<リプレイ>
●零れ落ちる星空の下で 昼はキラキラと降り注ぐ夏の日差しの中、賑やかな声が響いていた高原だが、夜になれば月明かりが差し込むだけで、静けさをそこここに纏う。
匡からトランプマークのキャンドルを4人分貰った弥琴が、ロードさんさんに手渡しすと「…そういうの持つと雰囲気抜群だね」と、笑う。サっきゅんはハートのキャンドル。 「ヨーロッパにもカブトムシとかっているの?」 「外にはあまり出たことないから良く知らないけど、日本のみたいに子どもと馴染み深いものではないかもしれないかなぁ」 「…そだ、実験してみよっか」 並んで歩く弥琴とアルバート。他愛ない会話の途中。ふっと弥琴が思い出して、キャンドルを地面に置く。そしてそっと光明呪言で灯りの球を作り出す。 赤い光より青白い光に集まるという話、本当かどうか少年二人はわくわくした気持ちで、じっと光を見つめる。 ほの暗い森の中にキャンドルの灯りだけで、森の中を歩く。キャンドルのゆれる灯りに周りの景色も揺れて。 「まるで御伽噺みたい」 氷魚が呟いた。 アルバートとカブトムシなどの甲虫を探しに向っていた克乙が、今は普段一緒に出歩くことが出来ない乙姫と一緒に、キャンドルの灯りを頼りに夜の散歩を楽しむ。 ゆるゆると歩いていけば、木々の枝が晴れ、突然現れる星空。 鎌倉でみるよりも、沢山の星は本当にここまで降ってきそうにさえ思う。 「来て、よかったですね」 克乙の呟きに、乙姫が頷いた。 キャンドルと花火を売る匡の背後に座って空を見上げる。 持ってきた星座板をくるくる回して、天の川を堪能しながら星座を探す。 「…流れ星 見えると良いのに」 「そうね。ひとつぐらい手元まで降ってくるかもね」 星は降ってくれないけど、そっと心の中で願い事を唱えてみる。 皆、元気で居てくれます様に。 会いにいけない人も。 会えない人も元気で居てくれます様に。 心の中の願い事を唱え終えたとき。深夜の掌に桃色の金平糖がひとつぶ降ってきた。 思わず深夜が振り返れば、匡が小さく笑っていた。 「うわー!すごいですね!」 キャンドル片手の悠樹が空を見上げる。木々の間から見えるのは手で掴めそうなほどの星。悠樹の近くにはアルバートに、桜子と匡。広がる星空は零れ落ちてきそうなのに泣きたくなる。そんな夏休み最後の日。
キャンドル片手に星が良く見える場所で、満点の星空を見上げる隆之と火憐。 「真上に見えるのが、デネブとベガとアルタイル。夏の大三角ですね」 「同じように光っているだけだと思ってたんですけど、色々と楽しみ方があるんですね」 「あの一番明るい星は……木星ですね」 隆之の説明を感心して聞いている火憐。どれも同じだと思っていたのに、ひとつひとつ違うなんてと。 「数多の星々の中で、一番輝いているあの星。俺達も、あの星の輝きを目指しましょう」 「はい、目指すは木星ですね!」 空に輝く大きな星。それに見合うぐらい自分たちも栄光を目指そう、お互い一番を目指そう。そう互いに思う中、火憐は木星も光るんだと思っていた。 「ろくちゃん。手、繋いだほうが、良いかも」 「ありがとう」 椿姫が差し出した手を椿がふわっと握る。ゆれる小さな灯りだけでは足元が少し不安だから。一緒に手を繋いで歩いていく。 少し開けた場所にでて、二人は手を繋いだまま空を見上げる。 揺れる互いの髪の毛。 揺れる炎。 揺れる瞳。 「もし、形として、僕もそういう証を、残せるのなら……それは、友と呼べる大切な人と共に残したい、と、僕は思うんだ」 「でもね、あまちゃ。もしそうだとするのならば、僕の心の中にはちゃんと。貴女という一つの霞まぬ星が、もう、瞬いてる」 椿姫も椿も夜空を見上げたまま。 言葉だけを交わして。 でも繋いだ手は放しはしない。 久しぶりの逢瀬。 逢えない日は寂しい。だけど自分のほうが年上だし我侭は言えないと思っていた椿妃にカインが囁く。 「今日は大切なお姫様の願い、幾つでも叶えて差し上げましょう」 「願い……」 「手を繋ぎたい」 願いといわれて考え込んでいる椿妃より先にカインが、彼女の手を取り自分の方に引き寄せる。 「一緒に来られて嬉しいです」 寄り添い見上げる二人。 カインの言葉に答えるように、椿妃は繋いだ彼をきゅっと少しだけ力を込める。 この時間が永遠に続けばいいのにと、満点の星空と揺らめく灯りの中、飽きるまで二人はそうしていた。 ●爆ぜる花火の名残 「今日は何かしら」 勾音から嬉しそうにゴーフレットを貰うと、匡から勾音へと花火を渡す。子ども銀行券で支払おうとする勾音を静止して「これはいつもありがとうのサービス」と、小さく笑ってみせる。 「楽しむのに、大人も子供もないですよ、ね?」 「えぇ、もちろん。やるからには本気よ」 本気で花火で楽しげに遊ぶ少女二人。そこへ龍麻もやってきた。 「ラスト2本の線香花火。樟高、一緒にやりませんか?」 「えぇ。いいわよ」 龍麻と一緒にしゃがみこんで線香花火に火をつける匡。行く夏を惜しむように、線香花火が弾けた。
