雨のち血の雨


<オープニング>


 雨上がりの午後。
「くらえ! 神速居合い斬り!」
「その技はもう見切ったぞ! 秘剣電光石火斬!」
 学校帰りの小学生が傘でチャンバラごっこをして遊んでいる。
「男子ってホント子供よね」
 などと笑いながら、同じクラスの女子が通り過ぎていくが、男の子達は気にも止めない。
 男の子達にとっては女子に反論する事よりも、今は目の前の戦いの方が大事だからだ。
「よし、そろそろ決着をつけてやるぞ!」
「望むところだー!」
 家が近付いてきたのでそろそろ決着をつけようという事になり、男の子達は打ち合いを止めて、最後の一撃を放つ為に間合いを取る。
 ある程度間合いを取った所で2人が振り返ると、いつの間にか高齢の男女が立っていた。
(「あれ? いったいどこから……?」)
 と、子供達が思っていると……。
「うるさいわ! このクソガキどもっ!」
 殺気立った目で老人が叫んだ。
 そして次の瞬間、2つの首が宙を舞った。

「皆さん、集まったようですね。それでは依頼の説明を始めたいと思います」
 能力者達が教室に集まった事を確認して、山本・真緒(中学生運命予報士・bn0244)が口を開く。
「今回皆さんに退治してもらいたいのは、とある路地に現れる地縛霊です」
 そこまで言うと真緒は机の上に地図を広げ、地縛霊が確認された所に赤いペンで丸を書く。
「地縛霊が現れるのはここです。呼び出し方はとても簡単で、少し騒げばすぐに現われます」
 そんな簡単な条件にも関わらず、今のところ犠牲者は0だと真緒は言う。
 周囲の建物の大半が築40年前後の古い家で空き家も多く、住人も年寄りばかりで、人通りが少ないのがその理由らしい。
「ですが、数年前から周辺の開発が進み、この路地を抜けて少し行った所に大きなマンションがいくつも建つようになりました」
 その為、最近ではマンションに住む子供達が、登下校の際に近道しようと路地を通る事も少なくないようだ。
 幸いな事に今までは何も起きていなかったのだが……。
「このままだと今日の午後3時半頃、下校途中の小学生2人が地縛霊に殺されてしまいます。ですから、皆さんにはそれまでに地縛霊を倒してもらいたいんです。今から向かえば、遅くとも午後1時頃には目的地に到着します。子供達が来るまで2時間半はあるので、時間的には厳しくないと思います」
 元々人通りが少ない上に、能力者達が到着する頃には少し雨も降っているので、昼間とはいえ人が来る心配はしなくてもいいようだ。
「地縛霊は全部で2体。1体は男性で、もう1体は女性。どちらも70代くらいの外見です。夫婦だったのか、非常に息の合った連携攻撃をしてきます」
 連携攻撃は威力もさることながら、実力が未熟な者や深い傷を負っている者、回復を担当している者など、狙われたくない者を狙ってくるいやらしさも兼ね備えている。
 それならどちらかを先に倒して連携できなくすれば良さそうだが、話はそう簡単ではないらしい。
「どちらかを先に倒すと、残った方の攻撃力がかなり高まってしまうんです。闇雲に戦ってどちらかを先に倒したのでは、苦戦は免れないと思います。どちらを先に倒すのか、倒すタイミングはどうするのか……といった事が重要になると思います」
 そう言って真剣な表情で能力者達を見つめる真緒。
 しかし、真緒はすぐにいつもの笑顔を取り戻し、能力者達に優しく微笑みかける。
「皆さんが力を合わせれば絶対に勝てると信じています。頑張ってきて下さいね!」

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参加者
榊・悠(ロソノアレ・b05605)
常葉・紅霞(紅雪紫冥・b06728)
吾妻・楓(クリムゾンサーヴァント・b27126)
布施・命(燃える氷の掲げるは花緑青の楯・b37509)
今井・総司(蒼鉛の魔弾術士・b40660)
藍沢・結奈(幼き藍の花嫁・b42581)
無堂・理央(龍虎舞闘・b59341)
青月・ルイス(雨ニ濡レタ青薔薇・b63317)



