力剣に籠もり


<オープニング>


●力剣に籠もり
 けいはんな学園都市は中央辺りに位置する高山地区。
 オフィスや大学があるこの土地は、大阪からも距離が近い優れた立地。
 そんな大学の学生だろうか……数人の若者が、夜間近の時間、駅に向かってだべりながらのんびり歩いていた。
「ふわぁ……俺、明日も課題だよ。全くめんどくせーなぁ」
「俺もだよ。あ〜ぁ……夏休みまであと少しだけど、その前には試験もあるしなぁ」
 そんな不平不満を漏らす学生達……その背後に、五つの影。
 ガチャン、ガチャン……と音を立てて歩くその影は、一歩一歩……彼等に近づいてきている。
「ふぁ〜……ん?」
 何かの気配を感じ、立ち止まる彼。
 静かに後を振り返ると……そこには、鎧に身を包んだ姿が五つ。
 そしてその手には、銀色に煌めく……身体と同じ位の大きさの大剣が。
「……う、うわわ!! な、なんだてめぇ!」
 驚く彼……しかし鎧は答えることなく、剣を振り上げ……。
「に、逃げるぞ! 皆!」
「お、おう!!」
 取る者取らず……靴も脱げながら、走る学生達。
 その後ろ姿を五つの影は追いかけることなく、その場に立ち尽くしていた。
 
「皆集まってくれてありがとな」
 神丘・崔(高校生運命予報士・bn0103)が、集まった君達を前に、軽く頭を下げる。
 その傍らには、先日帰還したディスティニーサーガのサーバー破壊作戦の報告書。
 それを手に取りながら。
「集まって貰ったのは他でも無い。先日のサーバー破壊作戦に行った者達から、驚くべき報告があったんや。これを見て欲しい」
 と、崔は報告書の一部分を指差す。
 そこに記されていたのは、ディスティニーサーガの黒幕の目的……人造生命の創造。
 コンピュータデータから人造ゴーストを産み出す事が、明らかになったと記されていたのだ。
「幸いな事に、破壊に向かった皆のお陰で、計画阻止には成功したわ。しかし不完全な状態で起動されたプログラムは、周囲に黒幕の目的に近い、人造ゴーストを出現させてしまったんや」
「不完全な存在とは言うたが、一般人にとって脅威なのは当然や……皆への依頼は、この人造ゴースト達を退治してきて欲しいという事なんや」
 そう言うと崔は、改めてそのサーバーのあった地……けいはんな学園都市の地図をホワイトボードに貼りだす。
 そして奈良県にある高山地区の辺りを指差しながら。
「この地区には、大剣を軽々と振り回す魔王クレセントムーンのゴーストが現れているようや。その数は……五体」
「これらゴーストは、その姿の通り大きな剣を持った姿が特徴的なヤツや。そしてその剣を片手でゆうゆうと振り回し、近づけば強力な力で斬りかかる……という物騒な奴らやな」
「今の所は、直接的な被害は出てはおらん。偶然彼等の姿を見かけた学生等が、剣を振り上げられた所で驚き逃げるといった程度の被害や」
 しかし……改めて皆を見渡すと。
「……このまま時間が経過すれば、間違い無く被害者が出てくるやろう。大至急彼等を見つけ、退治してきて欲しいんや」
 更に崔は、さらに一つ。
「どうやらこの現場近くに、一体のケルベロスベビーがいるみたいなんや。こいつは唯一完全な姿で出現したゴーストのようで、不完全に出現したゴーストを攻撃しようとしてくるらしい」
「つまりは……皆と同じで、ケルベロスベビーはクレセントムーンに牙を剥くって訳や。ただ……ケルベロスベビーが味方という訳ではない。クレセントムーンを倒した後に、ベビーも倒す、もしくは無力化して連れて来て欲しい」
 そして最後に。
「このディスティニーサーガも長かったが、これで終幕の時や。皆悔いの残らぬよう、奴らにケジメつけてきてくれや。な!」
 と崔は、皆を元気づけるように強く頷くのであった。

