修学旅行2009〜青い海と白い砂が誘う無人島へ


<オープニング>


 銀誓館学園の修学旅行は、毎年6月に行われます。
 今年の修学旅行は、6月24日から6月27日までの4日間。
 この日程で、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒達が、一斉に旅立つのです。

 高校2年生の修学旅行は、南国沖縄旅行です。
 沖縄そばを食べたり、美ら海水族館を観光したり、マリンスポーツや沖縄離島巡りなど、沖縄ならではの楽しみが満載です。
 さあ、あなたも、修学旅行で楽しい思い出を作りましょう!
 
 初夏の沖縄を満喫できるものといったら、白い砂浜と青い海が満喫できるマリンスポーツだろう。沖縄本島でもマリンスポーツを楽しむことはできるが、ここは修学旅行、ちょっと目先を変えてみるのもいいかもしれない。
 
 本島から30分程離れた、珊瑚礁特有の遠浅の海に囲まれた小さな離島。
 その島が、修学旅行の1日を過ごす舞台となる。
 白い砂浜はあくまでも柔らかくみんなを迎えてくれ、澄み渡った海を泳ぐ色とりどりの魚たちは珍しいお客様たちを歓迎してくれるはず。
 そんな美しい無人島では、様々なマリンスポーツを楽しむことができる。
 まず楽しめるのは、シュノーケリングである。船で沖に出れば、青い海と美しい珊瑚礁、綺麗な魚たちを楽しめる。時折、シュノーケリングを楽しむ観光客を歓迎するように、ジンベエザメも泳ぎにくるという。ジンベエザメとのシュノーケリング体験は、きっと心に残るものとなるはずだ。
 次に楽しめるのは、ドラゴンボート。沖まで運んでくれた船が引っ張る6人乗りのビニール製のボートにはまたがってしか乗れず、振り落とされないように捕まる持ち手がついているだけだ。船に引かれて海原を行けば、身を叩く水しぶきとうねる波の上を行く躍動感がスリルと興奮を与えてくれること間違いなしである。
 そんなアクティブなマリンスポーツはちょっとという者には、浮き輪遊びも用意されている。大きな浮き輪に乗って打ち寄せる波に身をまかせ、手を伸ばせば触れられそうな側を泳ぐ魚や浅瀬の珊瑚を眺めるのも楽しいだろう。
 これらのマリンスポーツはライフジャケットを着用して行うため、全く泳げない者でも参加できる。シュノーケリングと浮き輪遊びでは、シュノーケルとマスクのセット、フィン、浮き輪を貸し出してくれるので、自分で道具を用意する必要は無い。また、この3つ以外にも、浜辺での甲羅干しや波打ち際の散歩など、海でできるたいていの遊びを体験することができる。
 それらのマリンスポーツを心行くまで楽しんだ後には、ビーチパーティーが楽しめる。
 さんざん遊べばお腹も空く。ビーチパーティーとは、そんなみんなの胃袋を満たすため用意されたバーベキューパーティーのことである。食材は十分に用意されているので、無人島でのバーベキューを存分に楽しむことができるだろう。
 そんなビーチパーティーという名のお昼ご飯でお腹をいっぱいにしたら、お片づけも忘れてはならない。綺麗な珊瑚礁を守るためにも、ゴミのお持ち帰りは必須だ。
 片付けが終わったら傾く日の中で無人島に別れを告げ、沖縄本島に戻ることとなる。
 
