夏だ! 花火だ! 夜の海へ行こう!


<オープニング>


「あーっ! たた、大変だぁぁ!!」
「どうしたんですか、急に大声出して……」
 怪訝な顔をする、五條・梅之介(高校生魔弾術士・bn0233)に、月島・生樹(中学生運命予報士・bn0202)は何かを訴えるような目で向き直った。
「大変なんだよ! そういえばボク、今年まだ花火やってない……そだ! みんなで夜の海に行こう! そして花火やろうよ! 花火ーー!!」
「えと……花火ってそんなに重要でしたっけ?」
「なに言ってるの梅之介君! 花火をやらない夏なんて、毛のないモーラットみたいなものだよ!?」
 何だか嫌な例えをする生樹に、それは可哀想です……と梅之介もうな垂れる。
「夏はやっぱり花火だよ! 夜の海だからさ、キャンプみたいに火を焚いてなにか食べ物焼くのもいいし! 月とか星もキレイだったら最高だよねっ!」
 にんまりと笑った生樹が、よーし、と意気込み、腕を捲くった。
「ボクがとっておきの場所にみんなを案内するよっ! そこの海岸は一般の人も来ないし、使役さんたちが一緒でも大丈夫! みんなで楽しもうっ! あ、ゴミとかはちゃんと持ち帰ろうね!」
「そうですね。特に、火の始末には気をつけましょう」
 念を押すように言った梅之介に、生樹は、はーい、と元気よく手を上げて答える。
「夜の海でみんなで花火! きっと楽しいよ! 夏の思い出作りにいこーー!!」
 気の置けない仲間同士でワイワイと。大切な人と一緒にしっとりと。夏の夜の海に出かけましょう!

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参加者
NPC:月島・生樹(中学生運命予報士・bn0202)




<リプレイ>

●みんなでワイワイ花火祭り!
「ほらほら、丸! こうするとハート型!」
 今日はアパートの皆と一緒に花火である。弥介は夜の海に向かって花火をかざし、光の絵を描いてみせる。その隣ではモーラットのたわさんも花火を持ち、得意気な顔だ。
「ほら、レイも花火持ってみろよ」
「ぁい、ゴーチェもぉ、これで持てますねぇ」
 スカルロードのレイに手持ちの花火を持たせてやった、黒夢。一方、ソランジュは用意したテープで、ゴーチェの腕のガトリングガンに花火をペタリと貼り付けた。
「よし、危ないから覗き込んだりするんじゃねぇぞ?」
 皆が夢中になっている中そう促して、黒夢は筒花火に火をつける。
 舞い上がったのは、いくつものパラシュート。夜空に、驚きの声と歓声が響き渡った。

 仲間達と楽しむ花火はあっという間になくなっていく。それを見越して多めに花火を用意していたキリエは、包みを両手ににっと笑ってみせた。
「花火を楽しみにしてるってお嬢さんも居るしな」
 包みを開け、どんどん火をつける。惜しげもなく散っていく光の花。花火を片手に屈んでいたロザリンデが、綺麗……と呟く。
「花火やるとなんだか夏! って感じだよな。すげー綺麗だ……そっちの調子はどうだ?」
 ふと、顔を上げたシャーバインの視線の先、火をおこしていたキルディーが小首を傾げた。
「こんな感じでいいだろうか……しかしマシュマロとは……」
 焚き火の周りで炙られているのは、トーストと餅、それからマシュマロ。どれも美味しそうなキツネ色に焼き上がっている。
「あ、飲み物はこちらにアイスティーを用意してありましてよ」
 こんがりと焼けた物には、よく冷えた紅茶が合う。花火の合間にアウトドアならではの美味しい物を楽しみつつ、楽しい時間は過ぎてくのだった。

「ふぇ? 私の歓迎会込み!? あ、ありがとうございます!」
 今日は歓迎会も兼ねて、と笑う仲間達に、悠は顔を綻ばせ、ぺこりとお辞儀をした。
「お待たせしました! ロケット花火にススキに手筒に吹き上げるの、それから線香花火も入ってますよ」
「わぁ、色々あるねっ! なにやろっかな〜、やっぱりまずは手筒から……」
 両手いっぱいに花火のパッケージを抱えて駆けてきた朔耶。大量の包みを嬉しそうに覗き込んだ栗花落が、手筒の花火を取り出す。
 楽しげに花火を選び始めた仲間達を見つめ目を細めた六説は、火をおこそうとくべた薪にそっと手を差し出した。
「ワン、ツー、スリー……!」
 擦り合わせた指先から炎が浮かび、薪に火がつく。簡単な手品で使われる仕掛け。ちょっと子供騙しでしたか? と笑うも、凄い凄い! という歓声が上がった。
「こういう花火って……きらきらしてて星の様で綺麗だね……」
 線香花火を手に、静かに爆ぜる火花を見つめたヘイゼル。炸裂する花火に驚きながらも楽しそうに走り回っていた悠と朔耶、それにケルベロスベビーのアルファも合流し、締めの線香花火大会が始まる。
 夜の海での歓迎会。仲間達を照らす焚き火から、トーストとコーヒーのいい香りが漂ってきた。

