100てんまんてんスイミング


<オープニング>


「っぷぁ! だめ、だめだよ……」
 水着姿の女の子が泣いていました。
 女の子はプールの中を泳ぎますが、すぐにそれをやめてしまいます。
「私、泳げない……!」
 涙を零す女の子の、プールの周りにはぐるりと360度に大量の人間がいました。
 とてもすごい応援と歓声の嵐です。
 もし近づいて「すみません、道を譲ってくれますか」と話しかけても聞こえないでしょう。
「泳げないのではない。泳ぐのだ!!」
「兄者の言う通りです」
「全くじゃあ!」
 おや?
 プールの中にいるのは女の子だけではないようです。
「でも、こんなに見られてたら……」
「否!!」
 否って言われてしまいましたよ。今時「否」はないですよね。
「心を水に委ねるのです」
「そうじゃあ! おンしは魚じゃあ!!」
 魚と書いて「うお」と読みました。
「……っ!」
 おっと女の子、プールサイドに逃げ出してしまいました。
 しかし先ほどからうるさい3人組の男衆に囲まれてしまったのはもはやお約束。
「無駄無駄。ここから逃げ出す事は不可ァ!!」
「だれか……だれか助けてーっ!」

「うむー。ジメジメするねぇ」
 朝日岡・悠陽(中学生運命予報士・bn0064)はシャツの胸元をぱたぱた開いたり閉じたりしていた。
「たしかにジメジメですけど、はしたないですよ悠陽さん」
 そんな悠陽の姿に呆れたブリギッタ・シュトルツィング(まだまだ見習い・bn0167)。
 ここはピシャリと叱って恥じらいとかそういうのを、
「仕方がないじゃんー。あ、時間みたいだしはじめよっか」
 オゥ、うやむやにされてしまった。
「みんなに集まってもらったのは他でもない! 悪夢にとらわれた女の子を助け出してほしい!」
 急にしゃきしゃきし始めた悠陽。
 やれば出来る子なのだろうか。
「知ってる人も多いだろうけどこのままほっとくとこのコ、弱って大変なコトになっちゃうから」
「もちろん、ナイトメアの好きにはさせません!」
 ブリギッタは力強く頷き、悠陽に先の話を促す。
「頼もしいねぇ。ちなみに女の子の名前は『みなも』ちゃんっていうから」
 みなもは小学4年生くらいだそうだ。
「なるほど。それで今回はどんな悪夢なんですか?」
「んー、プールかな」
「プール?」
「ほら、スイミングスクールとかってあるじゃん?」
 公共のプールではなく、民間が営業しているような屋内のスイミングスクールのような場所が悪夢の舞台となっているらしい。
「では、泳ぐのが苦手で……?」
「いんや、水泳は得意っぽいよ。ただ……」
 悠陽は一呼吸おき、能力者たちの顔を見た。
「『人に見られる』のが苦手みたい」
 自由に泳ぎ、遊ぶ分には問題ないのだが、コンテストや競技、テストといった『観衆』がいる前ではどうにも泳げなくなってしまうのだそうだ。
「むぅ」
「プレッシャーに弱いっていうのかな? 恥ずかしがり屋さん? そんな感じかも」
 悪夢の中ではそういった弱点が魔物として現れる傾向がある。
「てなワケで、みんなにはまず3人の鬼コーチどもを倒してもらおう!」
「鬼コーチ!」
 つまりはスイミングスクールの講師風の魔物。
「リーダー格っぽい熱血漢と、クールな二枚目と、体格がよくて顔が濃いおっさんの3人」
 無駄に個性的だった!
「それぞれの武器は――熱血は短めのコースロープを、二枚目はビート版2コを、おっさんはゴーグルからビームが出る」
「すごいおじさんですね!」
 すごいのか。
「まぁ、みんなならそんなに難しい相手でもないし、さくさくーっとやっつけちゃえばいいじゃない」
「ふむふむ」
「問題は例のごとくその後ね」
 そう、ただこの悪夢の魔物を倒しただけでは少女は目を覚まさない。
 少女の弱点をどうにかして克服しなければならないのだ。
「どうしたらいいのでしょう……」
「さあねー。それを考えるのがキミたちの仕事でもあるからね」
 何か人前で堂々と泳ぐためのアドバイスや特訓などを考える必要があるだろう。
「んじゃ、コレ」
「ティンカーベルの粉ですね」
「うむ。あ、そうそう。忘れてる人がいるかもしれないから言っとくけど、夢の中だからって死んでも大丈夫ー、とか考えてないよね? フツーに死ぬから気をつけてよね」
 能力者たちは悠陽からティンカーベルの粉を受け取ると、しっかりと頷いた。
「それじゃ、行ってら――」
「あ!」
「あ?」
「あの、参考までにですが……みなもちゃんはどんな水着を」
「…………紺色のふつうの水着だけど」