「今年の高校生の修学旅行は、沖縄ですのね」
 高校2年の八重崎・円花(ロゼット・bn0135)はしおりを手に、初夏の目映い空の下で行われる修学旅行へと思いを馳せる。
「盛りだくさんの4日間ですわね……あら、これは気になりますわね」
 修学旅行行程表の一か所に目を留めた円花は、ラインマーカーで3日目のところに印をつけながら、ちらりと自分の胸元に視線を落とす。
「無人島でのマリンスポーツ三昧ということは、わたくしたちのプライベートアイランドで海を満喫ということですわね。同学年ばかりでしたら、わたくしもあまり気にしなくてもよいはずですわ」
 円花が人目を気にしているところとは、成長著しい年代のはずだというのに一向に育つ気配がみえない箇所のことだろうか。
「皆様と一緒に修学旅行を楽しめたら、わたくしも嬉しいですわ」
 修学旅行のしおりと沖縄観光ガイドを手にする円花は、水着のカタログを捲りながら仲間を誘う。
 どんな水着を着るかという乙女らしい悩みも、こんな旅行の醍醐味なのかもしれない。

 青い海と白い砂が待ち受ける無人島での1日。
 仲間と過ごすことができる楽しい1日は、どんなものになることだろう。

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参加者
NPC:八重崎・円花(ロゼット・bn0135)




<リプレイ>

●珊瑚礁の白い島
「わぁー!! きれー!!」
 無人島に到着してすぐに放たれた散葉の言葉は、島に着いた彼らの胸の内を代弁するものだった。
 エメラルドグリーンの海とセルリアンブルーの空、それらとコントラストをなすホワイトサンドの浜辺。
「沖縄の海はきれいだなぁ」
 貴也は海よりも眩しい、傍らの恋人の水着姿に目を細める。
「沖縄というと、南国と海のイメージが強いけれど、日本の中の異国という感じもするね」
「何か雰囲気が違うよなぁ。空も広くて海も綺麗で、暑いけどそれが気持ちいいや」
「俺、名前にも入ってるぐれぇ、海好きだしすっげテンションあがる……」
 光韻とシャノン、海の3人は空と海と浜辺の美しさを堪能する。
「沖縄の海って、青くてキラキラしてんのなっ!?」
 南の海を初めて見るマキは素直な感想を口にする。
「アトラ、海、楽しみだね……! うみがめさん、居るといいなぁ。珊瑚も見ようね!」
「ええ、ウミガメに珊瑚、サメも見れたらいいけど」
 修学旅行を切っ掛けに知り合った琉姫とアトラは、もっと仲良くなりたいと楽しげに笑い合う。
(「私、海なんて……滅多に行かないので、すごく楽しみなんです……。しかも沖縄なんて初めてで……。わくわく、します」)
 肩口で切りそろえた藍色の髪をそよ風に揺らす李緒は、緑色の瞳に楽しげな色を浮かべる。
「折角の沖縄満喫しないとな。海すげー綺麗ー……」
 夕姫は瞳を輝かせ、上陸した無人島をファインダーに納めた。

