<リプレイ>
●秋の野山に大集合! 「いい天気だ! さぁ皆、思いっきり楽しむぞー!」 今回の発案者、陽山・日明(ヒートハートビート・b05412)の宣言に、集まった21人から「おーっ!」と声が上がる。 「さて、本当は海が良かったのだけれども」 この季節であれば山の方が過ごしやすいと、ケイン・ハイアット(魔法貴族・b04058)の顔がほころぶ。 「いいねいいねっ! このメンバーで出かけるの初めてだけど楽しめそうっ!」 辺りを見渡し、マリス・アンダー(烈風の虎狼・b31212)が興奮した口調ではしゃぐ。 「は気持ちいいねー♪ んー、今日は思いっきり楽しむぞー♪」 彩峰・悠衣(惡乃華・b00005)がぐっと伸び上がりながら深呼吸。 「山の中は一段と涼しいですねー」 神宮路・馨麗(クリソプレーズ・b41617)がその隣で微笑む。 「最初は食材の調達だにゃ!」 しっかり楽しむとするにゃ♪ と、櫻井・クロ(スピィーディキャット・b55904)が声をかけ、 「さー、皆でれっつぱーりぃ!」 馨麗の言葉にわっと皆が準備へと動き出す。 そんな様子をそっと眺めて。 「皆で山へ遊びに、ね。――平和なような、でもそうでもないような」 新橋・柳枝(九尾の猫・b56791)はそっと呟いた。
●山だっ、林だっ、食材だーっ! 剣崎・水(真昼の転寝・b39980)は、魚がかかるのを待っていた。 「思ったより釣れないものね……」 待つ。 さらに待つ。 …………。 「私だって簡単に釣れるとは思って無かったさ!」 「おお!?」 突然怒鳴りつけられて、棗・恭賀(石頭狗・b13941)が慌てて振り返る。 そしてああ、と頷く。置かれたバケツは、まだ空のままだった。 「あの岩場あるべ? ここをこう……流れの弱いとこに回り込むように投げんだよ」 「えっと……」 「ほれ、こうやって」 水の後ろから一緒に釣竿を持って、釣り針を誘導してやる恭賀。 「あっ、来た!」 ほどなくして訪れた手ごたえ。4つの手がぐっと釣竿を引き上げる。勢いよく跳ねながら宙を舞うのは銀色の魚! 「やったぁ……!」 頬を紅潮させながら魚を針から外し、水は再び釣り針を垂らす。 水の調子が出てきたのを確認し、恭賀は岩陰の魚を捕ろうとその場を離れ……何を思ったか戻ってくると、いきなり手を伸ばした。 ぺろーんと舞い上がるスカート。固まる水。 「チッ、水着か」 振り返った水の視線に、恭賀は思わず顔を引きつらせた。
やがて戻ってきた2人の頬が、それぞれ別の意味で真っ赤になっていたのは、言うまでもない。
「せっかくだからのんびり行こうかな、普段の戦いなんて忘れてね……っと!」 水着にビーチサンダルに麦藁帽子。気合たっぷりのマリスが、釣竿を思いっきり引き上げる。 糸の先には、勢いよく跳ねる川魚。傍らのバケツでも、魚がピチピチと跳ねている。 「まだまだ入って行けそうにゃ」 水の冷たさを確かめてから、クロがざぶざぶと水に突っ込む。その手には釣竿はなく……。 「来たにゃっ! えいっ!」 大きな水音。盛大に上がった水しぶきが静まる頃には、魚を引っ掴んだクロが立っていた。 「おーい、魚が捕れましたにゃー」 「お、またですか? 素手でってすごいですよね! ……どっちが多く捕れるか、競争しません?」 「望むところだにゃ!」 二人は顔を見合わせて笑うと、真剣な顔で川へと向き直る。 その結果、十分すぎるほどたっぷりの魚が、パーティー会場に運び込まれたのだった。
