甲羅に刻まれた悠久の刻


<オープニング>


●甲羅に刻まれた悠久の刻
 学園祭も終わり、銀誓館学園も夏休みの季節となりました。
 夏休みは、海にプールにカキ氷、そして夏休みの宿題や自由研究など、やる事がたくさんあります。
 しかし、忘れてはならないのは、学校行事の臨海学校でしょう。
 銀誓館学園では、小笠原諸島の浜辺で、8月18日〜20日の3日間、臨海学校が行われます。
 この臨海学校で、普段の授業では得られない様々な体験を楽しんでみましょう。

 なお、臨海学校が行われる小笠原諸島近海は、日本版バミューダトライアングルである『ドラゴントライアングル』の地域に含まれているようです……。
 
「皆ドラゴントライアングルっつーのは知っとるか?」
 神丘・崔(高校生運命予報士・bn0103)が、集まった君達にそう話しかけてくる。
 聞き覚えの無い名前……首を振るのに頷きながら。
「房総沖と、グアム諸島、そして小笠原諸島を結んだ3角形のエリアが、このドラゴントライアングルと呼ばれておるらしいのや。有名なのは魔の海域バミューダトライアングルやが……それの日本版ってな感じやな?」
「このドラゴントライアングルにな、多数のゴーストが存在している、という話が来たんや。彼らはディスティニーサーガを研究していた研究者達を追っていたエージェントの者達で、海外の能力者組織の一員なんや」
「ディスティニーサーガの事件はもう知っての通り、皆の力によって解決した。そのお礼に……という事で、彼らはわいらに知っている日本周辺のゴースト情報を教えてくれたんや」
 そこまで言うと、懐からメモを取り出して。
「勿論、情報の再確認はしたで? その結果、この海域を通る船舶の多くは、数年前からこの地域を不自然に避けて航行しているという事実が判明したんや。更に追跡調査の結果、日本近海で発生した海のゴーストの多くが、この海域に集まってきている事も判明している」
「原因究明と対処は別途行う必要はあるが、このままこの海域に集まったゴーストをそのままにしておく事は出来ん。ちゅー訳で……皆には夏休みの一部期間を利用して、ゴーストの数を減らす大作戦を実行してきて欲しいのや」
「場所は勿論小笠原諸島。臨海学校と一緒に一石二鳥って訳や! まぁ依頼後は夏の海を満喫する事も出来るし……どや、悪い事だけや無いと思うんやが……どうや?」
 小首を傾げる崔。
 そして頷くのを確認した後。
「という訳で、皆に倒して貰うのは海岸に上がってきてるウミガメたちや。こいつらは深夜の時間帯になると、浜辺から上陸してくるんや」
 と、地図の上に上陸ポイントを記しづける。
「時間的には深夜やし、その間……この辺りにテントを張って、待つのが一番ええと思う。その間は花火をしてみてもええし、麻雀卓を持ち込んで麻雀でもええ。海に入るのはちと危険やが……その間は自由に過ごしつつ、時間つぶししてくれてええで? ま、学生らしく、という事は忘れんでくれよな?」
 軽く苦笑する崔。そして。
「まぁ依頼もしっかり、バカンスもしっかりという訳や。皆の楽しい思い出話もわいは楽しみにしておくからな?」
 と微笑み、皆の肩を叩くのであった。

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参加者
国津・零司(虹へ向かう者・b04351)
片崎・澪(白星紅風・b05292)
レイヤ・ストラフィール(白き静謐・b14350)
桜井・ルカ(ブルーファング・b26721)
刀守・梓杜乃(メイドオブオールワーク・b42779)
クロリス・フーベルタ(戯れの蝙蝠・b49141)
坂城・祥(琅稈の魔術士・b51743)
朔文・椎(紅キ霞ノ射手・b58780)
東風・雄吾(高校生呪言士・b61916)
斎藤・斎(雨無クシテ虹ハ無シ・b66610)



