運動会が怖い


<オープニング>


 万国旗がはためき、元気な子供達の声がグラウンドにこだまする。
 紅組、白組それぞれの応援歌が歌われ、応援団が旗を振って大いに士気を盛り上げる。
 そんな白組の一角にただ1人、俯きがちにため息を零す少女が居る。
「……はぁ、帰りたい……」
 牛乳瓶の底のような分厚い眼鏡を掛けた彼女の名は、アヤ。
 控えめに言っても運動神経が余り良く無い。いわゆる運動音痴である。
 そんな彼女にとって運動会は年に一度の、文字通り「悪夢」なわけで……。

「皆は運動会楽しめた? え、わたし? それなりに楽しんだわよ」
 能力者達を出迎える柳瀬・莉緒(中学生運命予報士・bn0025)。
 そうは言いながらも、さほど運動は得意な方ではないので、アヤの気持ちは十分察しがつくのだろう。
「アヤさんはスポーツがとっても苦手で、彼女にとって運動会は、年に一度の恐怖のイベントみたい」
 そんなアヤが見せられているのが、ズバリ運動会の悪夢なのだと言う。
 ただでさえ運動神経の鈍い彼女が、悪夢の中では様々な妨害を受け、一層酷い有様になる事は想像に難くない。
 その上、悪夢内の登場人物は、彼女の失敗に対して現実以上に手酷い野次や叱責を飛ばすだろう。
「そんな夢の中にいたら、彼女は一層運動会が嫌いになるだろうし、精神的にも参ってしまうわ。そうなる前にあなた達の力で、助けてあげて欲しいのよ」
 幸いアヤは一人で自室におり、その枕元までの潜入・脱出は容易だと言う。

「アヤさんの出場する競技は……玉入れ、二人三脚リレー、棒倒しの3種目ね」
 能力者達はアヤの所属する白組で共に戦い、各競技でアヤをサポートしてやる必要がある。
 敵である紅組は様々な嫌がらせや妨害行為を働いてくるだろうけれど、それらの障害からもアヤを守り、白組を勝利に導くのだ。

「ただし、あなた達だけが活躍をして白組が勝ったとしても、アヤさんを悪夢から救い出した事にはならないわ」
 肝心なのは、アヤが運動会に対して抱いている恐怖・苦手意識を和らげる事なのだ。
「いかにアヤと力を合わせて優勝するかが重要ってわけね」
 なるほどと頷きながらも、思案げな表情のめぐる。
 もし白組の勝利に、アヤ自身も貢献できたと言う実感を得られたなら、目的は達成したと言って良い。
「そうね、その辺がちょっと難しい所だと思うけど……あなた達なら何とかなるわよね!」
 根拠があるのか無いのか、莉緒はそう言い切るのだった。

「ティンカーベルの粉を渡しておくわね。夢の中では常識では考えられない様な事も起こり得るけど、深い傷を負ったり命を落とせば現実でもそうなるって事を忘れないで頂戴」
 莉緒は真剣な表情でそう注意を告げ、小さな袋を手渡す。
「それじゃ、行ってらっしゃいっ!」

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参加者
九鬼・桜花(剣姫無双・b00036)
真田・幸奈(お茶目な言霊使い・b20804)
後藤・つかさ(菫青のアルビレオ・b30488)
池田・勇人(デッドマン・b44604)
ファルチェ・ライプニッツ(悠久の幻奏・b46189)
真月・マサト(小学生月のエアライダー・b47415)
黒依・しろ(食う寝る遊ぶ・b49029)
デューテ・ハルトマン(出来損ないのホムンクルス・b61163)
NPC:速坂・めぐる(烈風少女・bn0197)