「この時期に食べられる山菜なんかがあればいいのだけど……」 ケイン・ハイアット(魔法貴族・b04058)はツナギを着、上から下まで完全防備でガイドブック片手に山菜を探す。 「キノコ詳しいですよ、キノコ。ほらこれなんか美味しいですよ」 ささっと木の根元に駆け寄り、上手く選り分けて差し出すのは馨麗。 「馨麗すごいなー……」 涼宮・杏樹(ステイゴールド・b03582)が感心した顔で頷いて、今度は傍らを歩いていた島牧・こたん(中学生牙道忍者・bn0275)に振り返る。 「こたんは詳しいの?」 「えっと、ちょっと知っとるよ。これは食えるし……あ、これ! なまらマズイし、食べたら体しびれるんだ」 こたんが指差したのは、一見地味な、けれどかなりの毒を持つキノコ。 「食べると危ないものもありそうだからね。ちゃんと区別しておかないと」 柳枝が鞄から図鑑を取り出すと、周囲から感心したような声が上がる。 みんなが取ってきたキノコを確認し、柳枝がささっと安全なキノコを取り分ける。
木の根につまずいたりして、少しよろめきながら歩いていた杏樹に、シャローム・シュレスウィヒ(ナッハヴェーラー・b23389)が手を差し伸べた。 「ほら、足元気をつけて」 「ありがとう、シャロン♪」 ぱっと顔を輝かせ、杏樹がシャロームの手をとる。互いの手の温もりを感じながら、二人は再び食材を探しに歩き出す。 「春の山菜だったらワラビとか結構わかるけど、秋の恵みのメインのキノコってわかんないね」 「キノコは絶対に安全ってコトはなかなか言いがたいからね……それじゃ、外しておこうね」 言いながらふと顔を上げれば、そこには大きな栗の木が一本、二本。 「山栗は確実に安全だね〜。栗御飯だね♪」 さっそくイガを割り、杏樹が籠に栗を入れていく。その傍らで、シャロームは草を摘み始めた。 「この辺なんか野草の天ぷらとかに良さそうだよ」 「なるほどね〜」 二人で採った栗と野草で、籠はあっという間にいっぱいになった。
「食事向きの山菜よりは、デザート系の方が多いようですね」 「アケビとかもあるといいですねー」 ケインと馨麗が頷きあって、アケビやヤマブドウを採り始める。 その後ろからなにやら後ろ手に隠して近づくのは、藍羅・仁斗(黒い翼・b17482) 「皆が楽しそうに盛り上がっている。しかし、何かスパイスが足りない」 そう言って、仁斗は手に持っていたものをさっと籠に放り込んだ。 「ふふふ、たのしみだ……」 素早く籠から離れ、そ知らぬふり。 「あ、毒キノコではありませんよ?」 というわけで、一体何かは食事のときのお楽しみ。 「ある程度でいいわよね。肉や魚がメインでしょうし」 柳枝の言葉を合図に、一同は山の幸がたっぷり入った籠を手に、調理班が待つキャンプ場へと向かったのだった。
●野外で料理ってなんだかわくわくするよねっ! 「任せてください。どんと大船に乗ったつもりで。どーんと」 きっぱりと宣言した国東・流梨(高校生土蜘蛛の巫女・b33882)に、その場の全員の視線が集まる。 しばらくの間の後、こほん、と咳払いを一つ。 「だ、だいたい。バーベキューなんてお肉と野菜を適当に切って焼くだけです。失敗をしようはずも無いじゃないですか」 「まぁ、確かに……では下味やソース、副菜などに腕を振るうとするか」 頷いて、片崎・澪(白星紅風・b05292)はまな板の前に立つ。 「ま、学生は味より量だしな! 切り落としの牛肉、オマケしてもらったぜ!」 鈴木・風子(中学生月のエアライダー・b64185)がどんっ、と買ってきた肉を調理台に載せる。人数分は余裕でまかなえそうなその量に、歓声が上がる。 食材調達組を待ちながら、さっそく調理が始まった。
「山篭りに慣れた俺様からすれば、キャンプなど御茶ノ水ナントカだ!」 「お茶の子さいさい、ですよね……?」 平良・虎信(荒野走駆・b15409)が、勢いよく石でかまどを組んでいく。その背中に、思わずツッコミを入れる悠衣。 「しかし虎信さん手馴れてますね……山篭りとか違和感ないから驚くより納得しちゃいました」 悠衣が手伝いながら、感心したように呟く。 「おう悠衣、石で指を詰めるなよ、別に心配しているわけではないが!」 「はーいっ」 いくつかのかまどを組み上げて、手早く火を起こす虎信。それを悠衣がうちわ片手に手伝う。 「けどこれだけ手際いいなら、一緒に暮らしたときとか楽そう……」 「ん、どうした?」 「あ、いやなんでもないです」 赤くなった頬は、炎のせいか、それとも。 「手伝うのは良いが火傷するなよ!」 「はいっ!」 虎信の言葉に、幸せそうに悠衣は微笑んだ。