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参加者
風見・莱花(高雅なる姫君・b00523)
鈴木・奈津美(魔剣士・b02761)
霧崎・真司(静かなる癒しの水面・b05971)
山道・勁(新しい風通り抜ける道・b07512)
羽鳴・竜太(暁闇に掲ぐ盾・b16343)
朝穂・魅海(とこなつ・b50234)
十六夜・夏菜(小学生ショタヴァンパイア・b54107)
レティシア・ブルーウォーター(レティ子・b60664)
NPC:ブリギッタ・シュトルツィング(まだまだ見習い・bn0167)




<リプレイ>

●衝撃のプールサイド
「泳ぐのだ! さあ!!」
「死、さもなくば水泳です」
「おンしは逃げられんのじゃあ!!」
 プールサイドには怒号が響いていた。
 影の観客たちの歓声もものともしないそれは、屋内プールならではの残響を轟かせている。
「もう、やだよ……助けて……!」
 その中心には一人の水着姿の少女。
「うむ。これは教育的な指導が必要とみるが、どうか」
「兄者がそう判断したのであれば」
「指導こそが正義じゃあ!!」
「ひっ!?」
 まさに絶体絶命。
 だが、その時!
「待ちなさい!」
「「「む!?」」」
 むさい男共や少女とは違う、何者かの声がプールサイドに響き渡った。
「女の子を泣かせるとは感心しませんね。そのねじ曲がった指導のツケ、たっぷり後悔して貰いましょうか!!」
「我らが聖地に土足で入り込むとは……何者だ!!」
 少女の危機を救った声の正体こそ、霧崎・真司(静かなる癒しの水面・b05971)その者である。
「いえ、その……名乗る程の者ではないのですけれど……」
 若干仲間たちの後ろに隠れるように立つ鈴木・奈津美(魔剣士・b02761)が小さな声で言った。
「あら、せっかくだから名乗らせてもらえばいいじゃない」
 ずずいと前に出るのは、
「アタシは水泳部部長の十六夜・夏菜よ!!」
 よく焼けた肌がせくしーな水着少女十六夜・夏菜(小学生ショタヴァンパイア・b54107)!
「水泳、だと?」
「よく名乗られました」
「ワシらはァ!」
 水泳という単語にぴくりと反応する謎の指導者三人組。負けじと名乗り返そうとするが、
「ブルービートにゴーグルイエロー」
 しかし山道・勁(新しい風通り抜ける道・b07512)には全てお見通しなのだ。
「誰!?」
「しかしレッドは……何者だ」
 こっちが聞きたい!
「みなもちゃんみなもちゃん、今のうちにあちきたちの方に来るですよぅ」
 ごたごたしている間にレティシア・ブルーウォーター(レティ子・b60664)はちょいちょいと囚われの少女、みなもを呼び寄せる。
 状況はわからないが、レティシアのところまで駆け寄るみなも。
「プールサイドを走るとはけしからん!!」
「全く」
「そン通りじゃあ!!」
「うるさいッスよ、そこの変態三人組!」
 ぴしゃりと変態どもの言葉を払いのける朝穂・魅海(とこなつ・b50234)。
 そのまま魅海はみなもを自分の後ろに隠すように手を引き、顔を合わせる。
「魅海たちがきたから、もう安心ッス♪ 変態おじさんなんか、ちょちょいとやっつけるッスよ!」
 自分よりも背は小さく、年少なのだろう魅海の笑顔が今のみなもにはとても心強く感じられた。
「あ、うん……ありがとうみうみ、ちゃん……?」
「そうッス! 魅海ッス!」
「やっぱり歳が近い子がいると早く打ち解けてくれそうね」
 風見・莱花(高雅なる姫君・b00523)は笑顔を見せたみなもを見て安心したように呟いた。
「ですね。みなもちゃんと完璧に仲良くなるためにもまずは」
「あのコーチを倒す事、ね」
 ブリギッタ・シュトルツィング(まだまだ見習い・bn0167)は莱花の言葉にこくりと頷く。
 問題のコーチはというと、
「暑っ苦しいたらありゃしねェ、ただでさえ暑いってのによ!」
「暑」
「苦しい」
「じゃとォ!?」
「そもそもそのコンビネーションは何なんだ!」
 羽鳴・竜太(暁闇に掲ぐ盾・b16343)と言い争っていた。
 そして何故かヒートアップする歓声。
「あと外野、うるせェんだよ!」
「暑いのもそうだけど、おバカな3匹にはさっさと退場していただかないとねぇ」
 今、暑い戦いがはじまる!

