≪CANDY@BOX≫飴箱温泉バトル in バストアップの湯?


<オープニング>


「「おんせん?」」
 思わず聞き返すCANDY@BOXの面々。
「そう、温泉ですわ。山奥の秘湯の噂を聞きましたので、ご一緒に行きませんか?」
 事も無げに答える小鳥遊・歌戀(恋する桃色魔女・b07854)の左手には、その「秘湯」をリサーチした物と思われるパンフレット。
「確かに……シーズンと言えばシーズンかなぁ」
 折しも季節は秋。紅葉にはまだ少し早いけれど、行楽シーズンなのは確かだ。
「でも山奥まで歩いて行くのは大変そうな――」
「なんと! この温泉には豊胸・美肌効果があるそうですわ!」
「やっぱり日本人なら温泉だよね! 秘湯なら貸し切りに出来るし!」
 女性陣には聞き捨てならない効能。
 そうでなくとも、イベント好きなCANDY@BOXの面々から、反対意見は出なかった。
「温泉は竹のパーティションで区切られた感じになりますので、男子の皆さんはくれぐれも覗こうなんて気を起こしちゃダメですわよ! いいですね! 絶対にだめですよ!」
 と、唐突に水を向けられた男性陣。
「んなことするかよ、ガキじゃあるまいし」
「ま、全くだ! そっちこそ見ないでよねっ!」
 口々に反論するが、若干説得力に欠ける面子も居る。
「別々か……」
 水着着用で混浴と言う機会が多めの銀誓館学園だが、今回は男女別。
 ただし竹垣一つを隔てて居るだけなので、コミュニケーション自体は問題無く取れる。
 歌戀が再三釘を刺しているが、相手側の状況を偵察する事もその気になれば可能だろう。
 無論、命を賭す覚悟は必要だろうけれど。

 ともあれ、普段は学業にゴースト退治にと忙しい能力者達。たまにはそれらを離れ、露天風呂を満喫するのも悪くない。

 ――と、言う事で鎌倉を発った飴箱の面々。
 ローカル線や1日に数本しか来ないバスを乗り継いで、更には山道を歩く事数時間。ようやく目的地である温泉にたどり着いた。
「うわ……結構立派な温泉だね」
「これなら皆で入っても狭くないね!」
 たどり着いた温泉は、秘湯というイメージに反してかなり大きな露天風呂。
 女湯の方には小さいながら脱衣所もついており、男湯と女湯を仕切る竹垣も、最近建てられたらしく真新しい。
「じゃ、入ろうか」
 男女分かれ、入浴の準備を始める一同。
 ほのぼのと疲れを癒すひとときになるか、或いは予期せぬ死闘が勃発するのか、この時点でその答えを知るものは居ない……。

マスター:小茄 紹介ページ
今回は山奥の秘湯にて、温泉パーティをしようと言うお話です。
タイトルからしてバトルと銘打ってありますが、のんびり入るのもアリです。
お湯は乳白色、効能は美肌と豊胸だそうですが、医学的・科学的な根拠があるかどうかは不明です。

割と広く、男湯と女湯の間は一応竹垣で仕切られています。
あくまで仕切り程度なので、覗き等に対しては各自自衛手段を取って頂く事になります。
(湯船が濁っているので、湯に浸かっている限り安全という説もありますが)

貸し切り状態なので、ある程度はしゃいでも帰る時に元通りになっていれば一応OKです。
堅苦しいことは抜きで、純粋にお楽しみ頂ければと思います。

参加者
聖馬・アキラ(日輪の神狐・b00129)
華神・御守(石段の先の微笑み・b00282)
村瀬・日織(ガジェット・b00676)
勅使河原・氷魚(白銀の巫覡・b01098)
市之瀬・連(緋色の剣閃・b01329)
小鳥遊・歌戀(恋する桃色魔女・b07854)
比良坂・燐音(珍妖獣ハンターりんね・b18167)
今井・海里(明星の霊媒士・b30229)
遠野・弥生(素直になれないお年頃・b31863)
花屋敷・幽兵(アシダカ軍曹・b32720)
カイト・クレイドル(崖っぷちセクハラ犬・b37048)
空廼・嵐(自由騎士・b39057)
柊・エル(スパンキーガール・b40537)
草壁・那由他(闇と光の魔弾術士・b46072)
ジーン・ルドラ(エレメンタルストライフ・b46164)
南雲・レイジ(烈火の剣侠児・b47935)
武藤・唯一(ゆえになをよんで・b53884)
吉師・鴇継(外法退魔士・b57118)
アリス・キャロライン(愛の弾丸・b62898)
関口・リカ(みかん色片想い・b64935)