マスターからのコメントを見る

参加者
彩霞・響姫(掠奪侯・b02204)
櫻・広樹(踊るハイエナ道化師・b03077)
六地蔵・忌子(箱の姫君・b10273)
シャンフォン・チュン(黒衣のトンデモ少女・b18843)
玖波・心太郎(綺想曲・b22776)
八神・海音(夜想曲・b28336)
北条・糸吉(グスコーネリの伝記・b47495)
小鳥遊・桐音(月光の狩人・b53243)
六連・甲(はぐれ妖怪・b56989)
シュヴール・ルドルフ(ラダティスアウェイクナー・b57139)



<リプレイ>

●学舎に迫る黒い影
「……色々とあったよな、今まで。ゲームに始まり、現実世界への浸食とはな」
 シュヴール・ルドルフ(ラダティスアウェイクナー・b57139)がぽつり呟いた一言。
 今回能力者達が崔の話を聞いてやって来たのは、けいはんな学研都市の高山地区。
 中央部辺りに位置するこの地区には大学もあり……研究色の高い地区である。
 そんな鎌倉から遠く離れたこの地へとやって来たのは……数週間の間続いたディスティニーサーガの決着を付ける為であるのは間違い無い。
「ディスティニーサーガの騒動、その目的がコレですか。人造ゴースト……害を為す存在。ならば私達のやる事は変わりはしません。いつも通り、速やかに処理しなければ……」
 六連・甲(はぐれ妖怪・b56989)が宵闇空に向けて一言呟く。
 ディスティニーサーガの目的は、人造生命の創造。
 結果としては、その目的は達せずして終わったが……その残り香は、このけいはんな学研都市に色濃く残っている。
 今ここに、プログラムの暴走により産み出された多くのゴースト達が現れた。能力者達は、このゴースト達を全て叩き潰さなければならない訳で。
「フザけた後夜祭だよな。敵も敵で、倒されるためだけに現実にわき出てきた事には同情するが……だからといって許せる訳がない。きっちり電子の藻屑にしてやらないとな」
 シュヴールの言葉に対し。
「本当にゴーストを作るなんて許せないネー。騒ぎにならないように急いで退治するヨー」
「そうなの。開発者にはゲームと現実の区別をきっちりと教えて上げたい所なの」
 とシャンフォン・チュン(黒衣のトンデモ少女・b18843)に、六地蔵・忌子(箱の姫君・b10273)がこくり、と頷いている。
 勿論目的は達せず、人造生命は作られはしなかった。
 ただ……プログラムの暴走により、そこに無い筈の人造ゴーストが産み出されてしまう。
「本当にディスティニーサーガは、厄介なシロモノを作ったものですね。兵器に転用するつもりだったのか、はたまたは科学の限界を追っただけなのでしょうか……」
 顎に手を当てながら、北条・糸吉(グスコーネリの伝記・b47495)が溜息を一つ。
「全く不愉快な事だ。まさかゲームでひたすら倒していた敵が現実世界にも現れる等とは……」
「本当になぁ……ゲームの十人が現実に出てくるってのは、ファンタジー小説とかでもよくあるけど、まさか実際に起きるとはなぁ……それも、モンスターばっかりって、どんだけはた迷惑なんだよ」
 八神・海音(夜想曲・b28336)と、玖波・心太郎(綺想曲・b22776)の二人が言うように、現れたのは敵側の立場に立っていた者だけが産み出されている。
 更に今回能力者達が戦うのは魔王クレセントムーン。それも五体が、不完全な形で産み出されているとの事。
「不完全とは言え、相手は魔王ですか……油断しない方がよさそうね」
 と、小鳥遊・桐音(月光の狩人・b53243)の言葉。
 ……しかし、そんな不完全と言う言葉に、彩霞・響姫(掠奪侯・b02204)が拳を握りしめながら。
「……不完全、か。その結果疎まれ、消される……可哀相と言えば簡単ですけれどね。でも……手加減する理由にはなりません。何よりも、不完全な存在は鏡を見ているようで……とても不愉快です」
 と、唇を噛みしめている。
「まぁなぁ……起きちまったもんはしゃーない。さくっと倒してこの事件終わらせようぜ」
「ああ……2週間も寝不足になった恨みをここで晴らさせて貰おう。今回は忌子殿、心太郎殿が居るし、とても心強いものだ」
 そんな響姫と心太郎の言葉に海音が軽く微笑みながら声を掛けると、響姫はふぅ、と大きく息を吐き出して。
「……そうですね。全力でやらせて頂きましょう」
 とにっこり微笑む。その笑顔に、皆……少し張り詰めた気分が和らいだ気もする。
「そういえば……現れるゴーストの中には、ケルベロスベビーがいるんだっけ? 出来れば連れて帰りたい所だが……果たしてどうかな?」
 と櫻・広樹(踊るハイエナ道化師・b03077)が、ふと思い出したように一言。
 今回ディスティニーサーガにより現れたのは、ゴーストだけではない。
 完全な存在として、ケルベロスベビーとケルベロスも一緒に具現化しており……今回崔が言うには、ケルベロスベビーがこの場に現れている、と言う。
「ベビーか……どんな感じなのかしら。きっととても可愛いのよね?」
「多分、な……出来れば連れ帰りたい所ではあるが、果たして俺達の事を信じてくれるか……」
 桐音の言葉に広樹が苦笑。
 例え可愛い存在であったとしても、能力者達と共に戦ってくれたとしても……ケルベロスベビーは味方という訳ではない。
 対処を間違えば……自分達に牙を剥いてくる事もあるだろう。
「うーん、どういう事を考えているか気になるヨー。でも油断は禁物ネー、どちらにも対処出来るようにするヨー」
「そうですね……。いざとなれば……石化させるしかないかな?」
 シャンフォンの言葉に糸吉が小首を傾げる。
「出来る事なら捕獲はしたい……ですが、さてはて……ですね。ともかく、こちらから攻撃を仕掛けないように、皆で注意して行きましょうか」
 甲の言葉に皆改めて頷いた……その時。
 暗闇の中に、ガシガシ……という足音。
「む……? あれがそうじゃないかネー?」
 シャンフォンが指差した先……街灯に薄暗く照らされた鎧甲冑のその姿。
 そしてその前には……小型犬のようなその姿が見える。
「居たな……よし、皆行くぞ!」
 広樹の言葉に皆頷いて、能力者達は一斉に走り始めた。