<リプレイ>

●夕闇に染まる空
 2009年度、銀誓館学園の臨海学校。
 能力者10人が訪れたのは、日本の遙か南にある小笠原諸島。
 燦々と降り注ぐ太陽の陽射しが眩しい南方の楽園は、夏のささやかな一日を彩る気候。
 しかし……そんな臨海学校は、毎年恒例……依頼込み込みの臨海学校である。
「本当に臨海学校がゴースト退治って、恒例になっちまったよなぁ」
 苦笑しながら国津・零司(虹へ向かう者・b04351)が空を仰ぎ見る。
 臨海学校でも無ければ、このような場所に来ることも無いだろう……その点においては、学園に感謝も出来る。
 ただ毎年毎年事件と重なる臨海学校は……と思うと溜息が。
「全く……いい加減、催し物とゴースト退治を一緒にするのを止めて欲しいのですけれど。どうせ皆様も解っている事ですし、というか『どうせ解っているでしょう?』と、ネタの様に扱ってるのではありませんか、先生達は?」
「そうですよね。話には聞いてましたけど、ここまで銀誓館学園の臨海学校って……騒動が起こる物なんですね。何はともあれ……亀妖獣は撃退しなければなりませんけど」
 刀守・梓杜乃(メイドオブオールワーク・b42779)と、朔文・椎(紅キ霞ノ射手・b58780)の言葉。
 今回の依頼のターゲットは、夜中に海岸線に現れるという亀妖獣。
 その巨体とのんびりした動きは……余り戦いとしては歯ごたえはなさそうではあるが。
「まぁ……妖獣退治自体はやぶさかではありませんがね。ウミガメの産卵でしたら、感動出来るのですけど」
「ええ……妖獣とは言え、亀退治は少し可哀相です。倒して上げるのがせめてもの供養でしょうか……」
 梓杜乃の言葉に、東風・雄吾(高校生呪言士・b61916)が小首を傾げる。
 まあ、兎も角は目の前に広がる広大な海と、満天の星空の下……ウミガメ妖獣を退治する事が今回の依頼の目的であるのは間違い無い訳で……。
「銀誓館は、よっぽど運命に導かれる存在らしいな……特に今年は龍脈にも関係しているという話だし」
「まぁ、なんやかんや言おうとも参加した時点で依頼は完遂しなくちゃな。海を楽しみつつゴースト退治……それも又一興だろ?」
「そうだね〜。折角の臨海学校だし、思いっきり楽しも♪ あ、勿論妖獣も倒すよ? うん、むーたんも一緒にね♪」
 片崎・澪(白星紅風・b05292)、レイヤ・ストラフィール(白き静謐・b14350)に、クロリス・フーベルタ(戯れの蝙蝠・b49141)が蝙蝠のぬいぐるみをむぎゅっと抱きしめながら微笑む。
 ……更にその言葉を紡いだレイヤの傍らには大きなバッグ。釣り道具や調理道具、水着等々が入っている訳で……楽しむ気は満タン。
「すんなり楽しませてくれんのがこの学校ってな事やなぁ。ま、ええけど、夜まで時間はあるし、バーベキューでもして時間潰そか」
 桜井・ルカ(ブルーファング・b26721)がパンパンと手を叩きながら提案。
 その道具を用意してきていた零司がそうだな、とにやり笑みを浮かべる……その横で、斎藤・斎(雨無クシテ虹ハ無シ・b66610)が。
「海……」
 じっと海の方を見つめ、そしてぐっと胸で手を握りしめる。
「ん……?どうしたんだ?」
 と、坂城・祥(琅稈の魔術士・b51743)が声を掛けると、ぶんぶんと首を振りつつ。
「海、本当は……少し怖い。けど……怖がってばかり、いられない……。大きな事件に関わってるそうだし、絶対に、成功させなきゃ……」
 未知なる物に対する不安というのだろうか……そんな彼の言葉に対し、祥はその頭を軽く撫でながら。
「そうだな。ま、あんまり緊張するなよ。気楽にぱーっと行こうぜ、な?」
 と笑いかけるのであった。