向かい合って線香花火を静かに楽しんでいた一とハズレ。 「天に星空、地に火の花。乙なもんだねえ、ってうお!? なんかあたしの線香花火の火がすぐ落ちちまったー!?おめえさんのはまだ点いてるっつうのに!」」 ハズレの声。 「ま、負けたー!!」 一の声。 順繰りに互いの声があがっている。 いつの間にかどちらが長く持つかという競争になっている。 「ちと当初の趣旨からはずれちまったが、いいな、こういうのもさ。ほれ、今度はさ。くっつけようぜ、花火」 「え、2つの花火をくっつける?」 戸惑う一を余所に、ハズレが球を繋げた。 さっきまで騒がしかったのに、今は二人してじっと大きくなった球が落ちる瞬間まで見つめている。 「俺達も、落ちる時までずっと一緒にいような」 「あたしらも負けずにずっと一緒に輝いてような、ひひひ!」 一とハズレがそっと顔と顔を寄せた。 「この柔らかな光が揺らめく水面が…クリスマスを思い出さないか?」 「あぁ…冬のアレか。よく覚えてンな、俺にゃもう随分昔の話に思えるが」 黒地に白の流水紋の中を大きな金魚がひらひらと泳ぐモダン柄浴衣の裾を少し持ち上げる。浴衣の金魚と同じようにひらりとさせた珪が主税に振り向いた。 二人であるく渓流の直ぐ傍。下駄ではうまく歩けないから裸足になって。 「足元ァ気をつけろよ珪」 少し後ろから付いてきてる主税が声を掛けたとたん、コケで覆われた小石の上で珪の体がふらついた。 「…っと言わんこっちゃねェ」 ふらついた珪の体を主税が支えると、珪は主税の手を取ってきゅっと握り締めてそのまま彼の体に寄り添う。 「…少し恥かしいけれど、甘えてもいいだろうか?」 「ああ、っつってもまぁコッチが勝手に留守にしちまったからな…」 キャンドルの灯りだけでは互いの顔は良く分からない。 ただふたりは寄り添ってキャンドルの灯りの中に佇む。
●キラキラの魔法 川原ではあちこち楽しげな声と花火の音が賑わっている。 「ユキちゃ〜ん、桜子ちゃん連れてきたん」 「でかした!帰ったら褒美にアイス買ったげる」 「暗闇からタックルされてさー。どこの座敷童子かと思ったって」 「座敷童子やないんよー」 「あ、濱田先輩…久しぶり。一緒にどうだろうか?」 「もちろん。ルーヤンからの誘いは断らないよ」 ココナと手を繋いで川原にやってきた桜子を出迎えたのは雪之丞と瑠矢。桜子の言葉にココナが頬を膨らませているところに、花火とキャンドルを抱えてるりが戻ってきた。運命予報士にお願いして、線香花火大目のチョイス。 可愛らしい大きな星型のキャンドルに火をつけて、花火が始まる。 可愛らしいキャンドルから火を分けてもらって、火花が爆ぜる。 「のばらも誘いたかったなー…花火に照らされて、さぞ可愛いんだろうな…」 手持ち花火が爆ぜる度に声を上げる少女達の姿を見て、今日一緒に来ることが叶わなかった雪之丞が悶々と妄想を膨らませる。だがここは紳士。一緒に来た彼女達のことも忘れてないと「いや…君達も綺麗だよ」と、言葉にしたけれども、全く聞いていない少女達。 「…聞いちゃいねぇ」 「えぇー? 何か言ったー?」 「ナンニモ………」 「この間皆で花火した時にこうやったら綺麗って教えて貰うたん」 「…ココナ嬢、目を回さないようにな」 「魔法使いさんみたいなんよ♪るりちゃんも一緒にまわしてみようなん」 桜子の言葉に更にがっくりと肩を落とす雪之丞。その横では楽しげに川面に向って手持ち花火をクルクルと回すココナが、もう片方の手に持っていた花火をるりの方へと差し出す。皆の楽しげな様子を瑠矢が小さく笑ってみている。 キラキラと空の星が弾けるように、花火が弾ける。沢山貰ってきたはずなのに、あっという間に終わってしまう。 「最後は線香花火で競争ですよ」 るりの音頭で最後は皆で線香花火大会。誰が一番最後まで持ちこたえられるか。単純ゆえに熱くなる。桜子がこそりと雪之丞を妨害したりされたり。そんな風にしていれば束であった線香花火もなくなってしまう。 全ての花火が終われば、星型のキャンドルの灯りを頼りに帰っていく。 「帰り道も危険だから、手繋いで帰ろうなココちゃん」 「俺も手を繋いでも、いいだろうか」 「瑠矢ちゃんも繋いでくれるん?二人に繋いで貰うたら夜も怖くないん」 「るり嬢も、是非一緒に、夜道は危ないからな…」 「じゃぁ、じゃぁ。あたしもるりとー!」 夜道が怖いココナの手を撮る雪之丞と瑠矢。そして瑠矢は更にるりの方に手を差し出すと、桜子がるりと手を繋ぐ。 片方開いたままの手をチラつかせる雪之丞。「ルーヤちゃんもるりちゃんも、俺の片手は空いてるぜ」と、かっこよく決めたのだけれども、誰も見ておらず肩を落とした雪之丞に瑠矢が首傾げる。
