らはいきなり現実へと引き戻される。
「きゃっ!」
「大変失礼いたしましたお嬢様。お怪我はございませんでしょうか?」
 カップが落ちて割れる音とあがる悲鳴。すかさず駆けつけた老執事がなだめているため大騒ぎにはならないものの、紅茶を零し半泣きのお嬢様。せっかくのお出かけなのに……とても胸が痛む光景だ。
「もきゅ〜♪」
 もちろん、騒ぎの主役はそんな事はどこ吹く風で次の得物を探してうろちょろうろちょろ。
「むむ。悪戯っ子発見です」
 絵梨奈は取り出した籠にお菓子を割りいれる。みゆは席を立つとモーラットを誘うように手にクッキーを持って近づいていく。
「こちらですよ……」
 何事かと近づいてきた執事には稀が手短にオーダーを済まし、呼ぶまで持って来ない様にと告げ人払い。
「もきゅきゅ?」
 能力者のみゆに興味を惹かれた毛玉は、ぽよんっと跳ねて角の席へとやってくる。ほっぺについたおいしそうなブラウンの染みが、既に朝食は済ましたのだと物語っている。
「ほーら、おいでおいでー」
 お菓子で一杯の籠を床に置くと、モラはあっさりとその中に入り込んだ。素早く絵梨奈が籠の蓋を閉じた。
 かりかり、かさかさ。
 閉じ込められたというのに、くいしんぼのモーラットはクッキーを頬張るのに夢中で気づかない様子。みゆはそっと指を差し入れて撫でる。
「……わ……ふあふあです。綿毛みたいで気持ちいいですね」
 2匹目、捕獲!

●大正浪漫なモラ
 最後のモーラットは1階のフロアを使った、ここ大正風カフェに居るという。
 すわり心地の良いソファが向かい合うようにしつらえられたブロックが並び、そこを和服に白いエプロンの女給さんが行きかっている。
 壁には右から始まる横文字のポスターなど、当時の文化を模したアイテムが散らされる――ここは帝都、大正13年。
 そこかしこで女中さんと記念撮影に興じたり、追加料金を払って女給さんのコスプレをしたりと賑やかだ。
「見事なものだな」
 漆黒のコートにアクセで身を飾った高梨・藺草(宵闇の唄・b62998)は、静かにそう呟いた。内心ははやく店内を探索したいと興味津々だが、クールな見目からはとてもそうは感じない。
「こんなに楽しそうなんだもん、モーラットが来ちゃうのも分かるな」
 桜宮・桃(緋猫の恋詩・b21221)はモーラットピュアのうずまきを頭にのせてうんうんと頷く。
「迷い子の野良モラさんたちも楽しみたいのでしょうねぇ」
 同じく真・グレートモーラットのコロンを連れた三枝・留萌(虹描く筆・b32115)も、桃に同意した。それぞれモーラット使いとして、彼らの気持ちはとーってもわかる。
「わー内装もすごいなー。可愛いなぁ……っとと、モーラットモーラット。どこかな〜?」
 きょろきょろと見回す桃の目に、家族連れの柏餅を横からジャンプしてぱく! そんな白いふわもこさんが映る。
「あ! いた!! うずまき、お願いね!」
「きゅ!」
 桃が頭の上の相方に声をかけると、跳ね降りたうずまきが柏餅モラを誘うべく近づいていく。
「高梨センパイ」
「ああ。準備はOKだ」
 留萌の呼びかけに、藺草はカスリ模様の巾着を開いて見せる。中には甘いお菓子が一杯だ。
「もきゅ、きゅぅ?」
 柏餅から顔をあげたモラは、もふっとぶつかってきた自分の仲間に気がついて顔をあげる。
「もーきゅー」
 遅れてコロンも柏餅モラにすりよった後で、自分の主人の方へと跳ねていく。
「よぉし……こっちですよぉ」
 コロンの頭を「よしよし」と撫でると、留萌はチョコレートをひらひらっと振って誘ってみる。
「おいでおいでー。こっちにも美味しいのあるんだよ」
 とんとんっと巾着を叩くと桃も楽しそうに声をかけた。
「さすがだなぁ、2人とも……」
 手馴れたモーラットの扱いに、藺草は感心しきり。
「もきゅー♪」
 誘ってるつもりなのか自分が惹かれたのか、うずまきは巾着の元に行くと手を伸ばし中のクッキーをさくさくと頬張り始めた。
「もきゅきゅん♪」
 コロンも留萌の手からチョコを貰いぺろぺろと舐める。
 ――とても幸せそうである。
 人が美味しそうに食べているのもは欲しくなるの法則は、確実にある。
 果たして柏餅モラは、2匹の仲間たちを羨みまっすぐに巾着へと向かってきた。
 すぽっ。
 すんなりモラが入ってきた巾着を藺草は素早く口を閉める。
 3匹目、捕獲!