<リプレイ>

●曇りのち雨
 午前中から空を覆っていた雨雲から、午後になって雨が降り始める。
 その影響だろう。古い木造住宅が建ち並ぶ路地は昼間だというのにかなり薄暗く、ひっそりと静まり返っていた。
「確かに、騒いだりとかって、人の迷惑になったりすることもあるけど、小さい頃とかって、普通に騒ぎながら遊んだりとかするもんだよね……」
 自分が子供の頃はどうだっただろうと、常葉・紅霞(紅雪紫冥・b06728)は懐かしい記憶を辿ってみる。
「子供を叱らない大人が増えているこのご時世、叱る事は結構なのですが……叱られた上に命まで奪われるのは理不尽すぎますからね」
 と、口にしたのは藍沢・結奈(幼き藍の花嫁・b42581)。小学5年生とは思えない何とも大人びた発言だ。
「そうだとしても、夫婦揃って叱ってくるというか、襲ってくるのって大人気ないと思わない? いやいや、そういう問題ではないのかな……とりあえず、頑張って倒そうか!」
 まったりのびのび思考でマイペースな青月・ルイス(雨ニ濡レタ青薔薇・b63317)らしく、マイペースに結論を出して締め括る。
「それにしてもこの辺りは寂しいのぅ。ここに来る前に通った道には大きなマンションがいくつも建ち並び、賑わいを見せていたのとはえらい違いじゃ」
 全く人気のしない家々に視線を向けながら、布施・命(燃える氷の掲げるは花緑青の楯・b37509)が呟く。
「でも物は考えようだよ。今からここでゴースト達と戦わないといけないって考えると、その方が都合が良い訳だしね」
 地縛霊の出現ポイントに到着し、拳で掌をパンと叩く無堂・理央(龍虎舞闘・b59341)を見て、命は静かに頷いた。
「それじゃあ誰か騒いで、地縛霊を誘き出……」
「ねーねー、ところで傘を掌に立ててフラフラーっとしなかったー?」
 理央の言葉を遮って騒ぎ始めたのは、今井・総司(蒼鉛の魔弾術士・b40660)。持っていた傘の先端を掌に乗せ、倒れないようにバランスを取り始める。
 予報士から子供達が傘でチャンバラごっこをして遊んでいたところを、地縛霊に襲われたという未来予報を聞いていたので、それに習って小学生っぽく傘で遊んで誘き出す事にしたのだ。
「おー、上手い上手い♪」
 絶妙のバランスを保ち、倒れそうで倒れない傘を見てルイスが拍手で盛り上げる。
「ねえ、やんなかった!? やんなかった!?」
 地縛霊でなくとも怒って現れそうなくらいうるさく問いかけていると、
「フザけんなよ! クソったれがよ!」
 榊・悠(ロソノアレ・b05605)が突然叫んだ事に驚いて、総司が傘を落としてしまう。
「あー悪い。地縛霊を誘き出す為に叫んだんで、別にお前にキレた訳じゃないぜ?」
「いいよいいよ。驚いて傘落とすくらいの大声だったから、これで地縛霊も出てくるかもね」
 そう言って落とした傘に手を伸ばしたその時だった。
「今井さん、後ろ!」
 何かに気付いた理央が総司に声をかける。
 慌てて振り返ると、そこには予報士から聞いていた特徴とぴったり符合する地縛霊が2体、能力者達を睨みつけながら立っていた。

