Corpse taste of a puppeteer


<オープニング>


「あ……あぁっ……嫌だ、やめてくれ……いやだ、嫌だっ……!!!」
「違った。オマエじゃない……お前は違う……オマエは違ウ」
 血まみれの体を引き摺って這い回る男がある。
 男の震える唇から漏れるのは、懇願か……それともただの悲鳴か。
 決して誰の耳にも届かない。
 なぜならばここにいるのは彼と、そしてもう一人だけだから。
 その一人こそが彼をここまで切り刻んだ張本人だから。
「……―やめてくれ! 俺は違うんだろ? 違ったんだろ? なら、用事はないだろっ……助けてくれ!」
「チガウ……お前じゃない」
 這いずって逃げる男は、絶望的な声を上げて周囲を見回す。
 四方を鏡に覆われた、奇妙な空間を、見回す。
 逃げる場所などない。
 そもそも、どこから入ってきたのかさえも分からないのに。
「うっ……ぅぅ、嘘だ、これは夢だ……夢だと誰か言ってくれ……!」
 とどめとばかりに振り下ろされる鉈に、男は固く目を閉じた。

「地縛霊がね、お客さんを襲うんだ」
 小さなシステム手帳を広げ、長谷川・千春(中学生運命予報士)はぽつんと呟いた。
「デパートの一角を借り切ってドールコレクションっていう展覧会が開かれてるんだけど……」
 西洋の操り人形ばかりを展示したその展覧会。
 今、この展覧会の夜間警備員が幾人か、帰らぬ人となっている。
「その地縛霊はお兄さんで、生きてるときは人形師さんだったの」
 元々病気がちだった青年は、常日頃から部屋に篭って人形作りに没頭していたという。
 彼の作る操り人形は、華やかに着飾った西洋人形。
「亡くなって随分と経つけれど……大切な人形たちを置いていくことが心残りで、この世に留まってしまったんだと思う」
 彼は自らが生み出した人形をいたく可愛がっていた。
 特に目をかけていたのは等身大の操り人形。
「天上から吊るして、数人がかりで操る人形なんだよ。この展覧会でも3体展示されてるの」
 いずれも、まるで生きているかのように血色のよい人形だという。
 男女のペアと、女性の人形。
 この、黒髪に青い目を持つ女性の人形にはペアがいない……。
 視線で先を促す能力者に、千春はうんと頷いて返した。
「お兄さんはね、この女の人に相手を探してるんだ」
 姿を消した……つまり、彼に襲われて命を落としたのは全て男性。
 加えて言えば人形と同じ黒髪であるか、青い目であるか、165センチある人形よりも身長が上か、のいずれかの条件を満たした者が彼の標的となる。
 彼は標的を捕らえ、自らの結界内に閉じ込める。
 けれど、結局満足できずに殺してしまうのだ。
「この結界っていうのが、曲者なんだよね……」
 ペアのいない人形が入っているショーケース。
 それが結界への入り口。
「標的となる人がいたら人数に関係なく、お兄さんは結界内にその人を連れて行ってしまうの」
 外に残された者が後を追うには、中にいる者が結界もしくは彼本体にダメージを与える必要がある。
 そうなれば彼は無差別に、結界の間近にある者も内に引き込むだろう。
「お兄さんを倒せば、結界はなくなる」
 ちなみにその結界の広さは、今能力者たちが集まっている通常サイズの教室程度。
 中には何にもなくて……ただ分厚い鏡張りの空間が広がっているだけ。
 彼の武器は主に彫刻刀、ノコギリ、鉈など。
 他、展示されている3体の人形がまるで生きているかのように動き、能力者たちを襲ってくる。
「これも、お兄さんを倒せば動かなくなるよ。……注意してほしいのは、人形たちに状態異常は利かないということ」
 手こずるかもしれないが、それは能力者たちの作戦如何によって無力化を図ることも不可能ではない。そして出来ることならば、人形たちは展示品でありひとつの芸術であるゆえ、傷つけることを極力避けてほしい。