●満点の夜空の下で
 そしてその亀妖獣が現れるという海辺。
「腹が減っては戦は出来ぬ、ってな? 肉はガソリン、野菜は潤滑油なのだ。ほら皆、一杯食べてくれよ?」
 零司が中心となって用意されたバーベキューセット。
 パチパチと炭が音を立てて燃え、そしてその上では肉や野菜が香ばしく香り、焼けている。
 そんな焼けた肉を一つ手に取り、ぱくりと食いつく。程よく焼けて、ちょっと焦げた部分も香ばしく。
「ん〜、旨い! やっぱあれやな、こういう場所で食べるのはひと味も二味も違う、って訳やな!」
「そうですね。まぁ……唯肉だけだと、バランス悪いですし、野菜も食べませんとね」
「いんや、こういう時だからこそ肉をガッツリ食べるのが肝ってモンやろ! ドンドン肉を投入してくれ〜」
「はいはい、解りました。まだまだお肉はありますよ〜」
 ルカの言葉に雄吾がやんわり注意、そして椎が次々と肉を投入。
「まぁ……この後は戦闘ですし、食事は控えめに行きましょう。さもないと……たべすぎて動けない、なんてなってしまえば、目も当てられないですしね」
「そうそう。何事も腹八分目が一番ってね。ほら、魚も捕ってきたから、焼き魚にして食べよう?」
 澪の冷静な一言に、魚を釣ってきたレイヤが頷き、更に魚を投入。
 バーベキュー台の上はとっても豪華なまな板と化し、多種多様な食べ物が並ぶ。
「お肉、お肉、お肉……レアが一番好き♪」
 と、ころころ転がしながら牛肉ではなく鶏肉をレアで食べてるクロリス然り。
「お肉ばかり、だと身体に、よくないよ……? 私は、野菜……切っておく、ね?」
 と、バーベキューの下ごしらえに精を出す斎然り。
「バーベキューの締めに焼きおにぎりは如何ですか? 醤油で香ばしく焼き上げた、自慢の一品ですのよ」
 と、皆の事を考えて更に別の料理を造る梓杜乃然り……それぞれが思い思いの方法でバーベキューを楽しむのであった。

 そして、バーベキューを燃え上がらせていた炭もパチパチと消えかかり、時間の頃もゴースト出現まで後少しといった頃。
「よーし。腹を満たされたな、皆? でもまだ出てくるまでには時間はある……と言う事で、コイバナの時間です。司会は私、桜井ルカが務めさせて頂きます」
 スプーンをマイク代わりに唐突に司会を始めるルカ。その言葉にクロリス、澪が。
「ふふ、若イッテイイネ☆」
「そうだな……コイバナか。ま、私には関係無い事だな」
 苦笑しながらの一言。そんな話を小耳に挟みながら、ルカがまずマイクを向けたのは椎。
「まずは朔文さん、何かコイバナはありますか?」
「え? こ、コイバナと言われても……どういう事を話せばいいのか……」
 多少わたわたと慌てる椎に、ルカは。
「ええねんで? 好きな人のここが一番好きとか、いないならどういう人が好きとか……でな?」
 と小耳に呟く。その言葉に椎はあ……と軽く考え。
「そうですね……私は、えっと……カッコよくって可愛い人でして……うん。ちょっと騙されやすい所が玉に瑕ですが、でもそういう所も可愛くて……」
 顔を仄かに赤く染めながら、恋人との思い出を語る椎。
 その話をうんうんと聞きながら、終わった所で……次にマイクを向けた先は祥。
「俺か? ん〜……特に俺にはコイバナってんはねぇかなぁ……ちまい悪魔に虐められているって苦労話はあるが……」
 と、ちらりクロリスを見る祥。その視線ににこっと微笑み手招きするクロリス。
「ええと……まぁ、そういう事だ」
 額に汗を流す祥。そして続けて斎に。
「恋話……とは違うかも、ですけど。結社の先輩さん、です。良くしてくれる人、なんですけど……うん。みんなに、優しくて、お付き合い、してる人も、いるって聞いてます。だから、恋とは……違う、のに……効いた時、ちょっとだけ、胸、痛く、て……」
「それは切ないなぁ……まぁ、きっといつかはいい相手が現れると思うで? んじゃ次はー」
「ハイハイー、零司の恋バナー! 俺の恋人は一つ上の先輩なんだぜ。最初は気の合う異性って感じだった。でもお互いに告白し合って、今じゃ正式にお付き合いさせていただいてます、ハイ」
「意識から始まるコイバナもあるってな? ま、最初はそういう所から始まるモンやと思うで」
 そしてルカは澪、レイヤ、クロリスにもマイクを向ける。
 その答えは。
「コイバナは、全く興味ありませんからねぇ……話しも無いですよ」
「ん……そういえば、一緒に海に行けなかったのが心残りだな……ま、機会があれば行きたい物だが」
「僕のコイバナ? そうだね〜……好きな人に「好き」って言われるのが嬉しいかなぁ? ……だよね、むーたん♪ 好きだよ〜♪」
 クロリスは最後に蝙蝠のぬいぐるみをむぎゅうと抱きしめる。そしてルカのマイクを奪い取って。
「最後の締めにルカさんのコイバナーだね♪」
「ん? 俺? いや俺は司会者やから……な?」
「ダメだろ? 首謀者が逃げちゃな」
 ふふりと笑う雄吾が、ぎゅっとその手を引いて逃さない。
「あー、逃げんの無し? しゃーないな。そうやな……彼女は大事やで? どうしたら進展出来るんとかが今の悩みどころなんやがなぁ……」
 ルカの言葉にクスクスと笑う梓杜乃。
「ふふ……そういう時は、自分から仕掛けるのも一つの手ですわよ? 遠慮し合うと、思うように進まない物ですものね。さてと……デザートにかき氷は如何? シロップはご希望のは何でもござれですわよ」
 梓杜乃に渡されるかき氷……そのまま普通に受け取るルカ。
「……しもた、普通に答えてもうたー!」
 その一言に、周りの仲間達は皆笑うのであった。