●その力剣に
「さて、人造ゴースト……余計な者を産み出して、迷惑極まりません。ここで倒れて貰いましょう」
 響姫が、五体のクレセントムーン達に対し、真摯な瞳で宣告。
 突然現れた10人の能力者達の姿。しかし……両者の間に立つケルベロスベビーは、その小さな身体を精一杯大きく見せながら、目の前のクレセントムーン達へ牙を剥いている。
「まずは敵の動きを止めるネー。糸吉、頼むヨー」
 シャンフォンの言葉に糸吉は頷き、一気に駆けてクレセントムーン五体をその射程圏内に先ずは捕らえる。
「水面に浮かぶ三日月を……惑わせ、靄之内!」
 と、即座に放つ八掛迷宮陣。
 五体のクレセントムーンを、次々と拘束の罠に仕掛けていく。
 ……しかし、掛かったのはその内三体。残る二体は、ベビーを狙って動き始める。
「アンタの相手は……オレだっ!」
「ならこっちは私が……っ!」
 二匹に対し、即座に広樹と甲が接近……両者の間に立ち塞がる。
 クレセントムーンの強力な一閃……その攻撃をきっちりと受け止めながら、まずは己の強化を施す両者。
 他の仲間達も、それぞれ己の強化を施し、戦闘準備を整え、同じくベビーとクレセントムーンの間に立ち塞がる。
「うむ、これで大丈夫……なっ!? か、かわいい……っ!」
 ケルベロスベビーに向かって振り向いた海音が……一目でその愛くるしい姿形に心奪われる。
 しかし今は戦闘中……直ぐに頭を振り、闘いであることを改めて認識して。
「いかんいかん……敵の敵が味方とは限らぬ、冷静に対処せねば!」
 と叫ぶ。
「一匹ずつ確実に倒して行くネー。ベビーには攻撃しないように気をつけるヨー」
「勿論なの。月夜、凍えし夜の狭間に落ちるが良いの」
 と、忌子が氷の吐息を放つ。
 冷風がその場を包み込み、二匹のクレセントムーンの体力を大きく削る中、シャンフォンも。
「近寄らなければ怖く無いヨー」
 と、スピードスケッチでクレセントムーンの姿を書き写し、攻撃を放つ。
 対してのクレセントムーンは、能力者達の攻撃を受けながらも、それを上回る体力で以て強烈な反撃を一閃。
「くっ……力任せですか、連中は。破壊力は脅威ですね……しかし、力だけでは何も出来はしませんよ」
 甲はそう宣告しながら紅蓮撃の一撃。
 更に後方からは。
「甲のクレセントムーンに集中攻撃行くわよ!」
 と、桐音の指示に合わせ、海音の呪いの魔眼と、心太郎の光の槍が重ねて狙う。
 更に糸吉は、クレセントムーンの強力な一撃でダメージを喰らった仲間を治癒符で次々と回復。
 クレセントムーンの数を減らす為に動く中……一人シュヴールは、ベビーの近くに接近。
 ベビーがクレセントムーンの固い装甲に対しても、臆することなく噛み付き、爪でひっかき続ける。
 そんなベビーの狙う敵に、同じく攻撃を仕掛けるシュヴール。
 ケルベロスベビーは……何故、といった表情を投げかけてくるが。
「……俺達は、ベビー、お前を助けに来たんだぜ」
 と、ベビーに一言だけ告げて攻撃の手を緩めない。
 言葉よりも行動……戦う者であれば、闘いの中で判る言葉もある。
 シュヴールはそう信じ、ベビーと同じ敵を攻撃する事により、自分達が敵ではない、と判らせようとしていたのである。