 わー! ぎゃー! と、夜の海に楽しげな声が響き渡る。
「あ〜、楽しかった! 花火も進化していってるんだなー。シシャモ! 次、線香花火!」
 最後に残った線香花火の紐を解き、今度はしんみりと屈み込む。
「夏、ありがとう……まだちょい続くけどな!」
 パチパチと小さな音を立てる火花を挟んで向かい合う二人。静かに、明るく言った凪斗は、久夜に向かって穏やかな笑みを向けた。

 集まった仲間達は女の子だけ。皆で輪を作って花火に興じるも、盛り上がるのはやっぱり恋のお話し。まずはプチ暴露大会で軽〜いジャブ。
「わたしね、付き合って1年目なんだけど、今はデートで手を繋ぐのが嬉しいかなー」
 照れながら、日織は、うふふ、と笑ってみせる。
「えっと、私は……卒業して大学合格したら、同棲するつもりです。彼は自信家で、未だに何考えてるのかわからない事も多いけど……大事にしてもらってます」
 頬を染め、にっこりと笑う氷魚の同棲宣言に、輪の中から、きゃーっ! と声が上がった。
「恋って素晴らしいですよね! 私も毎日、トキといられて幸せなんです」
 そして既に同棲中だというアリスの爆弾発言。乙女達はパニック寸前である。
「同棲っ! すごーい!」
「わわ、大人の階段を確実に上ってらっしゃる!」
「こ、高校生の恋愛って大人な世界ですねぇ〜……あれ? アリスさんは私より年下ですよ、ね? わ、私が奥手なのでしょうかぁ……」
「み、みんな、そんな事まで……! 最近の少年少女は博識なのね……!」
 日織と燐音、ほのりに那由他の四人は、ひしり、と身を寄せ、手を取り合って顔を真っ赤に染めている。
「アリスさんがうらやましいわ。私は相手が、いま、大学生でデートもなかなかなので……あ、でもでも、恋人のお部屋にはペアのマグカップがおいてあるのよ!」
「あ、歌戀さんと一緒。ボクの方も大学生さんだから……忙しそうなんだよね……」
「それでも、やっぱり二人きりの時って優しかったりするんですよね?」
「うん、外面ではあっさりな感じだけど二人っきりの時はべったりなんだよ! 主にボクが……」
 しまった! と口を押さえるミリアの肩を、にんまり笑った歌戀がぽん、ぽん、と叩く。
「あ、えっとー、み、皆の好きなタイプとかってある?」
 ススっと話題を逸らして、今度は好みのタイプのお話。
「そうねぇ、わたくしは……一緒にいて楽しい方、かしら」
「燐音ちゃんは気になる人とかいないの? そのナイスバディなら、絶対何かあると思うんだけど……」
「え? 気になる人? ……さぁ、どうかしらね?」
 那由他の問に、燐音は思わせぶりに妖しく笑うのだが。
「えぇ! 誰か気になる人がいるんですかっ? 燐音先輩にいい人ができたら第2回大会をやりましょうねぇ!」
 にっこり笑って言ったほのりの言葉に、べ、別に悔しくなんか……と、砂浜にしょんぼりとのの字を書き始める。
「ふふ。皆幸せだな……」
 しっかりと婚約中という瑠流衣は、きゃあ、きゃあと笑い合う仲間達を見つめ、幸せそうに目を細める。
 そうしてそっと左手の薬指の指輪に触れる彼女の姿を、離れた所からそっと見守る優しい眼差しがあった事は、これまた秘密の出来事。
 兎にも角にも、桃色乙女集会はまだまだ続く。