●ポロリは、ないんじゃないかなぁ
 戦いの気配を察知したのか、三馬鹿は――
「水と一体になれ!」
「精神なくして水泳ならぬ、です」
「根性じゃあ! 魚根性じゃあ!!」
 うるさかった。
 まあ、今時そんな精神論だけで水泳をマスターしようだなんて考えに同調する者は、
「その通り!! ゴーストにはもったいないくらいいいコトいうわ〜♪」
 いた。
「同意してどうするんですか!?」
「いいのよ。心を水に委ね、魚になる……みなも、これよコレ! この心を持ちなさい!」
 真司のツッコミもなんのその、夏菜は堂々と胸を張りながらみなもに、そして仲間たちに叫んだ。
「えう、その……」
 みなもは困った顔で魅海を見た。
「ま、まあポジティブなのはいいことッスから」
「そんな感じね。さぁて、いい言葉をいただいたトコロで……」
 夏菜は競泳水着に詠唱マントという……あ、これって小学生がよく全身をすっぽり覆う巾着っぽいタオルをマントのようにはためかせて遊んでいるような光景を髣髴とさせる……。
 さておき、マントを翻した夏菜はニヤリと笑った。
「気持ち悪いゴーストさん達、もう用なしだから、逝ってらっしゃい〜♪」
「貴様! 我々に同意しておいて」
「倒そうとでも」
「謂うンかあ!!」
 三馬鹿の中心まで滑り込んだ夏菜、そして彼女が使役するサキュバス・キュアは赤いブーメランパンツの男を見上げ、
「ショタっ子だったらアタシの隷にしてあげるのに……。もったいない!!!」
「ぐおォッ!?」
 キュアの攻撃と共にスラッシュロンドをお見舞いしてあげた。
「しょたっこって……」
 その戦いっぷりを見てブリギッタは何かを言おうと思ったが、しかしこれ以上突っ込まない事にした。
 でもやっぱり突っ込んでみようかな、とそんな葛藤をしていると、
「ブリギッタちゃん、貴方にサポートお願いするわ!」
「あ、はいっ!」
 莱花の指示にブリギッタはあわててギンギンパワーZを作り出し、仲間たちに投げまくるのだった。
「ルゥーオォォーーッ!」
 そんな中、獣の咆哮みたいなのが……。
「今のは山道先輩のゴッドウインドアタックを使うという合図!?」
 竜太はハッとしながら勁を振り見た。
 そもそも何だろう、今の合図は。どこかの戦闘民族か。
 なんと勁は見事な飛び蹴りをブルービート、もとい青いショートボクサーに炸裂させていた。
「フッ……やるようですね」
 顔面で蹴りを受け止めながら青男はニヒルに笑った。
「ブルービートは要りません。私のゴッドウィンドが尽きる前に消えるべきです」
「ならばこちらも容赦はしません!」
「むう、筋肉ダルマでもないくせに……! ルゥーオォォーーッ!」
 妙に熱い戦いを繰り広げているようだ。
「ゴッドウィンドアタックって、あんなに気安く使っていいものでしたっけ……」
 奈津美は勁が叫びまくっているのが気になったが、まぁ、きっと大丈夫なのだろう。
「むうう、不覚……!」
「駄目だったー!!」
 2発目でガードされちゃいました。
「よく分かりませんが、ここで貴女の命は尽きるのです」
 青男はガクリと膝を付いた勁に一歩、近づいた。
 両手のビート板からは氷っぽいオーラが出ている。そしてそれをゆっくりと振りかぶり、
「教育的指導!」
「させません!」