「しかしこれだけ人数いると……どれだけ作っても少なくなりそうだ」 大鍋にいっぱいの豚汁をかき混ぜながら呟いて、日明は豚汁を小皿にすくって口を寄せる。 「んー……ん、美味い♪」 日明の顔に会心の笑みが浮かんだその時。 「日明、そっち手伝うことないかー?」 顔を出したのは陽桜祇・梨阿(魔刻ストレイキャット・b29348)。 「ああ、じゃあ梨阿、味見してみるか?」 日明が小皿にそのまま豚汁をすくって差し出す。 口をつけたそのまま。 思わず固まる梨阿。 (「こ、これってその、間接キ……い、いや、ここで躊躇ったら逆に変……」) 「何固まってるんだ?」 「い、いやなんでもっ!」 不思議そうに首を傾げる日明に慌てて、梨阿は自然に見えるように、と心がけながら……口をつける。 「う、うん、美味しいぞ。日明、料理上手いんだな」 「それは嬉しいが……顔赤いぞー熱でもあるのかー?」 「ぅ、わ……」 赤くなった額に顔を寄せられ、完全に固まる梨阿だった。
「飯ごう炊飯って、結構コツがいるんですよねェ」 少し離れたあたりでこちらもかまどを組んで、勅使河原・氷魚(白銀の巫覡・b01098)は米を炊いていた。 「最新のジャーより私的にはやりやすいですが……さてさて、皆さんおかずはゲットできますでしょうか?」 その言葉と同時に、向こうの方でわいわいと声が上がる。 「首尾は上々だったようですね」 そう言って、氷魚は火を止め、そっとふたを取る。 ふんわりと粒の立った御飯が、見事に顔を覗かせた。
「手伝えることがあれば言ってくださいね」 「俺も。雑用っていうか、裏方の仕事とか好きなもんでね」 一旦手の空いた奇亜求・智明(侵魔・b46037)と周・飛鳥(アーネンエルベ・b67191)が申し出る。その途端、 「ただいまーっ!」 振り向けば、そこには手に手にキノコや魚を持った仲間たち。一度落ち着いた調理場が、再び活気に包まれる。 皿や調味料を運んだりと、せっせと動き出す智明と飛鳥。 「家事が苦手でもコレ位ならなんとかならぁよ」 キノコを洗ったり、肉を並べたりと忙しく働き始める風子。 「さて、どんな食材も、調理してみせましょう」 手際よく山菜を切り分け、魚をさばく澪。危なそうなものは、取り分けてビニール袋へ。 準備ができた食材は早速運ばれ、あっという間に準備が整う。 「それじゃ、いただきます!」 「「「いただきまーす!」」」 元気の良い21の声が、山にこだました。
●食べて、遊んで、火を眺め…… 「さぁ皆よく食べろよー! 可愛い女の子達が作ったんだ、残したら罰が当たるからなー」 日明が言いながら、せっせと食事を取り分ける。その隣では梨阿が、何だかぼんやりした顔で箸を動かしていた。 「もちろんいただきますよ。うん、最高においしい」 女性陣担当の部分を褒めながら、せっせと食事を平らげるケイン。 「感謝していただかないとねっ」 杏樹がシャロームの隣で、幸せそうによく焼けたキノコをかじる。 「お姉ちゃん達が作った料理はおいしいにゃ♪」 早速網焼きの魚に手を伸ばし、頬張るクロ。 「自然の中での食事は美味しいですね♪」 串に刺して焼いた魚に、マリスががぶり、とかぶりつく。 「バターを垂らすと美味しくなりますし、日本人ですから醤油を忘れちゃいけませんね。すりおろした生姜もまた悪く……」 たら、と流梨の額に汗が流れる。