田舎村かえる事件


<オープニング>


「またやられただよー」
「またかよー」
 じいちゃんたちはぽりぽりと頭を掻きながら、横転した軽トラックを見ている。
 最近、村のあちこちで、自動車がひっくり返されたり横倒しになったりという事件が起きていた。
 たちの悪い悪戯だと皆で噂し合っていたが、一体誰が、わざわざこんな辺鄙な村まで悪戯をしにくるというのだろう。
「まったく誰だべー」
「でも見張ってる訳にもいかねーべやー」
 事件はいつも平日の昼間、1時頃に起きていた。じいちゃんばあちゃんはお昼寝タイムだし、数少ない若者たちは皆仕事か、学校だ。
 だから事件は依然、謎のまま。
「いちいち元に戻すのが面倒だらー」
「次の日にゃー元に戻してくれりゃーえーのにのー」
「おお! いっぺん、置いといてみるかー?」
 じいちゃんたちは笑いながら、そうすべそうすべとそれぞれの家に帰る。
 車がひっくり返るくらいでは動じない、素晴らしきかな過疎の村。

「ある村に、妖獣が出たんだよっ。被害の小さな今のうちに何とかして欲しいの」
 早朝の教室、長谷川・千春(中学生運命予報士)は集まった能力者たちを前にそう告げた。示された住所は遥かな田舎。温暖な気候で雪はなく、土地柄も非常にのんびりしているという。
「出現したのは3体のカエル妖獣。ひどく自動車を憎んでいるみたいで……村に止めてある自動車を、かたっぱしからひっくり返しているんだよ。黄色い1体が指揮をして、緑色と水色の2体がせーのでひっくり返すみたいね。後足でまっすぐに立てば、身長は3メートルくらいかな」
 カエル妖獣は通常攻撃の他に、強烈なキックと近接した敵を巻き込む強烈な回し蹴りを持っているのだと言う。

「…………で、車は元に戻ったのか?」
 八坂路・繰太(中学生霊媒士・bn0016)が、教室の隅から声をかける。
 いたんだ……と思ったかもしれないが千春は顔に出さなかった。エライ。
「あ、うん、一晩置いておいた車のこと? 実はカエル妖獣はひっくり返った車には手を出さなかったんだよね。だから皆がその村に到着する頃、村にある車でひっくり返っていないのは1台だけ。
 村の外れにある、原っぱに放置された大型トラック。妖獣は最後にこれをひっくり返すつもりらしいの」
 そこへ行って妖獣を待ち伏せし、叩けばいいという事らしい。
 千春は頷きながら、でもちょっと気をつけて欲しい事があると言い足した。
「そこにね、実は村の子供が2人いるの。
 学校をさぼって土管の中で漫画を読んでいるんだよね。土管とトラックは原っぱの端と端、200メートルぐらい離れているし、土管の出入り口はトラックの方を向いていないから、ごく普通に戦えば危険はない筈だよ。でも、彼らを守りながら戦うか、学校なり家なりに追い出してから戦うか……そのへんは皆に任せるね」
 子供たちは発売されたばかりの漫画に夢中だし、村の人に見つかってはまずいから、滅多なことでは土管から顔を出さないだろうと千春は言って。
 
「それから、もしよかったらだけど……全部が終わってから、村中の車を元に戻すのを手伝ってあげてくれないかな。そろそろ面倒だけど戻さなくちゃいけないなーっておじいちゃんたちも思ってるようだから。道具とか、必要な物はおじいちゃんたちが持ってるよ。若い力がちょっとでもあると、すごく助かると思うんだよね?」
 思っていても、年寄りだけではなかなかやりにくい事と言うのはあるものだ。
「………………………俺も一緒に行かせてもらおう。手は多い方がいいだろうから」
 繰太の言葉に、千春は何度かまばたきをした。そして元気よく頷く。
 