●宵闇暮れて
 そして時間は更に経過し、深夜の時間。
 間もなく妖獣亀が現れるという頃の時間。
「……ん、来たぞ」
 レイヤが指差した先には、ゆっくりと地上に上がる亀の姿。
 普通の亀に比べれば一回りも二回りも大きいその身体は、微妙な威圧感がある。
「良し、それでは戦闘開始ですね。深夜の時間……視界は私が確保しますので、皆で一気に取り囲んで打ち倒しましょう」
 雄吾の言葉に周りの皆が頷き……そして五匹全員が陸上に上がると共に、一斉に飛び出す。
 突然の能力者達の登場……しかし亀達が慌てる事は無く、のっそのっそと歩くだけ。ただ……その歩みは能力者達の方へと。
「中々面白そうな敵だな……。良し、行くぞ」
 頷きつつ、一気に囲みの前線を引き締めて行く。
 武器を抜き、一閃……しかしその攻撃は、甲羅に僅かな傷を付けるだけ。
「オイオイオイ、ちゃんと攻撃通ってんのか? 硬ぇっ!」
「く……硬いぜ」
 その後も、澪、祥、零司、梓杜乃、レイヤ……と、攻撃を仕掛けるのだが、火花が散るばかりでその甲羅には微かな傷が残るのみ。
 その甲羅が持つ強力な装甲は、中々の脅威な様で、思うほどにダメージを与えられない。
「装甲……硬い様ですし……でも、ならば……」
 こく、と頷く斎。そして亀妖獣を範囲に捕らえた所で。
「悲鳴、たっぷり、聞かせて上げる」
 と、地獄の叫び。
 その身が毒の効果に包まれ、亀達の動きも僅かに鈍る。
「どうやらバッドステータスは効きそうやな……ならば俺も!」
 呪いの魔眼でもって睨み付けるルカ。
 一匹と視線が合い、その内面からその身体を傷つける。
 そして。
「このまま動かせておくと厄介だしな……良し」
 と雄吾がジェットウィンドで以て、亀らの身体を次々と吹き飛ばす。
 狙うは掘っておいた穴……すぽ、と甲羅が挟まれば動けなくなるだろうとの考え。
 一匹、二匹……三匹と、面白いように吹き飛び填る亀妖獣。
 身体も反転し、じたばたじたばたと動くのだが……それだけでは穴から抜け出せない。
「よーし、それじゃ一匹ずつ行くよ。焼き亀……美味しく為さそうだけど、下僕に食べさせればいいかな♪」
「俺だって食べたく無いわっ!」
 クロリスの言葉に祥が溜らず突っこみを入れる中……二人の炎の魔弾が重なり合い、填った亀の腹部に命中。
 魔炎に包まれた身体はそのまま動きを止める。
「良し……確実に狙えば問題なさそうだな。俺達もあの一匹を集中するぞ」
 レイヤの言葉に椎、雄吾、澪が頷く。
 二つの班に分れて、確実に亀妖獣を一匹ずつ退治……その間にもバッドステータスの効果は切らさずして、確実に体力を削る。
 装甲が硬いといえども、所詮は動きの遅い亀。反撃にさえ気をつければ、さほど難しい相手ではなく……。
 二匹目、三匹目、四匹目……と、次々と穴に填り火葬に処される亀。
 そして残る一匹に。
「これで……終わりだ!」
 既にボロボロの装甲をかち割る零司の一撃が、亀妖獣の身体を一刀両断に処するのであった。