 そして戦闘開始から数刻。
 的確に動ける者を制限し、倒して行く手法は功を奏し……既に四体のクレセントムーンが倒れ、残りは……体力も残り少ないクレセントムーンのみ。
「後はこれだけですね……。はた迷惑な人造ゴースト事件は、これで最後にして貰いましょう」
 響姫の言葉に頷き合う能力者達。
 そして……四方八方からクレセントムーンを囲む。勿論……その包囲網には、ケルベロスベビーも。
「……皆で、一気に仕掛けるの。ベビーに合わせて、強烈な一発を叩き込むの」
 忌子の言葉。そして……ベビーの動きに皆が注目を集める中。
 ベビーは果敢にも、残り一匹となったクレセントムーンに噛み付き掛かる。
「今だっ!」
 広樹の号令一下、一斉に攻撃が放たれる。勿論狙いはクレセントムーンただ一匹。
 爆風に乱れ舞う中、クレセントムーンの身体は……土の上に横たわったのである。

●気高くあれ
 そして……戦闘終了後。
 戦闘を終え、ケルベロスベビーは暫しの間、倒れたゴースト達の方をまだ見つめている。
「……さて、どうしたもんかね」
 そんなケルベロスベビーの幼くも凛々しいその姿を見て、広樹がぽつり一言。
「……どうする、皆。この子を連れて帰らないといけないのよね?」
「そうですね……でも、大人しく着いてきてくれるでしょうか……」
 桐音と響姫が言葉を紡いだその時……ゴーストの姿の消失と共に、ベビーは静かに能力者達の方へ向き直る。
(「……か、可愛い……っ」)
 そのあどけなさも残る表情に、また一目で心を奪われる海音。
 勿論その言葉を口に出すことはないが、その表情を見ている心太郎には丸わかりである。
「全く……よしよし、良い子だ〜……噛み付かれたりしないかねぇ?」
 心太郎がそう良いながら目の前で蹲り、視線を合わせながら手を差し出す。
 しかし心太郎の視線に、ケルベロスベビーは……明かな警戒心をむき出しにし、牙を剥いている。
「うーん。単純に仲間にはなってくれないか?」
「そのようですね……大人しく捕まっては……くれないでしょう」
 甲が軽く溜息を吐きながらの一言。
 続けてその横からシュヴールが接近し。
「俺達は敵じゃない。君を助けに来たんだ……」
 シュヴールの言葉。ベビーはシュヴールの言葉に対しては、多少聞く耳を見せているようで、彼の目の前にちょこんと座っている。
 しかし、ベビーが人の言葉を理解出来ているか、それは判らない。
「君を、銀誓館学園に連れて行きたいんだ。このままだと、君も危険だろ?」
「……」
 そんなシュヴールの言葉に……ベビーは無言でじーっと見つめ返してくる。更に糸吉も。
「キミが手伝ってくれたのには感謝してるよ。でも、キミをこのまま放っておくなんてできない。ボクらと一緒に来てくれないかな?」
 しかしその言葉も、ベビーは頷きもしない。ただ……能力者達との間に、僅かな距離を保ったまま。
「うーん……どうやら上手く言葉では伝わってないようネー?」
「そのようなの。なら……ちょっと試してみるの」
 シャンフォンの言葉に、忌子が続けてベビーの前に。
 パソコンを取り出し、無線LANを浸かった文章をベビーに流す。