「うん、そうだよ。おじいちゃんおばあちゃんの為にも、子供たちの為にも、皆で協力して、頑張って来てね!」

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参加者
熊鳥・千重(中学生符術士・b02459)
セツナ・ドール(リリン・b02863)
水野・柘榴(中学生白燐蟲使い・b06211)
薄田・智子(中学生符術士・b07835)
叶野・麗(白銀の刻印・b12931)
鴻・灰(ホーリースカル・b15217)
ジョフロア・モンストルレ(対ゴースト戦闘猟兵・b15471)
錫柄・虎児(スケルツァンド・b15796)
叶野・愛(白銀の魂・b16860)

NPC:八坂路・繰太(中学生霊媒士・bn0016)




<リプレイ>

●田舎へ
 よく晴れた空は遠く、灰色の雲が少しだけ、恥ずかしそうに見え隠れ。
 とある平日の正午過ぎ、彼らは件の村にいた。今頃学校では熊鳥・千重(中学生符術士・b02459)の作った偽身符たちが、大人しく授業を受けている頃だろう。
 バス停は田んぼに囲まれた未舗装の道にぽつんと立っていた。

「ついたぁー」
 ぐうと腰を伸ばすのは鴻・灰(ホーリースカル・b15217)。バスの座席は硬かった。落ちそうになった愛用のベレー帽におっとと手を重ねて。
「結構遠かったですね」
 薄田・智子(中学生符術士・b07835)が丸眼鏡を押し上げ呟く。きらりと光った眼鏡の下でひそかに降車した人数を数える。
「……ちゃんといるみたいね」
 と同じように数えて千重が笑う。そして1時間に1本では逃すと面倒と、早速帰りのバス時刻もチェックする。彼女の素晴らしい5分前行動によって、本日のマイペース・チームの秩序は維持されていた。
 叶野・麗(白銀の刻印・b12931)と叶野・愛(白銀の魂・b16860)の姉妹は並んで、去って行くレトロなバスのお尻を見送った。あんなボロボロのガタガタで未だ現役というのが流石に田舎だ。
 未だに地面が揺れている錯覚に襲われ、思わずバス停に手をつくのは錫柄・虎児(スケルツァンド・b15796)。銀の前髪の下、瞳は少しばかり潤むがそれも短い間。冷たい空気が頬を冷やし、胸までもすっと楽にしてくれるから。そして顔を上げれば広がるのはひたすら土色の風景。
「こりゃまた、見事になーんもないトコっスね……」
「日本の田舎って初めて見た」
 両手の指を息であたためながらセツナ・ドール(リリン・b02863)が呟く。
 素朴なその村はどうかするとすっぽりと手の中に収まってしまいそうな、そんな錯覚を起こさせる。

●サボる子たち
 示された住所を追って、電柱を見上げ歩く。見えてきた原っぱには確かに大型トラックと土管。
 あの土管に子供たちがいるのか、と考えていた水野・柘榴(中学生白燐蟲使い・b06211)は急に思い当たって振り返る。サボりと聞いて連想した何かが彼女を動かしたが、それはちゃんといたようだ。

「ではトラックの影にて、目標の出現を待ちますか」
 まだ妖獣の姿は見えない。ジョフロア・モンストルレ(対ゴースト戦闘猟兵・b15471)が戦闘の喜びにか手を揉み、嬉しげに囁く。
「じゃあ私は子供たちの見張りに回ります」
 と言って智子は原っぱをすたすたと突っ切っていく。しかし途中でくるりと振り返り言った。
「八坂路くん、戦闘中はサボったりしないように。命に関わる事ですから」
 きりりとした智子の表情は真剣だ。トラックを見上げていた八坂路・繰太(中学生霊媒士・bn0016)が振り返る。小さな風が起こり、智子の髪をスカートを揺らす。原っぱを風が渡る。
「…………ああ。智子も気をつけろよ」
 智子は少し考えて、そして頷いた。

 200メートルの原っぱを突っ切って、近づけば草の上に放り出された黒いランドセルが2つ。土管の中に影が差さないように立ち、ざらついた土管の表面を眺めていると雲の影が映った。
 今こうしている間でも学校では授業が進んでいる。
「後で、はっきり言わなくてはなりません」
 智子はそっと土管にもたれると、小さな溜め息をついた。