「ふぅ……終わりましたね」
 そして戦闘後……雄吾が軽く溜息を吐きながらイグニッションを解く。
 目の前に五匹の亀の死骸……。その姿形はどこか、哀愁をそそる。
「終わったね〜、疲れちゃった。でも無事に作戦成功なら、言う事無し、かな?」
「そうですわね。本当、皆様お疲れ様でした」
 クロリスの言葉に梓杜乃が微笑み……そして亡骸を片付け、先程のバーベキューの場所へ。
 一人一人に冷麦茶を注ぐ梓杜乃。それをくいっと飲み干して。
「ぷは〜。今回は普段より神経使たで、疲れたわ〜」
「ああ……ま、そこまで苦戦する相手ではない、というのは幸いだったがな」
 ルカ言葉に頷く零司。そして……。
「さて、最後はぱーっと行きましょう? 沢山花火を持って来ましたよ」
「おー。いいねいいね♪ よーし、目一杯遊ぶよ〜♪」
 雄吾の用意してきた花火に喜ぶ椎。
 勿論水入りバケツとゴミ用バケツも用意して……みんなで一緒に花火。
 パチパチという音と、ざざぁという波の音が耳に奏でるハーモニー。
 そしてそれに加わる仲間の楽しげな声……。
「ふふ……声に混じる潮騒の音が心を安らかにしてくれる。暑い夏はまだまだこれからですかね……」
 そんな一言を呟きながら花火を楽しむ澪。
 
 その横では零司、ルカが打ち上げ花火を楽しんでみたり、椎、雄吾らが手持ち花火で楽しむ。
 そして……祥とクロリスは。
「冷たくって気持ち良いな〜♪ そろそろ……いい?」
 にこっと微笑むクロリス……祥は。
「えーと……フーベルタさん? 俺を海に堕とそうとか考えるのは止めような?」
「えー? ちゃんと花火をする時間をあげたんだから感謝してよね?」
 飛び掛かるクロリスに暴れる祥。
 ……傍から見ればただじゃれ合ってるようにしか見えないが……まぁそれはさておき、楽しげであるのは間違い無い。
 ただ、梓杜乃だけは一人、手に花火を持たずして微笑んでいる。
「……ん? 刀守さんは、やらないの?」
「ええ……私はメイド。最後に線香花火の一本でも頂ければ満足ですわ」
「……」
 その言葉に斎は、てくてくと線香花火を二本。
 一本を梓杜乃に渡して花火。
 パチパチという音が耳に心地よく……そして、静かな時間。
「……すぅ……」
 いつの間にか肩に凭れ掛かり、眠りにつく斎。
 そんな斎の肩に毛布を掛けながら、梓杜乃は。
「ふふ……こういう一時も、いいものですわね」
 周りで楽しげにはしゃぐ皆の顔を見ながら、一言呟くのであった。


マスター:幾夜緋琉 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2009/08/19
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