●青い空と青い海
 シュノーケリングとドラゴンボートの参加者たちは、彼らを無人島まで運んで来た船で再び沖に向かう。
 ポイントに到達した後、シュノーケリング参加者たちはライフジャケットとフィンを身につけ、マスクの付け方を教わる。
「あたしのないすばでーが披露できないのが残念……で……」
 得意げに登真に向かってそんな言葉を放った千早だが、虚しくなったらしく語尾が気弱に窄まる。
「綾瀬涼子、いっきまーす!」
 涼子が纏う白いビキニはジャケットで見えなくなっているのが残念な可愛さだ。1番に海に飛び込んだ涼子の腰元を飾るリボンが、蝶のように揺れる。
 涼子とお揃いで新調した藍色ビキニを纏う千草は、パレオを外して彼女に続く。
「あれー? 円花ちゃん、空いてるのかなー? だったらボクと一緒に行かないかな?」
 円花に散葉は声をかけ、一緒に海に入ろうと誘う。
 シュノーケリングは、ライフジャケットを身につけて海面近くに浮き、海中の眺めを楽しむ仕様になっている。
「(おー……綺麗だな〜♪)」
 有斗はのんびり海面散歩を楽しむ。
「うん、こうやってのんびり過ごすのも良いな」
 波に揺られて海面に浮かぶ真綾は、幻想的な海中世界に頬を綻ばせる。ミーシャも初めて見る光景に、ただ圧巻されている。
「すごい……! 香月さん見て下さい! ここですここです! 早くっ」
 顔を上げた泰花は、幼なじみの香月を呼ぶ。
 泰花が示した地点には、美しいイソギンチャクや珊瑚が生えている。
 泰花とともに楽しむ香月の顔に、楽しげな笑みが浮かぶ。
 シュノーケルクリアやフィンに慣れるのに少し時間がかかった美琴は、恋人の貴也と手を繋いで泳ぐ。見る者全てに興味を示し、はしゃぐ美琴に振り回される貴也は、恋人の無邪気な姿に相好を崩す。
「ごぼぼ……。えほっ、……しょっぱい!」
 シュノーケルの先端から入った海水に咽せる琉姫をアトラは、
「見事にセオリー通りよね……琉姫は」
 と、背を叩きながら微笑ましい思いで見遣る。
 そんな彼らの下を大きな影が横切る。
 その持ち主を見定めた彼らの顔に笑顔が広がる。
 ゆったりと泳ぐ影の持ち主は、ジンベエザメだ。
 ジンベエザメは全長10数メートルに達する、世界最大の魚類である。サメの仲間だが、鯨に似た食性の大人しい魚である。
 ジンベエザメを見ることはダイバーの憧れともされている。その生き物が、彼らの前を優雅に泳ぐ。
(「でかーい! 変な顔ー! 触ってもいいのかなー?」)
 れいあと紫辰、鼎にジェスチャーでその思いを伝える時那は、れいあと先を争うように泳ぎ着く。
 2人は、れいあ持参の水中カメラでジンベエザメや熱帯魚との記念撮影をしたり、手を繋いで泳いだりとはしゃぐ。水練忍者なために泳ぎには自信がある紫辰は、2人に頼まれて写真を撮る。その3人とは別行動な鼎はワカメのように黒髪を漂わせて海面に浮かび、周りの人間を驚かる。
「……ね、円花さん、海の中ではどうやったら動けるのかな……?」