 波打ち際。一列にずらっと並ぶ手持ち花火。列の真ん中に眞子と生樹が立ち、二手に分かれて一斉に火をつけていく。
「ほらほら生樹ちゃん、海辺の花壇に花が咲いたみたいだよ〜♪」
「ホントだ! すごいっ!」
「こっちはヘビ花火を大人買いしてきたよ。早速一気にまとめて着火してみようね!」
 今度は茂理がもっさりと纏まったヘビ花火に点火。
「わー! あっはははっ! なにコレー!?」
 ずもずも、にゅるりと物凄い光景に、生樹は大喜びである。
「この前お花見したと思ったのに……もう花火の季節かぁ」
「季節の風物詩は良いですよね。次は紅葉でしょうか……」
 並んで花火を傾ける弥琴と梅之介。過ぎていく季節には少し寂しさを感じるが、今この瞬間に味わえる季節感というものは、それ以上に楽しいものだ。
「皆さん、焼きとうもろこしができましたよ。どうですか?」
「あっ! とうきび食べたいっ!」
 火をおこしていた景綱の呼びかけに、生樹が走り寄っていく。
 北海道産ですよ、と手渡された焼きとうもろこしからは、香ばしい匂いが漂っていた。

 はしゃぎ過ぎは禁物なわけで。
「高校生にもなって花火で火傷をするとか、何事ですか!?」
 燐は呆れたように、濡らしたハンカチをヨシキへと押し付ける。
「悪い、あ、ハンカチは絶対洗って返すからな!」
「ああ、差し上げますので返さなくて良……」
「いや返すから! おっ、燐、浴衣も髪型もすげー可愛いな! 似合ってるぞ! さー、最後に線香花火でもやるかー」
 そう言って、やや強引にハンカチを返す約束を取りつけた。
 次に二人が会う時、綺麗に洗われたハンカチの押し付け合いが始まりそうな予感である……

 旧友と顔を合わせるのは楽しいもの。いつもそれなりに顔を合わせてはいるが、ちょっと前まで毎日会っていたせいか、皆が皆、久しぶり、と声を掛け合う。
「定期的に会ってる気がするけど、やっぱり挨拶は、久しぶり。なんだよな」
 何か変な感じだよな、とサイトが笑う。
「去年はこっちの人たちと仲がよくて……」
 そう言って、ちょっとだけ申し訳なさそうに笑ったイセス。
「仲良しさんが多いのはいい事だよ! あっ、今日は声かけてくれてありがとね!」
 ぺこりとお辞儀をする生樹に、皆もよろしく、と言って笑い掛ける。
「とりあえずあるものは一通り買って来ましたので、今日は楽しみましょうか」
 沢山の花火を取り出して、にこりと笑ったレガートに、明るい賛同の声が響く。
「そういえば、臨海学校では僕の恋人をからかってくれたようだけど……皆はどうなの?」
「涼介くん、それを女の子に聞くのは野暮だよ?」
 皆、恋が気になるお年頃。付き合っている人がいるのかいないのか、涼介の探るような問いかけに、沙希は、にまりと笑って華麗にかわす。
「うーん……正直言って、私はあんまりそんな話ないかな?」
「とりあえず、新しいカップルは増えてないようだな」
「ん……でもまあ、皆相変わらず元気で良かったやんかぁ。なぁ?」
 ちょっとつまらなさそうに言う、望美とフランチェスカ。そんな二人に、凛々花は隣にいるケットシーのシュバルツの頭を撫でながら、やんわりと微笑む。彼女が少しだけ寂しそうに笑っていたことに気がついたイセスは、話の方向を変えようと、そっとその輪に入っていて口を開く。
「汐音さんたちや天峯さんとは結社が同じですけど、こうして集まるのは本当に楽しいですね」
「え! こ、これはどういう……」
 何気なく言いながら大量のロケット花火を手渡してくるイセス。それを受け取ったはに子は、ごくりと息を飲み花火に点火。手に持ったまま、ダーッ! っと走り出す。
「よし、皆続け! 派手に行くぞ!」
「あっ! ウチも! 派手に行くでぇ、一斉点火やぁ!」
 筒型花火を置いていく汐音と、それに次々点火していく凛々花をはじめ、女子達は点火した手持ち花火を持って颯爽と駆け出していく。
 元気に走り回る女の子達を見送って、残った花火を弄り始めた涼介。レガートが、それを興味深げに、ひょいと覗き込んだ。
「挑戦とはいえ危ないような……でも面白そうなので僕も……」
「バラしてはダメだと注意書きに無かったか?」
「危ないことはやめておこう、な」
 花火の火薬部分を剥がそうとしている二人の頭を後ろからコツンと小突いた叢と、バケツに水を汲んできたサイトが苦笑する。
 こんな風に悪ふざけをしたり、元気いっぱいにはしゃいだり。どれだけ時が経っても、またこのメンバーで集まれますように……