<リプレイ>


「たまにはこんな風に、のんびりゆったりと温泉に入るのも良いな」
「そうだな。銀誓館で行くときは大抵戦いの後ばかりだし、あの大所帯では……な」
 湯に浸かりつつ体を伸ばしリラックスする唯一と、少し苦笑混じりに応えるレイジ。
「しかし、良い湯だ」
 色づき始めた山々はまさに絶景。
 戦いに勉学にと励む能力者達の疲れを癒すには、打って付けの場所に思えた。
 ――が。
「僕たちは今から同じ戦場を共にする戦士だ! 女子の暴力には負けない!!」
「「おおーっ!」」
 1点ビハインドで9回裏を迎えた高校球児の様なテンションで円陣を組み、盛んに気勢をあげている者達が居た。
「何するつもりなんだ?」
 半ば答えのわかっている問いかけだが、一応尋ねる唯一。
「女子と一緒に出かけた先が温泉だったなら、やることは一つ!」
 瞳の中に炎を燃やしつつ、嵐。
「いやさ、あんな思わせぶりな会話されたら覗かない方が失礼だろ?」
 爽やかな笑みを受かべる連。
「本気で覗くつもりなのか?」
 やれやれと肩を竦めるレイジ。
「覗くさ。なぜならオレは男だからな! 他に理由が要るのか?」
 同じく、笑みを浮かべて答える鴇継。
 そこに有ったのは、決死の覚悟を決めて死地に赴く戦士の表情だった。
「……しっ!」
 せめて俺たちを巻き込むなよ、そんな言葉を口にしかけた真っ当な男子2人を制し、人差し指を立てる幽兵。
 ――ガラガラガラ。
 木戸の開く音が聞こえる。
「わ、綺麗!」
「ほんとですね、外からは解らなかったけど……こんなに紅葉が始まってたなんて」
 竹垣越しに聞こえて来るのは、日織と氷魚の声。
 女湯の方からも、色づく山の景色が広がっているのだろう。
「あれ? 男湯の方はずいぶん静かですね」
「大方、脱衣の段階で馬鹿騒ぎでもしているのではないか?」
 リカの疑問に、現実的な予想をするジーン。
「それじゃ、今の内にゆっくりくつろぎましょ。……効能はともかく、ほんとに良いお湯ね」
 内心では効能についてかなり気にしつつも、くつろぐ弥生。
「今日は開放感も違いますわ。これが本来の入り方ですものね」
 シンと静まりかえった男湯に、そんな燐音の声が聞こえて来る。
 確かにあれだけの質量を誇っていれば、水着着用かどうかで開放感も大分異なることだろう……そんな事を考えた男子も居たかも知れない。
 そして竹垣一つ隔てた向こう側には、この上なく開放的な女子達の姿が……そんな事を考えた男子も居たかも知れない。
「豊胸の湯の効果しっかりと満喫しないとですね」
 一方、女子の中でも特にこの温泉の効能が必要と思われる歌戀。
「じゃ、豊胸効果の前に現状把握っ♪」
「ひゃっ?!」
「……カレン、ファイトっ」
「歌戀さんのお胸が大きくなればいいのですね♪」
「胸、大きくなるの?」
「日織様、意外と凄いのね……」
「それにしても皆さん、肌が綺麗で羨ましいわ」
「え? アリスさんこそ透き通る美肌♪ スリスリしちゃいたーいっ」
「みんな綺麗な肌や綺麗な髪をしてるわね……」
「そう言う那由他さんの、隠しきれてない胸元に言及するのはアリ?」
「温泉でしっとりと濡れた皆もとても可愛らしいな。リカもとっても可愛い」
「にへへ」
 そんなやり取りが聞こえて来て、息を潜めていた男子もついに決起の時を迎えた。
「よし! 僕たちは今から覗きにいくからな!」
「おっしゃー! 先輩に続いてやるぜ!」
 カイトが高らかに宣言し、嵐がこれに続く。
「男子!? いつの間に!」
「ゆったりお湯を満喫できるのはこれまでの様ね。みなさん、ご用意できていて?」
 これを聞いた女子は、すかさず臨戦態勢を取った。
「……言うなよ」
 作戦の成功率をむざむざ下げるような宣戦布告に、鴇継はぼそりとツッコミを入れる。
 現代戦において宣戦布告はもはや過去の遺物――そう知って尚、カイトはこの戦に己の流儀を通したのだ。
 それがこの竹垣の向こうで、神々しいばかりの裸身を晒している女神達への敬意!
「あれ? 仲間からの視線が痛い気がする。ドンマイ僕」
 ――などと言うエピソードは一切無かった。
「だが、こんな事もあろうかとドリルを持ってきた」
「おおっ、さすがカイト! こうなったらもうヤるしかねぇ!」
 賽は投げられた。