「ダイビングでしたら出来るのでしょうけれど」
 波に身を預ける円花は、花梨の問い掛けに応える。
 フィンダイビングなら潜ることも出来るが、シュノーケリングでは難しい。だが、浮き上がって来たジンベエザメに触れ、寄り添って泳ぐことは出来る。
「でかっ! ジンベエザメでっか!!」
「現存する魚類の中では最大の生物だからな」
 その言葉に千早が最大級のフカヒレを狙うのが判ったのか、登真は彼女を必死になって止める。
「でか! でもカワイイッ!」
 龍太郎はジンベエザメの可愛さに、足をばたつかせて全身で喜びを表現する。彼の傍らで呆然として固まっていたホーリィは、気を取り直すと龍太郎に手を繋ぐことを催促し、ともにジンベエザメの許に向かう。
「海に来るのも随分と久しぶりだが、やはり見ているだけで心が躍るな」
 綾はクジラのようにのんびり泳ぐジンベエザメに付き従う。本業能力を使って楽しみたいところを我慢する伊織も、ジンベエザメの後について泳ぐ。
「サメと一緒に並んで泳ぐなんて体験、ラッキーよね」
「こんな経験、一生に一度あるかないかですし。わ、鮫肌って、本当にざらざらしてるんですね」
 涼子と千草も、ジンベエザメの背に手を添えてともに泳ぐ。
「おー! さめさん! じんべいさめさんなのよー! ……近寄って一緒に泳ぐのよ〜♪」
 初めての海を楽しみ、イソギンチャクに食欲を刺激されていた竜は、夜半とともにジンベエザメに近づく。
「ちゃんとおべんきょしてきたのです。おとなしいさめさんなのですよね」
 北欧育ちのため温かい海やカラフルな魚が初体験な夜半は、青い海とジンベエザメとの遊泳、竜とのひと時を楽しむ。
「……その、似合っているだろうか? こう云うのは余り慣れてないんだが……」
 スペルヴィアは、新調した水着の感想を龍に求める。その姿に見惚れていた龍は、すぐ脇を通ったジンベエザメのひれに頭を直撃されて悶える。悶える龍の手にあるカメラに気付いたスペルヴィアは、撮影されていたことに気付いて赤くなる。
(「ジンベイザメって……食われないよな?」)
 シュノーケリングが初めてな夕姫は恐る恐るジンベエザメに近づき、持参したカメラにツーショットを納めてもらう。
「でっかいなぁ〜! すごいなー……!」
 クジラ並みの大きさに感心するマキは、温かい海にいると大きくなれるのかと思い、自分も大きくなりたいと願う。
「――あ、また……! 何だろう? あの魚」
 2人ではしゃいでいたため気付くのが遅れた香月は、その持ち主に気付くと泰花とともにジンベエザメの勇姿を楽しむ。
「でかかったよー! もっさり感がかなえんとちょっと似てるかもねー?」
 時那の言葉にれいあが頷く。その頃、もっさりどころか、濡れてべったり張り付く黒髪もそのままな鼎が、船に休憩に上がって来た紫辰を船上で迎えていた。
「やっぱ実物は迫力あるなぁ。海中も綺麗だしすげぇ良い思い出だ」
「うん、貴也君と同じ学年で良かった♪」
 美琴の水着姿もと心の中で付け加え、貴也は船上で美琴と笑みを交わし合う。