「貴方が狙おうとした相手達は、全て私達が倒すの。そして私達についてくれば、お腹が減らないの。だから、ついてくるの」
 三つの文章を流し、その反応を待つ忌子。
 ベビーは、その三つの言葉に……どうやら状況は理解出来たようである。
 ただ……強くは無いものの、警戒心はまだ明らか。
「汝は、一人で戦っておったのか? 寂しくはなかったのか?」
 と、更に海音が接近……小首を傾げて訪ねると、ベビーは……微かにこくり、と。
「そうか……うぬが嫌でなければ、余達の仲間になって欲しいのだ。絶対にお主を傷つけるような真似はせん。一度我らについて来てはくれぬか?」
 言葉に加えて、更に身振りを加えての海音の言葉。
 更に糸吉がもう一言。
「出来れば、キミとこれから肩を並べて戦えるようになれれば嬉しいんだ。信じられないなら……まずはついてくるだけで良いし、嫌になったら離れてくれても構わない」
 二人の言葉に、ベビーは……剥いていた牙を収める。
 試しに……と、忌子が白燐奏甲を放つと、ベビーはその光を受け入れ、先程の闘いで負った傷も回復。
「……どうやら、受け入れる意志はあるようなの」
「そう……なら良かったわ」
 ふふ、と微笑み、ベビーの頭を撫でようとする桐音。しかしキシャーと鳴き声を上げて一歩離れるベビー。
 ……どうやらまだ、触れては欲しく無いらしい。どこかわんぱく盛りの子供……と言った感じではある。
 咄嗟に桐音は、神薙のグリップを手に取り……。
「ストップ、ネー!」
 咄嗟にシャンフォンがその手を止める。
 これが振り落とされれば、折角信じてくれた気持ちも全て水の泡となる訳で……。
「はぁ……まぁいいわ。それでどうやって連れて帰るの?」
 と桐音が訪ねると、糸吉が取り出したのは……子犬用の籠。
 ベビーの前に置いて、少し待つと、ベビーは……うんせほいせと籠を登り、中に入る。
 そしてその籠を腕に下げると、ベビーは落ち着いたようにその場に座る。
(「うむぅ……これはベビーの何と愛たらしい事か。持って帰りたいのだ、うむ」)
 ベビーの姿に……すっかり目尻が下がり、心の中で一言紡ぐ海音。
 そんな海音に、心太郎は。
「持ち帰りたいなら、まずは銀誓館にな。もし仲間になってくれるなら、その時は一緒に来てくれるさ、な?」
「む……も、もうバレバレであったのかっ!」
 慌てる海音に笑う心太郎。
 そんな二人をよそに、ベビーは籠の中で……すぅ、と眠りにつく。
 そのベビーの寝姿に。
「完全な姿で出現したとはいえ……結局ゴーストなのよね。連れ帰って、学園はどうする算段なのかしら?」
「そうだな……ま、任せておきゃいいさ。俺達の依頼はゴースト退治……だしな?」
 響姫の言葉に広樹が一言。
 そして能力者達は、深夜の帳が落ちたけいはんな学研都市を後にするのであった。


マスター:幾夜緋琉 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2009/07/30
得票数:楽しい1  カッコいい14  怖すぎ1  知的1  ハートフル2 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。