「一度結界に入ってしまうと、お兄さんを倒す以外に抜け出ることは困難だから……気をつけてね」
 心配げに、けれど微笑んで。
 千春はちょこんと頭を下げた。

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参加者
七枷・達也(わらびもちと愛の為の救急箱・b00111)
夜城・光國(狂吼鉄槌インフェルノ・b02881)
琉孔・セト(彼の蟲溢るる籠行燈・b03188)
皇櫻・倖(小学生魔弾術士・b07173)
嵐・螺義(望雲黒煙・b08310)
志麻・六郎(高校生魔剣士・b17419)
ヘル・オリオン(アルジャンスイパー・b21000)
鳳・紅介(インテグラルグラビティ・b21282)



<リプレイ>

●party of a gentleman lady
 こつん、こつん、こつん……。
「出るらしいぞ、ここ。それでもう何人も辞めてるんだそうだ」
「はー……それで俺たち若造に出番が回ってきたわけか」
「まったく気味の悪いこったぜ。とっとと終わらせようや」
「だな、部屋に戻ったら次の巡回まで仮眠でもとろうぜ」
 懐中電灯を振り回しながら、一枚の扉の前を素通りする二人の警備員。
 中を覗いてみる気もないようだ。
 そこは今の期間、日中にドールコレクションが行われている一角。
 怖いのか、面倒くさいのか……いや、彼らの場合はどう見ても後者だろう。
 まるで気にも留めずに階下へ降りていってしまう。
 よもや深夜のデパートに誰かが入り込むことなどないと盲目的に信じているからこその怠惰が、そこにあった。

「おうおう、やる気のない警備員だな〜」
 階下へ降りて行く警備員を見送った影がある。
 非常階段の脇に積み上げられたダンボールの隙間からひょっこりと顔を出したのは嵐・螺義(望雲黒煙・b08310)。
 あの調子じゃ、3時間後にちゃんと戻ってくるかも怪しいじゃないか……なんて、少し苦笑しながらダンボールを跨ぎこす。
「ま、これも平和な証拠だろう」
「そうだねぇ、最近物騒になってきたとはいえ、深夜のデパートに強盗に入るなんてハイリスクなこと誰もしないだろーし」
 続いてダンボールをどかしながら出てきたのは七枷・達也(わらびもちと愛の為の救急箱・b00111)と夜城・光國(狂吼鉄槌インフェルノ・b02881)。
 閉店前からじっと小さくなって潜んでいたせいか、背中が痛いらしい。
 さりげなく達也が柔軟運動をすると、光國もそれにならって大きく伸びをした。
「人形と人形遣いか。思い入れとか…そういうのって大事なものなんだろうけど、彼のはもう妄執みたいなものだよね」
 なんにせよ、他人にとってはどうでもよくて、迷惑な話。
 加えて周囲に与える被害の大きさは、放っておけばただではすまない。
 ドールコレクション会場への扉をそっと開きながら鳳・紅介(インテグラルグラビティ・b21282)が言えば、ヘル・オリオン(アルジャンスイパー・b21000)がひとつ頷いてみせた。
「愛も度を越えれば醜いものですわね」
 わたくし、醜いものが嫌いなので見てるだけで不快ですわ。
 密やかにひそめられる金の瞳。その傍らでヘルと並んで、先行する6人の仲間を見送るのは琉孔・セト(彼の蟲溢るる籠行燈・b03188)。
「行き過ぎる愛情も、困りもの。だね」
 けれどほんの少しだけ。
 ショーケースの中で腰かける人形たちに親近感を覚えないでもないのだ。
 自分の境遇と重ねるわけではないのだが、セトはそう思わずにはいられなかった。

 そうして、ずらりと並ぶ人形たちを横目に会場に足を踏み入れた女生徒を除く6人。
 彼らは今回の地縛霊が標的としている人間の条件のいくつかを、それぞれが満たしていた。
「僕、身長足りないけど、髪も目も条件当てはまっちゃってるや」
 苦笑するのは皇櫻・倖(小学生魔弾術士・b07173)。彼は4つの条件の内3つを満たしている。
 それでなくともハードルの高くないそれらの条件は、彼らの全てが偽装なしできっちり2つ満たしている。
「人形の相手は任せてください。足止めくらいはきっちりこなしてみせますよ」
 そう言う志麻・六郎(高校生魔剣士・b17419)も性別と髪の色、身長の点で条件を満たしている。