●待てばカエルは……
 トラックの巨大なタイヤの影で、彼らは時を待っていた。
 虎児は銃の形に構えた両手を顔の横に当て、嬉しそうに呟く。
「刑事モノのドラマみたいでドキドキするっスね〜」
 深く頷くジョフロアは油断無く左右に視線を走らせていた。唇から漏れるのは小鳥を呼ぶかのようなハミング。
「狩りの獲物を待つこの昂揚感。さぁ、俺を楽しませてくれよ……ヴァイトマンスハイル」

「こんな大きなトラック、ひっくり返せるのかしら?」
「それだけ恨みが大きいってことじゃない?」
 見上げ首を傾げる麗に、柘榴が応えた。風が少し強くなっている。流れる雲が早くて。隣では愛が首傾げ胸の前で腕を組む。
「ボクにはカエルの気持ちはわからないけど、なんで車が憎いんだろ?」
 そりゃあ、と言いかけた灰をジョフロアの腕が遮る。
「来ましたよ」
「うわ、……でかい」
 虎児は思わず息をのむ。
 それはゆっくりと原っぱに入る。
 黄色と緑と水色という派手な3体のカエルが、だらりと両腕を脇に垂らして歩いてくる。陽炎のように揺れながら。憎しみに輝くその目はトラックを、その巨大なタイヤを睨み。
「多分、つか絶対ェ轢かれたんだなぁ……」
 灰の言葉に全員が頷いた。そのカエルは巨大で、でも何だかとても薄かったから。

 起動した柘榴はギターを手に握りしめる。彼女にとっては初めての事件。
「あードキドキする」
 光沢のあるステージ衣装と相まって、まるで初舞台前の歌手のように。そしてきらめく蟲たちに命ずれば、虎児のナイフが白い輝きを帯びる。
 カエルたちは近づいてくる。
「鴻にも」
 灰の風水盤もまたほんのりとした輝きを得る。傍らのシャーマンズゴーストが無垢な様子で付き従う。
 黄色いカエルが後の2体に向かって顎をしゃくった。2体は腰を屈め車体に手をかける。
「おじいちゃんやおばあちゃんたちを、これ以上困らせる訳にはいかない」
 愛も、柘榴の白燐奏甲によって輝く直刀を掲げた。そこに映る自らの瞳に強い決意を見る。

 トラックがぐらりと揺れた。
「うわー、力持ち」
 呟いたセツナの本音。ついでに全部直しておいてくれればよかったのに。
 ジョフロアが愛おしそうに得物を掲げ、薄い唇を舐めた。ゴーストを狩る事こそが彼の使命、彼の喜び。
「………行こう、狩りの時間だ!」
 トラックの裏を飛び出して走る。土管を背にして遠く子供たちを守って。


「……目標『黄色』を最優先!」
 ジョフロアの声とともに飛び出したのは虎児。軽く土を蹴って無防備な黄色い背中へと斬り掛かる。カエルの悲鳴は意外に甲高い。
「人に迷惑かけてんじゃないっスよ」
「うむ、最もだ」
 目標に向かって斧を振り下ろしジョフロアが同意する。灰がシャーマンズゴーストに命ずれば懸命に駆けて来る。ゴースト合体、重なった二つの姿は灰に勇気と力を与えてくれる。
「……それじゃぁ頑張ろうね、コウ」
 柘榴はギターで前衛を示した。
「八坂路、シャーマンズゴーストを前へ!」
「了解した」
 行けと繰太が手を振るえば、それは駆けて懸命にカエルの背を突いた。
「最初っから全力で行くよ!!」
 フレイムバインディングは愛の手元から飛び出すと、見る間に伸び上がり黄色いカエルの脚を絡めとる。黄色はただ唖然と自分の足元を見ている。
 邪魔をするなとばかり、水色が長い脚を屈伸させ虎児を蹴る。
「当たるかっ……スよ!」
 後ろに跳ねて避ければ、水色は悔しげに横に広がった口をすぼめる。
「あなたたちは眠っていなさい……」
 起動した麗は白衣姿。豊かな銀髪を背に振るって笑む。手の中に生まれた呪符はカエルのぬめつく肌に吸い付くように。水色の巨体はその場に立ち尽くし、天を向いて伸びるのは見事な鼻提灯。
 黒い髪に黒い瞳、楚々と立つ和服美人は空中に強力な魔法陣を描く。逆流するエネルギーは手にした魔道書に力を与えた。螺湮城本伝、まだ読まれぬそれは千重のために力を蓄える。
「めんどーくさーい♪」
 後方からセツナの本音の歌が炸裂する。魂の歌声は黄色いカエルの傷口を広げ、水色のカエルを叩き起こす。
「カエルは割と好きなんだけどね」
 でも、ゴーストとあっては仕方がない。セツナの歌を継ぐように、柘榴の声がカエルたちの傷口を押し広げた。