 しかしそこへ奈津美が割って入った!
「……こんな事、指導でもなんでもありません」
 奈津美は両手の長剣を強く握り締め、
「ただ人に強要させる人もコーチなんかじゃ絶対にありません!」
 力強く声を張り上げながらフェニックスブロウを放った!
「くっ!? ぐはァー!!」
「弟よー!!」
 不死鳥は青男を燃え上がらせ、そして何故かワイヤーに引っ張られるように吹き飛び、陰の観衆の中で爆発した。
「なぜ爆発を……」
「すみません、助かりました」
「いえ、無事でなによりです……」
 早くも能力者たちは青を撃破、
「勁さん、ギンギンパワーをどうぞー」
「む」
 がしゃーんぱりーん。
「サンキューブリっち」
「口で受け取るのはどうかと……」
 良い子は本物のビンで真似しないでいただきたい。
「それだけじゃ足りないと思いますからヤドリギの祝福使っておきますよぅ」
 レティシアの治癒も加わり、これで一先ず安心。
「次は魅海が行くッスよ!」
 激しい戦いを目にしたみなもは、不安そうに魅海を見つめている。視線に気付いた魅海は、
「これが終わったら、魅海とプールで競争ッスよ♪」
「う、うん!」
 みなもに笑顔を見せた。
 そしてあらためて黄色のふんどし男に意識を集中。
「……ふんどしを切らないように、注意ッス……」
「そういやヤツら、水着一丁なんだよな……」
 竜太は最悪の事態を想像して……すぐにやめた。これはヘタするととんでもない放送事故になりかねない!
「おンどりゃァ、ワシからいったろかイ!!」
 兄弟を倒された怒りに燃えているのか、黄男は頭の上のゴーグルを下ろすと、
「漢の炎を滾らせるんじゃあ!!」
「いやな攻撃だー!」
 ゴーグルビーム発射!
 しかし、この攻撃を最初から警戒していた能力者たちに大した被害は出ず、
「むお!?」
 カウンター気味に魅海の水刃手裏剣が、
「それならなァ、事故る前に倒すだけだぜ!」
 そして水刃手裏剣に気を取られていた黄男の死角から躍り出た竜太のクレセントファングが決まった!
 よろよろと後退する黄男はそのままどう、と大の字に倒れ込んだ。
「まさか……ワシが、ワシがー!!」
「まったく、何でもかんでも頑張れ言えばいいもんじゃねェだろに……」
 これで残るは赤いブーメランパンツの男のみ。
「よくぞ二人を倒した。だが簡単に我を突破できるか? 否!」
「うるさいわね。大体何でそんなピチピチのブーメランパンツなんて履いてるのよ!」
 ゴタクを並べる赤男に噛み付く莱花。
「ツッコむところはそこなんですねぇ」
「イケメンは倒れたし、全力でいくわよ!」
 後方から巨大な植物製の槍を投げつける莱花だが、その気迫や迫力は零距離のそれと変わらない。
 森王の槍は狙い通り赤男を中心に爆発し、視界が開けた時には――
「その程度か童! ならば死して教育を享受せよ!」
 わっぱ、とか言いましたよ。
 赤男は車輪みたいなのが付いたコースロープをバシィン! と床に叩き付け、
「タチが悪いですね、本当に……」
 とかやっている内に真司はぺそりと呪殺符を投げた。
「お、なんだこの……ぐほっはァー!!」
「これが僕のあなたへの指導ですよ」
 一番リーダー格があっけなかった気がするが、うん、そんなものなのだろう。