「んじゃ行こうか。なに、8人総出でかかれば手こずる相手でもないさ」
「そうだな。俺も生憎と人形遊びする歳でもないんでね」
 螺義の声かけを受けて、くっと白霊手を着付けなおす達也。
「手際よくいこうか」
 そしてまったく恐れる様子のない光國のひと声。
 迷いのない足取りで、6人はふたつ並んだ大きなショーケースの前に立った。
 左手には、一冊の本を仲睦まじげに読む恋人同士。右手では、編みものをしている女性。
 黒髪に青い目、紫紺のショールを羽織った優しい微笑を浮かべるその人形。
「この人形のお相手探しというわけか……」
 ぽっかりと不自然な空間が空いた、右手のケース。
 編みものをしながら歓談でもしているのか、床に直に座っている彼女の目線の先には、誰も座っていない長椅子が一脚。
 とても楽しげな彼女の見つめる先が空白であるのは、あまりにも不自然。
 一体どれほどの時を、この女性は一人で話し相手もなく過ごしてきたのか。
「何だか寂しい感じがするね」
 紅介が呟いた時、そのショーケースが軋んだ音を立てて開き始めた。
 至極ゆっくりと。
「―……!」
 6人は咄嗟のことに身構えるが、強い力に引っ張られるようにしてそのままショーケースの中へ姿を消した。
 それはもう、数瞬の出来事。

●inadequate reason
「綺麗なコ、だもんねえ……。親馬鹿、なるのも……分からないでも。ない、けど」
「ええ、思っていたよりも随分と丁寧な仕事をしてますわね。……なんとも受身な戦いになってしまいますが、極力傷つけないようにはしたい、ですわね」
 空っぽのショーケースの前。
 呼び入れてもらうのを待ちながら、セトとヘルはショーケース前に置いてあったパンフレットを何気なく広げてみていた。
 これから相対する人形がいかなものであるのか、前もって知っておこうというわけである。
 6人が先行してからそろそろ10分も経つだろうか。
 未だ、何の音沙汰もない。
「無事に呼び入れてもらえるといいのですけれど」
 夜気で冷えたガラスケースに手を置いて、空っぽの空間を覗くヘル。
 話し合いでは結界内に入ってすぐ、螺義と紅介が外の2人を呼び込むために結界への攻撃を行う手はずだ。
 残る4人は二手に分かれて人形師と人形を相手にする、という流れ。
 つまり、呼び込みの2人が結界への攻撃をしている以上は4対4で戦闘を押し進めているという状況になる。
「……平気、きっと。入れて貰える」
 そう、セトが自らの言葉に頷いて。
 ヘルも微かに微笑み返した時。
 ―……ショーケースにひと筋、薄い亀裂が走った。
 それはみるみる広がり、銀色の線となって。
 続いて聞き覚えのある仲間の声。
「おまたせー。無事開通ということで、どーぞお入りくださいな」
「話に聞いてたとおり、一面の鏡張りの世界だ。ちと目が回るかもしれないが、すぐ慣れるだろうと思う」
 亀裂のすぐ向こう、呼び込みを担当していた2人が詠唱兵器を掲げて笑っていた。
 あちこちに裂傷が見受けられたが、無事であるようだ。
「チガウ……お前たち、違ウ! いらない、イラナイ、違うは、いらナイ!」
 呂律の回らない、二重にも三重にも聞こえる奇妙な声。
 それを認識するが早いが、セトとヘルは強風に巻き込まれるようにしてショーケースの中に消えていった。