●ちょっとだけしんみり花火祭り
 花火の締めと言えば、しっとりと線香花火。
「月島さんに五條先輩、線香花火で勝負しましょう♪」
「うん! やろ、やろ!」
「やるからには、負けませんよ」
 誰が一番長く保てるか。悠樹の宣戦布告に、生樹と梅之介は笑って頷く。
「線香花火の持ち方は……斜め45度が基本ですよ! それが一番長く持つんだそうです」
 純日本産。こだわりの線香花火を用意してきた龍麻が、集まってきた皆に花火を振る舞う。
 そんな彼の説明に聞き入っていた煌と生樹は、真剣な表情で花火を傾けてみる。
「……あぁ、なんでこないに途中で落ちてまうんやろうなぁ。生樹はどない?」
「いつもよりは、長かった! うん!」
 誰よりも早く落ちたくせに、そう言って得意げな顔をした。
「今年の夏は、満喫できましたか?」
 ほわり、と微笑を浮かべた美桜が、生樹と梅之介に線香花火を手渡しながら問い掛けた。
「はい、のんびり過ごせました。皆さんとこうして遊びにも来れましたし……」
「ボクも! いっぱい遊んだよ!」
 返ってきた満面の笑顔に、再び優しい笑みが零れる。
「夏もこれで終わりって感じだねぇ。ちょっと寂しいの★」
「だね〜……あっ、でも、秋も冬も楽しい事があるよ、きっと!」
 少し寂しそうに呟く実流に、生樹は言う。
 夏の終わりに線香花火。皆で集まってみても、やっぱり、ちょっとだけしんみりした。

 浴衣を着て、二人で花火を囲む。
「……あ、トリスタン、そっちじゃなくて、こっちを持って火をつけます……」
 花火は初めてというトリスタンに、伽耶はそっと花火を握らせて、自分の持つ花火の火を移す。
「綺麗ですね」
「……ん、綺麗」
 淡い灯りに照らされて浮かび上がった二人の姿。掛ける言葉は少ないが、幸せは、確かにそこにあるようだった。

 時折強く吹く海風が、少し煩わしい。なかなか火がつかない線香花火。香夜は困った顔で刹那を見つめる。
「ん……心配しなくても、ちゃんと点くから……ほら?」
「すごい……です。花火、ついた……ね」
 嬉しそうに輝いた笑顔が、花火の終わりと共に暗闇に溶ける。
「幻想的だ……思わず吸い込まれそうになるな……」
「そう、ですね……少し……怖いくらい、です……」
 まるで闇の世界へ誘うように手招きをする波に、思わず目を奪われた。

 言葉は、時として少し気恥ずかしいもの。
「綺麗、だな……楽しいか?」
「ん、楽しい……ですよ?」
 線香花火を手に、向かい合って屈んでいる遥斗と夜那。途切れた会話に、ふ、と視線が交わって、思わずお互い顔を逸らしてしまう。
「また、来年も……」
 俯いたまま囁かれた言葉に返ってきたのは、無言の頷き。
 言葉にするのは、気恥ずかしい。ただ、言葉が無くとも通じ合える二人には、無用なものなのかもしれない。

 にんまりと笑う刀美と、どことなく表情が硬い狼也。二人は今、締めの線香花火の真っ最中だった。
「次は、狼也から誘ってくれると嬉しいんやけどなー?」
「へあっ!? と、刀美先輩、それはっ、そのっ……!」
 年上の彼女の思わせ振りな笑みに、わたわたと慌て顔。
 手に持った線香花火は今、一生懸命に大きく爆ぜている。

 集まった皆とは少し離れた場所を取った、忍とステラ。二人静かに、パチパチと爆ぜる線香花火を見つめる。
「ごめんな、ステラ。最近色々忙しくて……」
「ううん。今、こうして一緒にいられるだけで幸せよ」
 ポトリと落ちた、真っ赤な灯りを見送って、ふと視線を上げる。
「一緒にいてくれてありがとう」
 じっと目を見てそう言われた。果たして、平然を装えただろうか。
 もしかしたら、落ちた灯りと同じ色に、顔が染まっていたかもしれない。

 夏の夜は、楽しく、しんみりと。それから、ちょっとした胸の高鳴り。
 それを見透かすよう、少しだけ冷たい風が吹いていった。


マスター:海あゆめ 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:59人
作成日:2009/09/01
得票数:楽しい13  ハートフル7  せつない3 
冒険結果:成功!
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