高原の昼は昼で涼しかったけど、お日様がなくなった夜は更に冷え込む。 織姫がカーディガンを1枚羽織る。 「けだまちゃん、あったかそう…ちょっと抱かせて貰っても良い?」 まだ少し肌寒いなと感じるところに、香萌のグレートモーラットのけだまを見つけて少し抱かせてもらう。 御子ももふもふしたくて少しウズウズしている。 「…撫で撫でしてもいいかな?」 「もきゅ」 織姫に抱っこされてるけだまに問いかけると、こくんと頷いてくれ御子がそっとふわふわの頭を撫でる。 けだまと遊んだ後は、今日のメイン花火に取り掛かる。 皆それぞれ好きな花火を手に持つ。 「ほら、こうするとお馬さんのしっぽみたいなんだよ」 「キラキラしてて綺麗だよね〜。これでもっと綺麗になったよー♪」 「御子ちゃんもとってもきれ〜だね〜」 光が長く出る花火を持った織姫。御子は色が変わる花火を手に持ってクルクルとまわしてみる。 「おうまさんとー、いっぱいはなびさんとー、それじゃボクはぱちぱちなんだよ」 皆の持っている花火を見て、少し考えた後、香萌はパチパチと弾ける花火を選んだ。 「えへへ、いっぱいいろな色があって魔法みたいなんだよ」 「ホントだーすっごくキラキラして魔法みたいだね!」 「皆でこうするとホントに魔法みたいだね」 香萌、御子、織姫が好きな花火を持って、魔法使いになった気分でクルクル回し笑いあう。
夏休み最後の思い出はクラスメイトと一緒。 花火のお供は御美子の手作りクッキー。。 川原に水の入ったバケツを用意すれば準備オッケー。 皆で持ち寄った花火は一箇所にまとめられて、好きなものを持っていけるようにした。 はじめは少し派手目な花火から。 「やっぱり夏は花火だねー♪ 一瞬の輝きがグー」 燈悟が嬉しそうに花火をぐるぐるさせて、皆の方を見る。 皆の楽しそうな笑顔を見ると、自然と自分も笑顔になってくるのが分かる。 とても楽しい。 「あ!花火が水面にも映って綺麗だよっ♪」 「どれ。本当じゃな」 噴出しタイプの花火が川面に映ってキラキラと輝く。 鈴芽がホラホラと手招きすれば、御美子がよってきて同じように川面を覗き込む。 そのキラキラした風景に二人は楽しげに笑い合う。 沢山持ってきた花火だけれども、あっという間に終わってしまう。まだもう少し楽しみたい。それならとこども銀行券を握り締めて今夜だけ、花火を売っている運命予報士の下へと急ぐ。 皆で無駄に騒いでいられるのがとても楽しくてしかたない。 けれども花火もそろそろ終わりを向え、残ったのは線香花火だけ。 「ふふ、持ち手が金魚さんみたい」 線香花火のもち手のところを見てやしろが小さく笑う。 線香花火を始めると何故か円陣を組んでしゃがみこむ。 誰のが一番長く続くのか競争とかしたりして。 「…なんか暗いところで見るとロードたんこわい…」 ふっと後ろに立っている自身のスカルロードを見たプリンチペッサの呟き。ここの皆ならお化けだと勘違いされないとは思うけど、手招きをして自分の傍に来させると、持っていた線香花火をひとつ渡す。 「一緒にやろうか?」 ロードたんが静かに頷いた。 そして花火が全て終了した。 さっきまでの自分たちの賑やかな声はもうなくて、静けさの中に川のせせらぎが聞こえるだけ。空を見上げれば沢山の星が瞬いている。 「わぁ…こんなに星が明るかったんだ…」 「なんだかランプみたいだね」 空の星に気がついた鈴芽が声を上げると、やしろも同じように空を見上げた。 綺麗な星空に、綺麗な渓流。 「立つ鳥後を濁さすじゃよ」 「自然を汚すのは、忍びないしね」 御美子がやり終わった花火を詰めたバケツを手に持ち、燈悟がゴミ袋を手にした。
キラキラ光るのは花火だけではなくて、星も瞬くということを知った夜。 また一緒に出かけることが叶うなら、今度はどんな思い出作りに行こうか。 帰り行く中、そんな話題で盛り上がる。
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参加者:31人
作成日:2009/09/01
得票数:楽しい5
怖すぎ1
ハートフル8
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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