 一面の鏡張り。
 反射して返ってくる自分や人形たちの姿。壁はおろか床や天井まで鏡になっているため、素早く動けば動くほどそれらの姿に気を取られて目標を見誤ることも少なくない。
 人形師も人形も無意識にそれを理解しているのか、鏡を背にして上手い具合に自らの姿を反射させ攪乱している。
 更には鏡張りの床の上は、些か走りづらい。
 慣れない環境の中で戦いながら、8人はそれでも連携をとりながら善戦していた。
「ここから先には行かせんよ。貴様を切り刻めないのは残念だがな」
 日常とはうって変わった口調で戦うのは六郎だ。
 相手にしているのは、黒髪金目の女性の人形。
 彼は常に人形師と人形の間に体を置いて、万が一にも人形が人形師をかばうような行動を取らないように妨害していた。
 しかし、彼にとって「壊さず戦う」ことはこの上なく困難なこと。
「わたくし、本当は攻撃主体なんですが……仕方ありませんわね」
 同じように若干戦いづらそうにしているのはヘルである。
 相手は黒髪碧眼……ペアのない、例の女性の人形だ。
 彼女たちの目的は、あくまでも人形の動きを制限すること。故に戦いは防御や回避一方。
 それでもヘルは上手い具合に人形を人形師から引き離し、鏡際に追い詰めていた。
 人形からの打撃攻撃は、その大半がリフレクトコアによる受け流しで無効化されている。
 加えてヘルは、人形だけでも手いっぱいだろうに仲間たちを治癒符で回復することも忘れていなかった。
「君たちを傷つけるわけにはいかないんだ。大切な人形さんなんだから……」
「僕達が終わらせるんだ。こんなこと、続けちゃいけない」
 倖と紅介の相手は、鼻眼鏡をかけた黒髪で色の白い男性の人形。
 リクレクトコアでガードを固めた紅介は、間断なく人形を攻撃する。とはいえ彼もまた受け身一方の戦い方。
 倖もまた魔弾の射手による自己回復を行いながら、上手く紅介と連携して人形を人形師から遠ざけていく。
 人形を相手取っている4人は待っていた。
 人形師が一刻も早く倒されるのを。
 これ以上長引けば、本格的な攻撃もせざるをえない状況だ。
 傷つけずして戦うということは、ただ相手を打ち負かすために猛攻するのとはまた違う難しさがあるのだ。

 一方、人形師を相手にしている4人もまた背後で人形を相手にしている仲間たちが苦戦しているのを肌で感じていた。
 ……これ以上戦いを長引かせるわけには行かない。
 4人は人形師との間合いを取るようにして一斉に後退すると、互いに視線をあわせて頷いた。
「黒子は引っ込む時間だよ」
 セトが空中に指先で線を描くが早いが、放たれた蟲の群生が人形師を撃った。
 その隙に光國が一気に間合いを詰める。
「御指名ありがとうございました♪ってな! が、しかぁ〜し! 生憎俺は彼女にするなら生身の人間の方が好みだからよ。いくら綺麗だろーと人形とつがいになる気はナッシング!」
 光國は強烈なロケットスマッシュを見舞って、即座に繰り出される大ノコギリの反撃を避けるように飛び退った。
 立ち代るようにして、魔弾の射手で攻撃力を上げた達也が人形師の懐深くに踏み込む。
 攻撃を放った直後の人形師の懐は、がらがらだ。
「雷」
 そうして、人形師が反応するより早く雷の魔弾を撃ち込む。
 大きく仰け反った人形師の背後には、螺義が滑り込んで。
「なぁ。好きなもんより自分を優先するようじゃ駄目だ、出直して来い」
 振り下ろしたゴーストブレイドは、過たず人形師の胴を薙いだ。
 4人の猛攻に、人形師はその場へ崩れ落ちる。
「違ウ……全部、違う。こんなの、違う…んダ」
「……自分の作品しか愛せなくなっちまったのか?」
 尚も同じ言葉しか口にしない人形師に、けれど螺義は聞かずにはいられなくて。
 それは達也も同じこと。
「自分の仕事に誇りを持って、愛する人形を作ってた以上。「その場に居た人間」って代用品じゃ満足しないのは当たり前だ。……それでお前の人形が喜ぶとでも思ってるのか?」
「違う違う……チガウ。全部、違う……こんなの、間違ッテル……」
 人形師はもうそれ以上、何も言わなかった。
 彼らの問いに答えることなく口は閉ざされ、瞳は一切の光を映さなくなった。
 8人は何とも言えない表情でそれを見送り、そうして体が浮上する感覚に目を瞬かせる。