ちょっとかけすぎたかもしれない。 「ま、まぁ皆さん、食欲旺盛ですから大丈夫ですよね!」 まぁ、風子がすぐに取ってもりもり食べているんだから、大丈夫だったのだろう。 こたんがキノコを、ぱくりと口に放り込む。次の瞬間、その顔が真っ赤に染まった。 「か、辛いっ! キノコが辛い!?」 後ろでニヤリと仁斗が笑う。 「……皆さんで食べるのもおいしいですね」 そんな騒ぎを尻目に、智明は魚や野菜を自分の皿に運ぶ。そしてマスクに手をかけ……。 「とって食べないんですかー?」 「食べ方は気にしないでください」 きっぱりと言って、智明は少しだけずらしたマスクをあっという間に元に戻した。 「あ、虎信さん虎信さん、あーん」 「あ、あーん……」 悠衣に肉を差し出され、恥ずかしそうな顔で口を開ける虎信。 山のようにあった食材が、すぐに食べ盛りの胃袋に収められていく。 「やりますね……学生の胃袋如きには負けませんよ」 呟いて、澪は調理場へと立って行った。
「む、これはちょっと食べ過ぎた……」 水がお腹をさすりながら呟く。 そろそろ皆食べ終わり、片付けを済ませたものから思い思いに遊び始める。 「それじゃ馨麗ちゃん、なにをするかにゃ?」 「何して遊ぶべな?」 「うーん、それじゃ……」 川辺に集まったクロとこたん、馨麗の視界の先に、岩の上に座るケイン。 チィ……と音を立て、ツナギのジッパーが下ろされる。そして現れたのは……水着。 「泳がないか?」 その光景に、女の子三人が固まる。 一瞬の間。 「けっていー! 全員、ケインさんに突撃ーっ!」 「水かけれー!」 「かけるにゃー!」 「おわあぁ!?」 女の子たちの総攻撃に、ケインがあっという間に水に沈む。 「川で遊ぶのは良いが、流されるなよ! ええい、俺様は引率か!」 川遊びメンバーに声をかけながら、思わず虎信は自分にツッコミを入れた。
「大分涼しくなってきましたから、泳ぐ人は風邪ひかないようにしませんとね」 氷魚がその光景を眺めながら、温かいお茶を用意する。 「いかがですか?」 「あ、ありがとう」 水辺で足をつけていた柳枝が、差し出されたお茶を飲んで一息。 「気持ちいいわ、のんびり出来ていい」 水遊びの方も、そろそろ決着がつきそうだった。
辺りはすっかり暗くなり、キャンプファイアーの火がパチパチと爆ぜる。 皆で一つの火を囲んで。釣りや水遊びで濡れたものは、ゆっくりと体を温めて。 「キャンプファイアーだし、踊ってみないか?」 「わ、私はっ!」 いたずらっぽく差し出された飛鳥の手から、慌てて風子が逃げ出す。 「夏の思い出に、多くの仲間と過ごせたな……」 ようやく我を取り戻し、ゆっくりと炎を眺める梨阿。杏樹とシャロームは、炎を前に静かに寄りそう。 「こうやって皆でって、ホント楽しいね。次は違う時期にまた……」 炎に照らされ、微笑む悠衣。 「皆が笑っていられる場所があれば、どんな苦労も乗り越えられる。この学園で学んだ一番の科目なのかもな……」 澪の言葉に、一同が頷く。 「いい思い出になった。また皆でどこか遊びに行きたいな」 頬を染め、日明がそっと呟く。 そして、立ち上がって言った。 「皆、今日はありがとう。皆大好きだぞー!」 それに皆がわっと応え。 「悪二文字、万歳♪」 「「「万歳っ!!」」」
それは、夏の終わりを飾る、確かな一つの思い出になった。
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参加者:20人
作成日:2009/09/25
得票数:楽しい12
笑える1
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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