●吹き付ける風と打ち付ける飛沫
「日本の『青い空、白い雲、真っ赤な太陽』は女の子の水着褒める言葉だって聞いたけれどー、残念ながら曇り空らしくー」
「曇り空? ……青少年はそこを想像力で補うんだよ。なあ風葉」
 ドラゴンボートに参加するクガネと圭吾は、ライフジャケットで覆い隠された水着女子の姿を見ながら風葉に同意を求める。
「曇り空、とかなんで俺に振るんだクガネ、ハナマル!」
 慌てる風葉をちらりと見遣り、緑色のホルターネックビキニに茶色のショートパンツを合せるキルシェは、
「……いいんだよ、おれ、……君のためなら」
 とわざとらしく頬を染め、もじもじしてみせる。大慌てで2人の言葉を否定する風葉と青空を見比べる繭は、
「曇り、空……?」
 と首を傾げる。
「……あ、繭ちゃんそれ、天気の事じゃないみたいだから気にしなくて平気。ドンマイ、風葉……大丈夫だよ、皆そんな風に思ってないってー」
 唯は緩く微笑むと、結社・旧校舎の一角から参加した仲間たちを見遣る。
 彼らはすでに準備万端で、ドラゴンボートに乗る時を今か今かと待っているようだ。
 結社・†―銀狼の騎士団―†から参加したのも、旧校舎の一角メンバーと同じ6人グループである。
「おー! これにのるのか! 泳げないやつとかいないよな? 大丈夫か? すっとばされたら僕がたすけてやんよ!」
 真っ先にドラゴンボートに乗り込むカイトは、後に続く葉子とカサンドラ、鋼牙、椋、悠に声をかける。「ほーこれに乗るのか……俺の体重でも平気だよな?」
 ゴムボートのように空気で膨らむドラゴンボートは、2メートル超えの鋼牙の巨体を受け止めて撓む。
 ボートに乗る彼らが身につけるのは、悠が用意したお揃いのライフジャケットである。
「あ、織神くんライフジャケットありがと」
 椋は悠へのお礼の言葉とともにボートに乗り込む。
 ドラゴンボートは、ゴムボートの上に股がって乗る筒状のシートが2本乗せられ、気休めにしか思えない取っ手が6か所につけられている。
「ん? 動きだし……おォ!?」
 ボートの取っ手に捕まることを忘れていたカサンドラは、開始早々ボートから振り落とされる。
 彼女を救い上げ再び開始されたそれは、彼らの興奮をいやが応にも高める。
「バランス崩しておちたらあとで罰ゲームな!」
 カイトの宣言で、彼らの間に緊張が走る。
「悠。いっせーのせで! 重心移動するぞ!」
「天照くん!? 逆! 逆!」
「うっひゃー! スリルあっておもしれー!」
 ドラゴンボートには、引かれる早さだけでなく、重心移動による横の動きも加えられる。
(「それにしても、落ちないように、しがみつくのに精一杯ですわ」)
 振り落とされそうなほど傾くボートにも葉子は表情を変えることなく、淡々とスピードとスリルをを楽しむ。
 旧校舎の一角の面々は、スビードを船長に要求したクガネのせいか、圭吾と風葉が海の藻くずとなりかけたり、繭とキルシュが思いもかけないバランス能力の高さを見せたりしてドラゴンボートを楽しむ。
「……これ、もう一回いこー、って行ったらみんな来る?」
「も、もう一回?! 豪気だな槻代」
「勿論おれは、のぞむところだぞっ!」
 彼らは再び、ドラゴンボート体験者の最後尾に向かう。
「一昨年ソフトでバッテリー組んでから、古湖ちゃんとはずっと一緒に遊んでみたかったからちょー嬉しいっ! がっつり楽しもーね!」
「そそ、うちら中3のときにバッテリー組んだんだよなー。うちも一緒に遊べて嬉しい! もちろん! いっぱい楽しんでこーぜっ!」
 列に並ぶ古湖と千歳は、ボートに乗るまでのおしゃべりを楽しむ。
「あの、もしお嫌でなければドラゴンボートにご一緒して戴けないかしら?」
 水色ビキニに紺色のパレオをあわせるジュリアンナは、円花をドラゴンボートに誘う。
(「……そういえば、フェシアは絶叫系が苦手だったんじゃなかったか……?」)
 フェシアの水着姿に見惚れる楓は、隣りに乗る彼女の手をそっと握る。
 取っ手にしがみくフェシアは、
「大丈夫。私が隣にいるから、ね?」
 という楓の言葉に、彼が泳ぎがあまり得意でなかったことを思い出し、いざという時は彼を助けることを自らに言い聞かせる。
 光韻とシャノン、海もドラゴンボートに乗り込む。落ちたらここから泳いで帰るのかとか、むしろと飛び込んでこそ楽しめるはずだとか、そんなことを思う彼らは、防水カメラで写真を撮りながら存分にボートを楽しむ。
「落ちてねェだろうなー!?」
「あかーん」
 女子の水着姿に気を引かれていたせいだろうか、バランスを崩した奏助が後ろを振り向いた竜太を道連れに海にダイブする。
「ニホンの心よね? 旅は道連れって」
 片手乗りに挑戦していたアリエスは、海に向かう竜太と奏助の手を掴んでともに海に落ちる。
 揃ってびしょぬれになった3人の口からは、明るい笑い声が漏れる。
 急カーブで振り落とされた古湖と千歳は船上に助け上げられる。しかし、それでめげる2人ではない。
「やべー楽しかったー。な、な、もっかい行こ? 今度はどっちが落ちないでいられるか競争な!」
「行く? もっかい行っちゃう? 今度は絶対落ちないんだからっ!」
 2人の笑顔に誘われるように、仲間たちもドラゴンボートを楽しむ。