 結界が失われたのだ。
 次に目を開けたとき、8人はふたつの大きなショーケースの前に佇んでいた。
 それは、はじまりの場所。

●Tears of a doll
「やはり無傷というわけにはいきませんでしたわね……」
「ただまぁ、この程度の破損ならば直しようもあるんじゃないのか」
「そうですね、腕利きの人形師さんが直してくれるかと思います」
「ショーケースも取り替えればいいだけだし、な」
 結界への入り口となっていた右手ショーケースはばらばらに砕けていた。
 8人の足元に無数の銀のカケラが散らばり、歩くたびに小さな音を立てる。
 左手のショーケースにも大きな亀裂が走っており、ほんの少し突けば簡単に崩れ落ちるだろう。
「―……3人一緒ってのも、悪くないな」
「3人兄妹って感じか?」
「そうそう、そんな感じ」
 ふと。腕を組んでショーケースの中を見つめていた光國が、にっこりと満足げに微笑んだ。
 つられるようにして7人の表情も和らぐ。
 硝子2枚分の壁があったふたつのショーケース。
 ひとつが壊れたことで、その壁はとても薄くなって。
 編みものをしている女性の傍らにあった長椅子をセトの提案でどかし、その分隣のケースへ女性を寄せてみたところ、ケースの中に思わぬ変化が見られた。
 硝子一枚隔ててはいるものの、3体の人形は3体揃ってひとつの作品であるようにも見えたのだ。

 それは、あたたかな団欒の風景。
 ソファに腰かけて詩を朗読している様子の姉と、彼女の持つ本を覗き込んでいる兄。
 そうして、その二人の傍らで編み物をしている妹。
 彼女の見上げる先にあるのは座る者のない空っぽの長椅子ではなく、愛する兄と姉の姿。
 その表情はとても幸せそうで。
「……いい、思う。これもひとつの幸せのカタチ。だよね」
「うん、これなら寂しくないよね」
 8人は誰ともなく微笑むと、そっと会場をあとにした。
 止まっているエスカレータを歩いて下り、危なげなく警備員……相変わらず愚痴りながらもちゃんと巡回をしているようだ……の監視の目をくぐり抜けて一階のホールまで降りてくる。
 見上げれば、満天の星空。
 吹き抜け構造なので、巨大な一枚硝子越しに金色の半月が見えた。
「よーし、じゃ僕ひと足先に行くね。みんなも気をつけて」
 言葉もなく空を仰いでいた8人。
 真っ先にその場を去ったのは、黒猫に転じた倖だった。
 続いて螺義が、背中越しにひらひらと手を振りながら歩き出す。
「まぁ、また何かの縁で会うことがあったら宜しくなー。今日はお疲れさんでした。ゆっくり休んでくれ」
「お疲れ様。そうだな、明日に響かないように今日は早く帰ろうか。それぞれ待つ者もあることだろうし、な」
「まったくだ。にしても……あー、もう、暫く人形トラウマになっちまうかも……」
「結構厳しい戦いでしたからね」
 達也と光國、六郎もまたそのすぐ後ろを歩いていく。
 その背中を見送って、ヘルはもう一度ドールコレクションが行われている最上階の方を見やった。
 そうしてしばらく、興味をなくしたのか彼女もまた歩き出す。
「パペッターの男にもそれまでの犠牲者にも、弔いはしません。この世は力あるものが生き残れるのですから」
「でも僕達は、彼の思いを断ち切ることができたかな」
「きっと」
 紅介の言葉にセトが頷いて。

 深き夜の闇。
 密やかな笑い声と、交わされる言葉。
 共にある者のあたたかさ。


マスター:椿 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2007/04/06
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