●水面のみなも
 程なくして、プールには静寂が戻っていた。
 能力者たちはみなもと向き合い、簡単に自己紹介。そして。
「あー、その……人前で泳ぐのが苦手なんだって?」
 竜太の言葉に頷くみなも。
「なんだか、体が動かなくなっちゃって……」
 特に昇級テストやタイムを計るとなると駄目なのだと涙を浮かべる。
「引っ込み思案で人前で何かするのが苦手なタイプですね」
 真顔の勁は深く頷き、
「私みたいに」
「「「え?」」」
 勁に全員の視線が突き刺さった。
「む。何か妙な事言いましたか?」
「い、いえ。続けてください」
「何か目一杯の力を出してみるといいと思います。大声を、出してみるとか」
 みなもはふるふると首を振る。
「そんな、みんなの前で大声なんて出すなんて……へんな子だって思われちゃう」
「そうですか……」
 確かに吹っ切れるというのは一つの手だろう。だが、少女にはハードルが高すぎるようだ。
「良い結果を出そうとするからプレッシャーになるのよ。みなもちゃんは泳ぐのが好きなのでしょ?」
 莱花はみなもの前にしゃがみ、優しく語りかける。
「うん……大好き」
「記録や点数なんて関係なく、自分が楽しいって思える泳ぎをすればいいのよ」
 少女は頷くが、まだ理解できた様子ではなさそうだ。
「人が気になるのであれば、ゴーグルをしたり耳栓をして周りからの視界や声を少し遮ってみるのもいいかもしれません」
「あ……」
 自分も実践した事があるのだと照れる奈津美。
 そういう方法もあるんだ、とみなもは驚いた顔をしている。
「自分しかいないと思え〜ってやつだな」
「周りのみんなに応えようとするのは確かに大事だよ。けど、もっともっと大切なのは……自分が楽しむこと!」
 あらためて話をまとめる真司。
「楽しむ、か」
「周りのことは気にしないで、自分の好きなように泳いでごらん?」
 そうすれば結果は自然とついてくるもの。真司は自分も教わった事をみなもに伝えたかった。
「まァ、あとは実際にやってみるのが一番だぜ」
 竜太は実際に競争してみようじゃないかと提案してみるが。
「でも……」
 初対面の相手に囲まれた状況ではやはり気が重いのか。
「まだ泳げないって言うの? バカね〜、人に見られるってサイコーじゃん」
 呆れた様子で夏菜が立ち上がる。
「そんなに泳ぐのが嫌なら、体で勝負なさい!」
「え、え?」
 きょとんとするみなも。
「そういうわけでブリギッタ、あんたも脱ぎなさい!」
「はい! ……ええ!? ぬぬ、脱ぐってなんですか!?」
「女のからだの魅力を男どもに存分にアピールするのよ♪ ホラ♪」
「な、なにをするんですかー!」
 ドタバタとじゃれ合う二人。それをみたみなもは、
「……くす」
「あ、久しぶりに笑ってくれましたねぇ」
 レティシアは笑顔の少女につられる様に笑顔になった。
「そうだ、まずは私たちの方で競争しますから、みなもさんが応援する側になってはいかかでしょう」
「む、それは名案ですね」
 奈津美のアイディアにより、能力者たちは水着に着替えてプールへダイブ!
 観戦し、応援し、戯れ、遊び……みなもと能力者たちとの仲は急速に縮まっていった。そして、
「勝負ッス!! と意気込んだはいいものの……全然かなわないッス……」
「へぇ、やるじゃないみなも。カンタンに負かせてあげるだなんて言ったけど、いい泳ぎっぷりじゃない!」
「泳ぎ方も綺麗です!」
 何度か競争してみた魅海や夏菜、ブリギッタたちはみなもの実力に驚いていた。
「えへへ……レティシアおねえさんのアドバイスのおかげかも」
「目標に向かって一心不乱に泳ぐ、ってやつですねぇ」
 レティシアは水の抵抗を大きく受ける部分をぷかぷか浮かせながらみなもの頭を撫でた。
「こーなったら、魅海にも泳ぎを教えるッスよ、みなも!」
「私にも教えてくれない? 私、運動音痴なのよ」
 健康優良児な魅海だが、水泳はビート板を使ったバタ足レベルなのだった。
 更に莱花も学業は優秀だが運動は……という感じらしい。
「うん、いいよ!」
「じゃあクロールを、クロールをお願いするッス!」
「いきなりハイレベルね……」
「簡単だよ、えっと、まずは腕はこうやって――」
 みなもは本当に楽しそうにしている。
「この経験はきっとプラスになるはずですよね」
「夢中になると恥や緊張は忘れる。楽しければ尚更ですか。うむ」
 真司と勁も一安心、といったところ。
「クロールはマスターしたッス! さー、魅海と改めて勝負がぼぼぼぼ……」
「わあ! 魅海さんが沈んでいきます!」
「魅海はダメね。いいわ、アタシが全力で相手したげる! 覚悟なさい♪」
 楽しそうな仲間に囲まれたみなもは、
「……うん!」
 もう笑顔を忘れ、泳げなくなる事はないだろう。


マスター:黒柴好人 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2009/08/10
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