 ――ギュイイン!
「男のロマンがいま突き抜けるっ!」
 カイトのドリルが、男達のロマンが、ついに竹垣を穿つ。
 その小さな穴から差し込む光明は、男達にとって遙かなる桃源郷への道標。
 光に導かれるようにして、そっと顔を近づけるカイト。
「おい、何が見えるんだ」
「見たら交代しろよ!」
 同胞の問いかけに、カイトが返した言葉は……。
「ぎゃあ!! 目が、めがぁー!!」
「?!」
 目を押えてのたうち回るカイト。
「特製唐辛子ブレンド水鉄砲なのです」
 普段は心優しいが、覗き魔に対しては一切容赦のないエル。
「おいカイト、大丈夫か?」
「……なぁに、目は2つあるんだぜ?」
 サムズアップし、体を起こしたカイトは、再びその穴にもう片方の目を近づける。
「ぎゃあ!! 目が、めがぁー!!」
「大丈夫、ただのシャンプーよ」
 那由他の声が告げるが、カイトは両目を押えて絶叫している。
「カイト……無茶しやがって」
「とにかく、このルートはダメだな」
 かくして、ドリル作戦は頓挫した。

「相手が警戒してるんだから、こっそり覗こうとするよりも、上から堂々と覗いてやる方が成功率が高いと見た!」
「なるほど、逆もまた真なり……か」
 カイトの尊い犠牲も省みず、連、嵐、鴇継は桶を積み重ねて、竹垣の上から覗くという正攻法に出る事にした。
「こらー! お前ら何やってんだ! そっち側には女子が一杯なんだぞ! しかも今回は混浴前提じゃないから水着非着用……そう、女の子がいっぱいでおっぱ……」
 ――ぷしゅー。
「おい、海里?」
「湯あたり……かな」
 そんな彼らを止めようとした海里だが、自ら口にした言葉で女湯の光景を思い浮かべてしまったらしい。大量の鼻血を出してKO。
 しかし彼の使役ゴーストであるスカルロードのカナさんは、彼の高潔な遺志を引き継ぐ――どころか、男子達と一緒に竹垣を登り始める始末。
「よし、慎重に積めよ。もうすぐそこに、オレ達の目指す秘境が待ってるんだ!!」
 やがて積み上げられた桶は、その上に乗れば竹垣の向こうが見える程になった。
「ふふ、とっても気持ちがいいわね♪」
「あ、いーなー! 私にもわた坊ちゃん抱っこさせて」
「私もー!」
 そんな折、聞こえて来るのは、弥生のモーラットであるわた坊が、代わる代わるモフられて居る様子。
 普段からモフられる事の多いモーラットだが、今回は素肌で直にと言う事になる。
「なんて凄まじい役得っぷりだ! しかし、わた坊が女湯に入って良いなら、俺たちが竹垣の上から少し様子を見る位なんでもない筈だ!」
「カタカタ」
 積み重ねた桶に乗り、連とカナさんが竹垣の上から顔を出す。
「……!!」
「おい、どした? 何が見えた?」
 湯煙の向こう側、微かに……しかし確かに見える白いうなじと肩のライン。
「見ては……だめ、です」
 流し目を向けながら、悩ましげに言う氷魚。
「見える……見えるぞ……くそっ、湯気が邪魔だな」
「おい、連! あんまり乗り出すな!」
 ――ジャーン! ジャーン!
 どこからか鳴り響く(後から思えば、それは幻聴だったのかも知れない)銅鑼の音。
「げぇっ!?」
 氷魚に見とれている間に、そこかしこにはバスタオルと桶を装備した無数の女子達。
「いい夜ですね〜」
「いや全く……はは」
 100tハンマーを振りかぶるリカの言葉に、笑顔で応える連。
「……万死に値する。地獄の底で反省するがいい! 撃て!」
「ちょ、俺、カイトとかと違って痛いのが気持ちいい人種じゃな……アッー!」
 ――ドガッ! バキッ!!
 ジーンの号令一下、投げつけられた無数の桶が、連とカナさんに次々と命中してゆく。
「舞ってください!」
 そして100tハンマーが唸りを上げ――。
 ――ドガァッ!
「このままでは終わらんぞーッ!!」
 己の野望に殉じた男、市之瀬連――遙か彼方へ吹っ飛ばされリタイヤ。
 カナさんも直撃を受け、桶の上で大きくバランスを崩す。
「お、おい! 崩れるぞ!」
「う、うわーっ!!」
 ――ドンガラガッシャーン!
 かくて、桶階段作戦も失敗に終わった。