●お楽しみタイム☆
「わあ、わんこお利口! 可愛い!」
 ぽふっとにくきゅうなおてをされて、侑李はおおはしゃぎ。優しく頭を撫でると「わふっ」と元気のいいお返事と一緒にしっぽふりふり。
 一方、謙は自分の丈より大きいのではなかろうかというわんこに、カラーボールを投げて遊んでいた。ひょいっと投げる球をわんこは器用にキャッチしては謙の元に持ってくる。
「お、上手上手! いいぞー!」
「わんっ」
 頭を撫でると全身で嬉しさを表現し抱きついてくるわんこに、謙は楽しげに芝生の上を転げ回る。
「楽しそうでいいでござるなぁ」
 スポーツバックの隣に座り、紅葉はそんな2人をうれしそうに見守っている。
「もきゅきゅ」
「お前さんも一緒に駆け回れる主に会えるといいでござるなぁ」
 お菓子ですっかり懐柔されたスポーツバックの中のモーラットに煎餅をやると、かりこりと嬉しそうに頬張った。
 ――春の日差しがあまりに暖かで心地よくて、紅葉は瞳を眇める。
 そんな彼の足元にカラーボールが弾んで転がってきた。顔を上げると謙とわんこがこちらに向かってくるのが見える。
「紅葉くんも眺めるだけじゃなくて一緒に遊ぼうよ♪」
 反対側からは、柴わんこを抱っこした侑李が紅葉に声をかける。
「私のおすすめはね〜この子! 柴って最強だと思うのっ! あ、みんな可愛いけどね♪」
 えへへっと太陽のように明るく笑う侑李に、紅葉もつられて笑った。
「紅葉、ボール投げてって」
 謙の足元でわんこは咥えたボールを差し出した。少年に促されてボールを受け取り、鼻先でちらちらと降った後で、振りかぶって投げてやる。
「ほぉら! とってくるでござるー」
 跳ねるように駆けるわんこは上手にキャッチ!!
「すっごい! 上手だね! あ〜わんこって可愛い! お持ち帰りしてうちの子にしたいぃ〜!」
 きゅっと柴わんこを抱きしめる侑李に、謙と紅葉から笑顔がこぼれた。

 ――改めて執事喫茶に入りなおした3人は、優雅な時を過ごしていた。
「本日のイングリッシュブレックファースト。こちらは……」
 三段に飾り付けられたお皿に宝石のように誂えられた料理に、絵梨奈は「はわわ〜」と瞳をしばたかせる。
 バターと紅茶のスコーン。
 紅鮭とクリームチーズのキッシュ。
 野いちごジュレと抹茶のオペラ。
「ごゆっくりどうぞ。なにかございましたらお呼びくださいませ」
 紅茶も注ぎ終えた執事は優雅な空気を場に残し去っていった。
「執事さんの格好って、素敵ですね。霊門さんも城段さんも、この格好、似合いそうです。とても凛々しくなりそう」
 行きかうフットマンを目で追いながら、みゆはおっとりとした笑みで向かいの2人に話をふる。
「わわ、そうでしょうか」
 鮮やかな金髪の少女は、紅茶に口をつけ照れる。
「確かに、あのような服は嫌いではありません」
 稀はしゃんと背筋を伸ばすと慣れた手つきでスコーンを崩し上品に口にする。
「美味しい!」
 ふわりと広がるバターの香りに、感嘆の言葉が少年の口をついて出る。
 お土産にオーダーしたスコーンを少年は、片思いしている少女に手渡すつもりだ。彼女はそのいでたちからも和を好みそうだが、あえて。
「これなら喜んでくれるかな……」
 もし彼女が笑顔になってくれたなら、稀にとってこんなに嬉しいことは無い。
「んー、えー、これはどうやって食べるのでしょうか?」
「執事さんを呼んで教えてもらいましょうか」
 みゆはテーブルのベルを振る。
「え、そんな事を教えてもらうために呼んじゃっていいんでしょうか? お忙しそうですし……」
「ここはお嬢様のおうちなのですから、遠慮なさらず何でも聞いて下さい」
 現れた老執事にそう微笑まれて、絵梨奈は頬を染めた。
 丁寧に食べ方を教えてもらい口にしたスコーンは、最高の味であった。

「わぁ、可愛いね! このあんみつ〜」
 小さな傘が飾られたガラス容器のあんみつを前に、桃はぽんって手を打ち大喜びだ。
「わらび餅、おいしいですぅ〜」
 もちっとした舌触りに、留萌もんーっと瞳を閉ざして大喜び。
 少女達の足元では、3匹のモーラットが楽しげにじゃれあっている。もちろん他の人の迷惑にならないようにの、気遣いは忘れていない。
「女給さん可愛いですねぇ。るぅにも似合うでしょうかぁ?」
「似合うよきっと! 後で桃と一緒に着てみよっか」
 つるんとした寒天の感触を楽しみつつ、桃も女給さんを目で追った。
 めったとない和風カフェに、2人の心はすっかりトリコである。
「あ、ごめん」
 一方、わくわく気分で店内探索中の藺草は、店内を走る子供とぶつかってしまった。
「……」
 顔を上げた子供は涙目で、自分の格好で怖がらせてしまったかと内心焦る。しかし子供はきゅっと藺草の裾をつかんできた。
「……席がわかんなくなっちゃったのぉ」
 どうやら泣いていたのは藺草が怖かったからでは無いようだ。ぐすんと鼻を啜る小さな瞳に視線を合わせるようにしゃがむと、ぽんぽんと頭を撫でる。
「そっか。じゃあお兄ちゃんと一緒に探そうな?」
「うん、うん」
 懐くようにしがみつく子供を抱き上げると「これで見えるかな?」と優しく声をかけてやる。
 ……やがて、両親の元に帰りついた少年は、いつまでも優しい藺草に対して手を振ってくれた。

 かくて、能力者達のお陰でイベントの楽しみは守られた。
 そして、それぞれ連休最後の日を楽しく過ごすのであった。


マスター:一縷野望 紹介ページ
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いまいち
参加者:9人
作成日:2009/05/16
得票数:楽しい24 
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