 智子の手はいつでも次の符を繰り出せるが、子供たちは起きる様子もない。
 漫画を腹に抱いてくーかーと寝息を立てるのを見ていると、今すぐにでも尻を叩いて学校に行かせたいと思う。
「学校って大切なところなのに……」
 
 ギエエエエ!
 水色のカエルは唸り、右脚を軸にして強烈な回し蹴りを放った。ひょいとかわしたのは虎児。しかし愛は腹にもろに食らい、力強い脹ら脛は攻撃を終えたばかりの灰をも蹴り倒す。
「しっかり!」
 千重の飛ばした治癒符が、真っすぐに灰に届けられた。すうと引いて行く痛みに、消えて行く傷に、灰は仲間のありがたみを知る。
「ありがとな!」
「どういたしまして」
 片手挙げ感謝を示せば、後方で手を挙げ応える千重。だって仲間じゃないのと、その和服美人ははんなりした笑顔で。
「何があったかしらないけどさ、人様にメイワクかけちゃあダメでしょう?」
「もう、いい加減にしろ!」
 セツナの呟きが、柘榴の叫びが歌となり、集中攻撃を食らっていた黄色いカエルをぶちのめした。天高く両手を上げ、そして静かに倒れ行く。
「あー……やっぱり薄いわ」
 そのひらりとした側面を眺めて虎児は納得したように頷いた。

「黄色の沈黙を確認。隊列の分断用意、個別撃破に移れ」
 ジョフロアの凛とした声に、ハイッ、と虎児が敬礼で返し、愛が瞳に闘志を燃やして頷く。蹴られたままにはしておけない。借りは必ず返す。そんな妹に麗は静かに治癒符を贈る。躊躇わず前を行く妹をいつも誇らしく思っていた。
「さあ、どうする? 仲間が減ってしまったね?」
 ジョフロアは両手を振りかざすと、緑色に向かってロケットスマッシュを放った。ロケット噴射の勢いに乗せて、斧が緑色の脇腹へとクリーンヒット。緑色はその長い膝を使って勢いを留めようとしたが堪え切れず、背後に向かって吹っ飛んだ。草の上を転がるカエル。シャーマンズゴーストが後を追う。
 離れたカエルたちをちらりと睨み、少しばかり口元を持ち上げるのは虎児。そして爪先までぴんと脚を跳ね上げて、反動のままにぐるりと蹴り出す龍尾脚。真芯で捕えたカエルの顎はびきびきと面白い音を立て、そのまますうっと妖獣は風に散る。
「あー……コンボ試したかったっス」
 思わずしゃがみ込んで、切なげに地面を見る。

 繰太の雑霊弾が、愛のフレイムバインディングが、水色を狙って走り込む。
 ビシと捕えられた哀れなカエルに、ベレー帽を片手で押さえ飛び込んで行くのは灰。得物の動力炉はくるくる回る。まるで彼らの運命の如くに。
「そんなに車がキライなら、見えない世界に行かせてやらぁ!」
 凪ぎ払った一撃が、水色カエルの腹を割いた。
 カエルの上下がずれるような錯覚。
 ギエエエ! と、それは鳴き、地面に雪崩れ落ちて消えた。
「………ふう」
 強い風が吹く原っぱ。
 立ち上がった智子が、遠くで大きな拍手を送っていた。
 仲間たちへと。