「……お前ら、いい加減にしたらどうだ」
「うん。どうせ成功するわけ無いんだし」
 投降を呼びかけるレイジと唯一。2人とも連とカナさんが転落してきたせいで、頭から湯を浴びてずぶ濡れになっている。
「……奇策もダメ、正攻法もダメ。おまけに女子はバスタオルと桶で鉄壁の備えか」
「しかもカイト先輩、今井先輩、市之瀬先輩、カナさんと半数以上の同志を失った……あれ? 花屋敷先輩と聖馬先輩は?」
 周囲や桶の下を見るが、2人の姿はない。
 一体どこに言ってしまったのだろうか――。
「さすがの男子も諦めたみたいですね」
「いえ、これくらいで諦めるとは思えない。皆、最後まで油断しちゃダメよ!」
 アキラの希望的観測に対し、御守は全く気を緩めることなく皆へ告げる。
「ちょっと待って、何か……やけに人数多くない? ……やっぱり、一人多いよ」
 ふと、弥生が女湯の面子を指さし数えてそう告げる。
「……アキラさんに、御守さん、日織さんでしょ……あら? アキラ……さん?」
 改めて周囲の顔を見回した歌戀が、ようやく不審な点に気付く。
「どうしたんですか? ぜんぜんあやしくないですよー」
「……そうよね、アキラさんですものね」
「うんうん」
「だよね」
「――なワケあるかーっ!!」
 ――ドガァッ!
「こうなったら、早期終戦の道を模索するか」
「うーむ……」
 その頃、戦意を失いかけていた男湯。上の方から何者かの悲鳴が聞こえるのに気付く。
「なんだあれ? 鳥……いや、女の子だ! 親方、空から女の子が!」
 ――ばっしゃーん!
 空から振ってきたのは、女湯をたたき出されたアキラだった。
「ううっ……言ってくれれば大人しく退散したのに……」
「聖馬先輩、今までずっと向こうに居たのか……なんて羨ま……じゃなくて羨ましい!」
「……オレ達が今ここで戦いを止めるのは簡単だ。だが、奴らはどうなる? ヘヴンを求めて散っていった奴らの想いはどうなるんだ?」
「……そうだな、やろう! 例え最後の一人になっても戦い抜こう!」
 かくして、泥沼の戦いは最終局面へと突入してゆく。


「これは抜け駆けに非ず。作戦成功の折には、心のHDDからしっかりデータを転送しますぞ」
 露天風呂から響いてくる男達の悲鳴を聞きつつ、幽兵は脱衣所の中に居た。男湯から女湯を覗くと言う戦いの常識を打ち破り、脱衣所経由で堂々と女湯に至ろうという逆転の発想である。
 ――ぐいっ。
 が、脱衣所の床に張られていたロープに幽兵の足が掛かる。
 ――ビーッビーッビーッ!!
 その刹那、けたたましくなり響く警報。
 ――がらがらっ。
 開く脱衣所の扉、焚かれるフラッシュ。
「目潰し!? ……だが……皆さんの成長は見届ける!」
 次第に明順応が利き始める幽兵の眼。
 始めに見えたのは……銃口だった。
「覚悟! なのです」
 ――ズキューン!