●白い浜辺で大騒ぎ
 沖での喧噪もどこへやら、浅瀬には優雅に浮き輪遊びを楽しむ面々がいる。
「……ひゃわっ!? ビックリ、しました……!」
 ドラゴンボート組の騒ぎを微笑ましい思いで眺める李緒は、知らない魚に足を突っつかれてビックリする。
 結社・StoneMarketから参加した光と琴古、亞利の3人も、浮き輪遊びを楽しむ。3人は水着の上に揃って海人と描かれたTシャツを纏っている。
「なんだコツ、引っ張って欲しいってか? しょーがねーなー」
「浮き輪引っ張ってもらえるですか? んでは遠慮なくっ」
 光の申し出を琴古は受ける。彼女に気付かれないよう、光と亞利が目配せし合っていたのも知らずに。
「うちのお姫様たちはまた眩しいなー」
 早坂キャンパス2年6組クラスメイトの八重と火蜂、真琴たちの水着姿に、ルアスは目を喜ばせる。
 彼は巨大浮き輪の真ん中に入り、彼女たちがはしゃぎすぎてひっくり返ったりしないか気を配る。
「わ〜! 綺麗っ! 沖縄の海って本当に綺麗だね♪」
「ねぇ見てあの魚綺麗!」
「わ〜、お魚たくさんいますねっ」
 少女3人が浮き輪に乗ってはしゃぐ様子は、微笑ましい。
 そしてルアスの危惧どおり、眠そうな火蜂を起こすために海水を掬いかけようとした真琴と八重は、浮き輪から落ちそうになる。
「今度はシナ海か……海蛇とか釣れないと良いけど」
 麦わら帽子にアロハシャツ、膝丈サーフパンツ姿の竜馬は、浜辺で海釣りを楽しむ。釣果はまずまずで、バケツの中では南国情緒豊かなカラフルな魚が泳ぐ。
「そういやソフトボールは見事にやられたよ…」
 散歩を楽しむたルーベットは陸に上がった円花を見つけ、同じ結社に所属するよしみで話しかける。
「どっちが綺麗な砂のお城作れるか、勝負です」
「勝負となれば、負ける訳には行かないなぁ」
 半袖パーカーとサンバイザー、ハーフパンツの下に水着を纏う少年ぽい見た目の椿姫の挑戦を、ハーフパンツの上に半袖Tシャツ姿の燐は穏やかに微笑んで受ける。
 無言の時が過ぎ、顔を上げた椿姫は燐に思わず突っ込む。
「燐、それ……城じゃない、山……」
「いや、これから城になるんだよ! ……多分」
 嬉々としてトンネルに穴を掘る燐を、椿姫は内心可愛いと思う。
 双子の流と焔の見た目は、髪の色などでつけるしかない。波打ち際で貝殻探しを楽しむ2人は、麦わら帽子を目深に被って、どちらが姉で妹かを通りがかりの者に問い掛ける。
 そんなしっとりした双子とは裏腹に、熱い戦いがビーチで繰り広げられる。結社・空中庭園【Penna】と結社・Bastard Swordに所属する面々によるビーチバレーだ。
「お姉様! アレを使いますっ!」
 淡い青のツーピースの水着姿の珠玖伽は、黒のビキニ姿のツグミにトスを上げる。
「ええ、よくってよ! スーパーイナズマスパイク」
 ツグミがボールを打ち込む。
「流星アタック!! ですわっ!!」
 白いビキニを纏いスパイクを決める夢見も、ツグミとおなじチームだ。龍義は熱く叫びながら、3人にトスを上げたり、長身を生かしてブロックしたりする。
 その龍義に対抗してか久恒は、
「全てのスパイクを止めると言われた技! インフェニットフォートレス」
 とやらを繰り出す。
「トルネードレシーブ!」
 108のレシーブ技を持つという戒一郎は、打ち込まれる球を拾いまくる。
「スーパーギャラクティカスパーイク!!」
 舞佳は、青少年の目には毒な黒いセクシーなビキニ姿で激しく動き回る。
 決着のつかなそうな戦いは、沢山のギャラリーを従えて続けられる。
「友人と一緒なら筋肉鑑賞に誘われていたの……そちらも未知体験で気になりましたけど……結果オーライですわ!」
「海辺の筋肉鑑賞も萌えますわよね」
 ジュリアンナと円花は筋肉談義に花を咲かせる。
「んん? 何やら珊瑚が遠くに見える気が……」
 光と亞利の悪戯で沖まで引っ張られてしまった琴古は、大慌てでフィンをつけた足をばたつかせる。慌てているせいでへばってしまった琴古を助け、悪戯仕掛人の光と亞利も岸に戻るのを助ける。
 一頻り泳いだ芙雪は、白い砂浜で寛ぐ。
「遠くから見ると雪のように見えたのに、触るとやっぱり砂なのですね」
「ええ。綺麗ですね」
 円花と桔梗は砂に触れつつ、言葉と笑顔を交わし合う。