●血の雨時々ゴミ
「ゴチャゴチャうるさいわ! このクソガキどもっ!」
 日本刀を手にした老人の怒号が路地に響き渡る。
「全くだよ。親の躾がなってないから、こんなクソガキどもがゴキブリのように湧いて出てくるんだ」
 老人の後ろから能力者達を忌々しそうに見つめて老婆が呟いた。
 生前、騒音や子供に悩まされる事があったのだろうか。2体の地縛霊から向けられる様々な負の感情は尋常ではない。
「これはお仕置きが必要じゃな、婆さん。ヒヒヒヒ……」
「ええ。私達が厳しく躾をしてやらないといけませんね、お爺さん。ヒヒヒヒ……」
「こうして見ると、やっぱり大人気ないなぁ……」
 背筋が寒くなるような表情で笑う地縛霊達に身震いしながら、ルイスが旋剣の構えを発動させたその時だった。
 ダンッ!
 力強く地面を蹴る音が路地に響く。老人が攻撃を仕掛けてきたのだ。
 見た目はどこにでも居そうな老人だが、ゴーストだけあって動きは人間のそれではない。実に俊敏な動きで能力者との間合いを詰めていく。
「……それでは全力で止めさせて頂く事にしよう」
「バルフィ、吾妻さんと一緒に老人の足止めをお願いします」
 迫りくる老人を足止めする為に、吾妻・楓(クリムゾンサーヴァント・b27126)と結奈の真フランケンシュタイン、バルフレッドことバルフィが前に出る。
「邪魔じゃいっ!」
 楓とバルフィが間合いに入った瞬間、老人が独楽の様に回転して斬りかかってきた。
 初太刀が深く肉を斬り裂いた後も老人の回転は弱まる事無く、更に1回、2回と斬りつけて血の雨を降らせる。
「お前らクソガキどもには、これでもお見舞いしてやるわ!」
 老人の攻撃が決まると同時に、老婆はいつの間にか手にしていたポリバケツからゴミをぶち撒けた。
 宙を舞ったゴミはまるで雹のように降り注ぎ、次々と能力者達に命中する。
 この一撃自体は大した事無いが、老人の攻撃も喰らっている楓とバルフィにはかなりのダメージだ。
「……仕方ありませんね。バルフィ、ゴーストガンドレットを使います。パワーナックルで応戦して下さい」
 地縛霊にはエンチャットを受けている者にバッドステータスを与える特殊攻撃があるので、初手でのゴーストガントレット使用は控えるつもりだったが、瀕死状態のバルフィを見てはそうも言っていられない。
 結奈はゴーストガントレットを発動させてバルフィの傷を癒し、同時に攻撃力を大幅に強化する。
 結奈の命令に従い、バルフィが強烈なパワーナックルを叩き込むと老人は言葉にならない呻き声を漏らす。
「……ゴーストとはいえ、ご老人に刃を向けるのはやや心苦しいが……しかし、そう言っている余裕もなさそうだ」
 楓は覚悟を決めると、呻き声を漏らして苦しんでいる老人の首筋に噛みついてエネルギーを吸収し始めた。
 苦悶の表情を浮かべる老人とは対照的に、エネルギーを吸収して傷の癒えた楓の顔には生気が戻る。
「すまない。此方も余裕がなくてね……手加減出来ないんだ」
「吾妻殿、大丈夫か? 今回復するのじゃ」
 微笑を浮かべて口元を拭っている楓に、命が治癒符を飛ばして更に傷を癒す。
 地縛霊達には回復を担当する者や実力が未熟な者などを狙う習性がある為か、殺気立った視線が命に向けられる。
「次の標的にわしを選んだか? じゃが子供達の為にも敗北は許されぬ。そう簡単に倒されるつもりはないぞ」
 命は臆する様子を見せず、逆に鋭い視線で地縛霊を睨み返す。
「キナ、俺達も地縛霊に負けない連携攻撃を見せてやるっすよ」
 地縛霊達の視線が命に向けられている隙をついて、紅霞がケットシーガンナーのキナに合図を送ってジェットウインドを放つ。
 それに合わせてキナもマントを翻し、黒光りする2丁の拳銃で制圧射撃を行う。
 息の合った動きは地縛霊達を上回っているかもしれないが、残念ながら技の精度では地縛霊達に分があったようだ。
 ジェットウインドも制圧射撃も命中はしたものの、会心の当たりではないので足止めするまでには至らない。
「野良猫までいるのかい? 本当にやかましくて腹が立つねぇ、ヒヒヒヒ……」
「やあ元素敵なお嬢さん! そんな顔ばかりしてると皺が増えちゃいますよ?」
 キナを野良猫呼ばわりし、不快感を露わにした表情で睨みつける老婆に総司がオトリ弾を放つ。
「私は今でも素敵なお嬢さんだよ」
 命中するかに思われたオトリ弾だが、図々しい事を言いながら老婆は払い除けてしまう。
 それを見てガックリ肩を落としていると、背後から総司を励ます声が聞こえてくる。
「そんなに落ち込むなよ。戦いはまだ始まったばっかりだぜ」
「そうそう。次、当ててくれたら問題無いよ。期待してるからね」
 と声をかけて、悠と理央は狭い路地を風の様に駆け抜ける。
 老婆との間合いを詰めた2人は視線を交わして、攻撃の合図を送る。
「総司のオトリ弾はお気に召さなかったみたいだな。それならオレが紅蓮撃をプレゼントしてやるぜ!」
 有無を言わさぬ勢いで、悠が紅蓮撃を叩き込む。
「年寄りだからって遠慮しないよ。全力でやっちゃうからね!」
 続いて理央が趣味のダンスを活かしたリズミカルな動きから、龍尾脚を炸裂させる。
 熱を帯びていく戦いに合わせたかのように、降り注ぐ雨は激しさを増していた。