「たわし! たわしがぁーっ!!」
「痛い? 痛いぃ? おーっほっほっほげほげほ!」
「GYAAA!」
「わ、このビニールテープ、凄い粘着力!」
 女湯の方から絶えず響いて来るのは幽兵の声。
 囚われた揚句に、苛烈な拷問を施されている様だ。
「諸君、これが最後の作戦行動になるだろう。目的はただ一つ……女湯への突入だ。失敗すれば……想像を絶する非道な仕打ちが待ち受けているだろう。よって作戦参加は志願者のみとする」
「志願します!」
 男湯では最後の突入に際し、作戦への参加者が募られていた。
「その作戦、僕も同行させてくれないか?」
「カイト!? 生きていたのか!」
 そこに居たのは、煩悩が肉体を凌駕したカイト。しかし特製唐辛子とシャンプーの直撃を受けた目は閉じられたままだ。
「カイト先輩! ……でも、目が……」
「なに、心の目は開いているさ」
「それに……いざとなったら、俺がカイトの目になる」
「連!」「市之瀬先輩!」
 そこには、ボロボロになりながらも最後の戦いに駆けつけた連の姿。カイトの肩をしっかりと支える。
「よし、共に征こう!」
 固く手を取り合う男子。
「温泉はお湯に浸かるもんだよ! 鼻血吹いたり殴られたり覗いたり折られたり刺されたりするもんじゃないよ!?」
 ようやく鼻血が止まって、起き上がった海里。この上ない正論で男達を説得しようとするが、もはや彼らを止めることは不可能だった。
 もはや彼らの心は、この年代特有の男子が持つ、純粋なスケベ心によって結ばれていたのだ。
「行くぞ!」
「「おおーっ!!」」
 鬨の声を上げ、男達が征く。
 自らの体と心を最後の武器に、竹垣へと突っ込んでゆく。
 ――ばきっ……ばきばきっ!!
 崩壊する竹垣。男湯と女湯を隔てる物はもはや無くなり……。


「はぁ、楽しかったのです♪」
「みさおはまもられた……」
 お風呂から上がり、持参した冷たい飲み物を楽しむ女性陣。
 エルと那由他はコーヒー牛乳を上品に飲んでいる。
「でも、ちょっと湯冷めしたかも……ひっくしゅっ」
 氷魚はソウェルと体を寄せ合って暖を取っている。
「豊胸効果はあったのかしら? ……ふぅ……」
 一方燐音は、歌戀のなだらかな胸部を見て、目頭を抑える。
 ――ひゅっ。
「ぎゃふ!」
「あら、いやだ、手がすべっちゃいました」
 にこりと微笑む歌戀の手から、ジュースの缶が滑って(?)燐音にヒット。
「ああ! りんねちゃんの頭の上にお星様が!」
 崩れ落ちる燐音を慌てて支える日織。
 胸のことに関しては、男女関わらず容赦がない。
「……」
 ちょっと大きくなったかも、そんな言葉を口にしかけて飲み込む御守。
 余計なことを言ったら、どんな目に遭うか解らない。
「(……あんまり変わってない気がするわ)」
 弥生もあまり実感は出来なかった様子。
「アリス、何撮ってるんですか?」
「ふふ、あの人達を。いい思い出になりますね」
 リカの問い掛けに答えるアリス。そのファインダーの先には――。

「キリキリ働け! 手を休めるな!」
「掃除だ掃除! やったら片付ける、当然だろうが!!」
「「へ、へ〜い」」
 柵の修理を監督するジーンとレイジ。
 覗きに荷担した男子は、見るも無惨な姿になりながら修理作業に駆り出されている。
「のんびりは出来なかったが……これも、皆との楽しい思い出の一つだな……うん」
「そう……だね、うん」
 作業を遠巻きに見守る唯一と海里。

 飴箱温泉バトルは(主に男子側に)大きな犠牲を出しながらも、こうして終結した。
 しかし彼らもこの悲惨な戦いを乗り越えて、精神的に成長した――。
「次からは宣戦布告なしで行こう」
「だな」
 かと思いきや、そうでも無いから困った物である。


マスター:小茄 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:20人
作成日:2009/09/30
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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