●思い出いっぱい、お腹もいっぱい
「さーバーベキューやるっすよー」
 漸く髪が乾いた鼎の声に誘われるように、仲間たちは鉄板の側に近づく。
 炭は真っ赤に熾され、串に刺された肉や魚は網の上に、野菜や切り身の魚、肉、そばなどは鉄板の上で香ばしく焼けている。
「肉は超確保!」
 れいあはおいしそうな肉を真っ先に確保する。泳ぎ疲れたミーシャは、景色と味をともに楽しむ。
「おいっス。意外に旨いぞ、このサカナ」
 同じ結社の仲間であるノブハルを見かけた竜馬は、焼きたての魚を勧める。
「おー美味いのう。八重崎もどうじゃろうか?」
「美味しいですわ」
 同じ結社員のノブハルの問いに、円花は笑顔で応える。ルーベットと竜馬、ノブハル、円花の4人は、ご馳走とともに記念写真を撮る。
「円花さん、浜辺は充分楽しめた?」
「ええ、楽しめましたわ」
 胸元と裾にフリルがあしらわれたワンビースの水着を纏う円花は、孔明の問い掛けに頷く。
「円花さんって水泳が得意そうなイメージが何の抵抗もなく納得できるん……えっと、円花さん、目が……ほっ、ほら、お肉とか焼けてるみたいだから取ってくるね」
 そう言って孔明が取って来たのは、沖縄地鶏の胸肉。
「ふふっ。孔明さんたら……」
 青筋を立てる円花の笑みに、孔明はおののく。
「お昼ご飯ー」
「…めっちゃ目移りするわぁ。いっそ全部食えばええか!」
 るりは煌が取り分けてくれる食材を食べながら、午前中の楽しかった海の思い出を語りあう。
「あう……浮き輪がひっくり返ったのはちょっと油断しちゃったんだもん」
 話の合間に浮き輪事件を持ち出され、るりは慌てる。
「いやほんま怒らんとってな」
 怒らせてしまったのかと慌てた様子の煌に、るりは笑顔を向ける。
「いつか、また来たいね」
「でも、次は恋人と一緒でも、いいんじゃないかしら? ふふっ♪」
 その言葉に頷きながら返された泰花の言葉に、香月の白い頬に朱が散る。
「また、遊びに来れたら良いな。今度は2人っきりで」
「……そうだな。そんなのも、悪くはないな」
 龍の言葉にスペルヴィアは微笑む。
 これからも宜しくと言葉を交わし合う八重と火蜂、真琴を見つめ、ルアスも笑顔で頷く。
「悪い子は居……、じゃなかった。ゴミはあるかー」
 お腹がいっぱいになって浜辺で寛ぐ仲間たちの間を綾はゴミ袋を担ぎ、声をかけて歩く。

 無人島で作った思い出は、今日の日のようにキラキラ輝くものとなる。
 そんなふうに思わせるほど、彼らの顔には初夏の太陽よりも明るい笑顔が溢れていた。


マスター:縞させら 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:80人
作成日:2009/06/26
得票数:楽しい27  ロマンティック1 
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