●血の雨のち晴れ
 地縛霊達はどちらかが倒されると残った方の攻撃力が大幅に増加してしまう特徴がある。
 その時の被害を最小限に抑える為に、能力者達は両方にできるだけ均等にダメージを与えてどちらかを倒し、残った方に総攻撃を仕掛ける事にしていた。
 初手の攻防でメンバーを2組に分け、作戦どおり地縛霊を弱らせている事に成功しているが、能力者達の圧倒的優勢という訳でもない。
 使用できる回復アビリティに制限があるので、ダメージを完全に回復する事が出来ず、回復しきれなかった分がじわじわと蓄積しているからだ。
 現状では五分と五分。何かのきっかけ1つでどちらに勝利が転がり込んでもおかしくない、そういう戦況だ。
「しつこいクソガキどもじゃ。いい加減にくたばったらどうじゃ? ヒヒヒヒ……」
「本当に腹が立つねぇ……このガキどもがっ!」
 老人の斬撃に合わせて老婆が怒鳴り声を上げる連携攻撃が決まり、エンチャットを受けているルイスとバルフィが超猛毒に侵される。
「この状況じゃ俺は攻撃に回れないっすね……俺の分まで頼むっすよ、キナ」
 傷を癒し、超猛毒を取り除く為、紅霞はジェットウインドではなく浄化の風を選択した。
 紅霞が制圧射撃による老人の足止めを期待している事は痛いほど分かっている。なんとしても期待に応えたい。その一心でキナはトリガーを引いた。
 パンパンと乾いた銃声が響き、放たれた弾丸が両足に命中すると老人は自分の身体に異変が起きた事に気付く。
「あ、足が動かん……!?」
 足が動かなくなり、老人は困惑した表情を浮かべた。どれだけ必死に動かそうとしても両足は言う事を聞かず、全く動かない。
「キナ、やったっすね!」
「………」
 紅霞が親指を立てた右手をに突き出すと、キナは照れくさそうにカウボーイハットを被り直した。
 この一撃がきっかけとなり、膠着状態の続いていた戦況が一変する。
「今がチャンスですね。バルフィ、次の一撃で決めますよ」
「オオオオッ!」
 しっかりと狙いを定めて結奈が穢れの弾丸を撃ち出すと、バルフィがそれに合わせてパワーナックルを繰り出す。
 決まった――と思われたが、老人はなんとかこの攻撃を耐え抜いた。
「おのれ、クソガキども……」
 老人の足は未だに動かず、悔しさと怒りでその身を震わせる。
 どれだけ口が悪く、強烈な攻撃を放ってこようとも、その姿はか弱い老人そのもの。
 ボロボロになったその姿には同情してしまいそうになるが、人間に仇なすゴーストである以上、情けは無用だ。
「では……ご覚悟願おう」
 老人に止めの宣告をして、一気に間合いを詰める楓。
 それに対し、老人も独楽の様に回転して楓を迎え討つ。
 鈍い金属音が鳴った。回転して勢いを増した日本刀を、両手に持った独鈷杵で楓が払い除けた時の音だ。
 これで老人が回転力を失うと楓は素早く背後に回り込み、首筋に強く歯を食い込ませていく。
「ウルサイ……ウルサイイィィッ……!」
 エネルギーを吸い尽くされた老人は断末魔の叫びを上げて、雨に流されるように消えて行った。