●大人になれば
 セツナが野の花を摘んで、今はもういないカエルに供えた。
 しゃがみこんで両手を合わせ冥福を祈る。ゴーストを倒す為に学園にいる、まだそのことが納得出来た訳ではないけれど。
「ごめんね。安らかに眠るといいよ、おやすみ」
 原っぱには風に乗り、智子の声が聞こえてくる。思わずその真面目さに笑みを浮かべる。

「……勉強は、将来必ず役に立ちます」
 智子は丸眼鏡を押し上げてとても大事な話をしていた。
「ホントだよ、サボってると後で痛い目にあうぞ」
 柘榴もまた言い聞かせるが、後ろで繰太が頷いているのが何となく納得行かない。
「勉強や学校での生活の大切さは、大人になれば必ずわかります。だから今は、私のことをうるさいと思って構いません。……だから学校へ行きなさい。学びなさい」
 低く抑えた智子の声は、少しだけ震えていた。
 子供たちはまず智子の真剣さに驚き、そして頷いた。
 いずれ忘れるときがくるとしても今は。この人は信頼に足ると、そう思えたから。

 ランドセルを背負い直し、学校へと向かう子供たちにジョフロアが近づき耳打ちする。その青い瞳は共犯者の輝きに満ちていた。
「………近い将来、キミたちにも絶対に隠れたりサボったりできない日が来るぞ。その日まで、幸運を! ユーゲント」
 ぱんと背を叩き送り出す。
 子供たちは手を振って道を歩き出す。いつの日か忠告の総てが理解できる時がくるだろう。その時に、どうか後悔することのないように。

●そしてかえる日
「カエルを恨まずにはいられないね……」
「確かに放って置く訳にはいかないんですけれど」
 腰を押さえしゃがみこむ灰に、麗がそっとハンカチで風を送った。
「ま、じいちゃんばあちゃんは大事にしなくっちゃね」
 柘榴が言えば、皆が頷いて。

 車を戻しながらの村めぐり、申し出ればあっと言う間、噂は村中に広がっていた。あっちこっちと引っ張り回され、横転した最後の軽トラックを前にちょっと一息。お礼にと貰ったおにぎりやおかずが、大変な量になっていた。
「なかなか、忙しいけん。息子らには言い出しにくうてのー」
 おにぎりを虎児に渡しながら、じいさんは呟く。漬け物は田舎漬け。受け取りながら虎児も頷く。
「そういうもんなんっスか」
 麗が湯のみに茶を注ぎ、愛がそれを配った。

「奴等の気持ちもわからんではないな。俺もこう……世の中の思い通りにならぬ物事を、総て引っくり返したいと切望する事は、ある……」
 熱いさつま汁をすすりながら空見上げ、ジョフロアは自嘲めいた笑みを浮かべる。誰にも聞かれぬように小声で本音を。
 智子は老人の話にごく真面目に相づちを打ち、逃げ出そうとするセツナは千重に見つかりがっしりと腕を取られていた。
「えー、だってえ、セツナのこんな細腕じゃ、車なんてビクともしないでしょお?」
「たまには汗流すのも、いいものだよ?」
 千重は首を横に振った。今日は見張るべき人間が多すぎる。
 繰太は静かに厚焼きタマゴを食む。

「じゃあそろそろ、最後の一台、行きましょっか」
 愛が元気よく号令をかければ、
「……ちくしょ、結構重いじゃないか!」
 無理、と言ってしまいたいところだが柘榴も頑張った。
 全員で。全員で力を合わせて。

「せーのっ」
 どおおん。

 土煙あげて車は正しい位置へとかえる。
 子供たちは学校へかえり、じいちゃんたちも笑顔にかえるから。
「明日は……腰痛確実かなぁ……」
 灰が腰を伸ばしながら言えば、若いのにとじいちゃんが声を立てて笑った。


マスター:カヒラススム 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:9人
作成日:2007/01/30
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