●雨のち晴れ
「よくもお爺さんを……絶対に許さないよ!」
 老人が消滅するとそれがスイッチになったのか、老婆の姿に変化が現れる。
 黒い炎の様なものを身に纏い、顔も怒りを前面に押し出した恐ろしいものへと変わっていく。
「分かりやすいくらい攻撃力が上がりましたって姿だなー。攻撃喰らったら痛そー……」
 老婆の迫力に気圧されて、ルイスは思わず後ろに下がった。
「見た目のイメージからすると、かなり強くなっていそうじゃな。長引かせる訳にはいかぬ……必ず倒してみせるのじゃ」
「うん、ここで決めなきゃ男じゃないよね」
 老婆の動きに注意を向けつつ、命と総司は攻撃を仕掛けるタイミングを計る。
「何をゴチャゴチャ喋ってるんだい。そんなに喋りたきゃ、あの世でゆっくり喋りな!」
 腰を落として捻り、老婆はいつの間にか手にした大きなポリバケツのゴミを投げる体勢に入った。
 攻撃力が大幅に強化されている今、能力者全員を狙う事が出来るこの攻撃を喰らってしまったら、さっきとは逆に能力者達が窮地に追い込まれてしまう可能性がある。それだけは何としても避けなければならない。
「申し訳ないけど、そろそろおばーちゃんも荼毘に付されちゃってもいいと思うんですよ」
 老婆がゴミをぶち撒けるよりも一瞬速く、総司の放ったオトリ弾が命中する。
 オトリ弾に攻撃力は無いので、残念ながら仕留める事は出来ないが、この一撃が決まった事は仕留めたに等しい価値がある。
 老人が倒された事とはまた違う怒りに意識を支配され、老婆は攻撃態勢を解くと総司に向かって走り出す。
 振り上げた右腕から放たれたのは、何の変哲も無いただのビンタだった。
「痛っ……攻撃力が強化されてるだけあって、いいビンタしてるねぇ」
 口元に滲む血を拭って、総司が笑みを浮かべる。
 いくら攻撃力が上がっても、広範囲に攻撃できるという長所を失った今の老婆なら怖くない。
 勝負は決したも同然だ。
「これでもう何も気にせず戦えるね。思いっきり老婆を倒すよー」
 威勢の良い事を言いながらも、ルイスは念の為に後方からダークハンドで攻撃するしたたかさを見せる。
「わしも攻撃させてもらうとするかのぅ。こいつは痛いぞ。覚悟せい」
 呪いの力が込められた禍々しい呪符を作り出し、老婆に狙いを定めて投げ飛ばす。
 威力が高い代わりに命中しにくい欠点のある呪殺符だが、命ほどの実力者が奥義まで高めた場合にはそれほどでもない。
 強烈な一撃を喰らい、老婆の身体から一気に力が抜けていく。
「さっさと灰になりやがれ、ババアが!」
「この一撃で終わらせるんだから!!」
 最早、立っているのがやっとという状態の老婆に、悠が紅蓮撃、理央が白虎絶命拳を放つ。
 凝縮した妖気を具現化した炎で身体を焼き、極限まで練りこまれた気で内部から破壊する……止めを刺すには十分すぎる一撃だ。
「サワグナ……サワグナアアアァァァ……ッ!!」
 この戦闘中のどんな声や音よりも大きな絶叫を残して、老婆は消滅していった。
 ほっと一息ついて仲間の顔を見渡すと、皆雨に打たれて髪も服もびしょ濡れだった。
 その姿に見て、誰かが大きな笑い声を上げた。
 つられて1人、また1人と笑い出す。
 もう何も心配する事は無い。
 時計の針が3時半を刻む頃、きっと元気な男の子達の声が路地に響く事だろう。


マスター:春夏秋冬 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2009/07/14
得票数:カッコいい13  えっち1 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
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