<リプレイ>


「運動会を最初に考えた人は誰なんだろう……」
 活気に満ちた運動会の会場にあってただ1人。陰鬱な表情を浮かべる少女が居た。
 彼女の名はアヤ。この夢を見せられている本人である。
「白組優勝目指して頑張りましょうね」
「あ……はい」
「運動会はお祭りみたいなもの、楽しまなきゃ大損ですの」
「そう……ですね」
 声を掛けたのは真月・マサト(小学生月のエアライダー・b47415)とファルチェ・ライプニッツ(悠久の幻奏・b46189)。
「(運動会2戦目と云った所かな?)」
 グラウンドを見回す池田・勇人(デッドマン・b44604)。
 銀誓館の運動会はつい先月行われたばかりなので、能力者達にとってはやや連続の感もある。
「運動会はやっぱりブルマですの! 皆さんの分もご用意致しました」
 その横で、持参したブルマを配布し始めるのは真田・幸奈(お茶目な言霊使い・b20804)。
 そして言われてみれば、確かに紅組の女子達もブルマーを着用している。ナイトメアの持つ運動会のイメージが古いのが原因だろう。きっと。
「ぼ、僕ははかないですよ!」
 マサトは断固として受け取りを拒否。
 女装経験のある彼だが、自身の趣味では無い様だ。
「今時ブルマは無いと思うけど」
 速坂・めぐる(烈風少女・bn0197)も難色を示しながら、一応受け取る。
「そろそろあきらかに犯罪臭がするけれど」
 一方、これもアヤの為……と考えてかどうかは不明だが、まんざらでも無さそうに受け取る九鬼・桜花(剣姫無双・b00036)。
「そろそろ始まるみたいだね。皆で気合入れるよーっ」
 そうこうしている内に、間もなく最初の競技が始まる様子。デューテ・ハルトマン(出来損ないのホムンクルス・b61163)の呼びかけで、円陣を組む一同。
「みんなで一緒に、頑張ろうね! ほらアヤさんも」
「は、はい」
 後藤・つかさ(菫青のアルビレオ・b30488)に手招きされて、アヤも円陣に加わる。
「皆の力を合わせて優勝するんだよ! ファイトー!」
「「おーっ!」」「おーですの♪」「いっぱーつ!」
 黒依・しろ(食う寝る遊ぶ・b49029)の音頭に合わせ、バラバラに喚声を上げる一同。
 いよいよ運動会が始まる。


「玉を数個まとめて、両手で持ちカゴの真上に向けて投げる。こんな風に!」
「玉を集めて大きな塊にするの。それを頭の位置まで持ってきて、籠より少し上めがけて押し出す!」
 競技が始まるとすぐに、勇人とつかさが皆へレクチャーしながら手本を見せる。
「なるほど、1個1個狙って投げるより一杯入るね!」
 2人のアドバイスを聞いて、これに倣うデューテ。
 あっという間に白の玉がかごの中に増えてゆく。
「さぁ、アヤさんも」
「は、はい」
 ファルチェは数個の玉を拾い集めると、アヤへ手渡す。
 アヤはぎこちない様子で、それでも2人のアドバイスを元に玉を投げる――が、かごの高さまで届かない。
「みろよ、全然届いてないぜ!」「あはは! 仲間の足引っ張ってるだけだな!」
 途端に、紅組側から罵声が上がる。
「うるさい、喰うぞこらー!」
 それを上回る大音声で怒鳴りつけ、黙らせるしろ。
「やっぱり私、拾う側に……」
「まだまだこれからですの。さぁ、よぉく狙って一緒に投げましょうですの」
 意気消沈したアヤを励ます幸奈。
 そんな2人の傍に、次々に玉が転がってくる。
「また外れちゃった、結構難しいわね」
 桜花の投げた玉がかごを外れ――というよりわざと外し、アヤの近くへと転がしているのだ。
「さぁ、投げて投げて♪」
「ううっ……お願い、入って!」
 今度は距離は十分だが、やや右に逸れている。これもハズレか。
 ――ぼこっ。
 と思いきや、幸奈の投げた玉とぶつかり合い、上手い具合に軌道修正。
「は、入った」
「上手い! その調子だよっ。どんどん入れていこうっ!」
「はい!」
 これでコツを掴んだのか、アヤはつかさの言葉に元気よく応え、また玉を投じてゆく。
「(やるわね幸奈……)」
 アヤの球道を読み切ってなければ出来ない芸当。さすが忍びだと感心するめぐるだが……
「なんか悔しいですの……」
 狙ってやったワケではなかった。
 ともかくアヤがコツを掴んだ事もあって、どんどんかごの中の玉は増えてゆく。このペースなら玉入れの勝利はほぼ確定したと言って良さそうだ。
 ――ヒュッ。
 そんな時、赤玉の1つがアヤの顔面目掛け凄まじい勢いで飛んできた。
 流れ弾というよりは、狙って投げつけた様な球威。布製とは言え、直撃すれば痛いに違いない。
 ――ぼすっ。
 だが、それはすんでの所で桜花にたたき落とされる。
「ならもう一度!」
 しかし紅組の男子は再び玉を拾い上げ、振りかぶる。
「ご、ごめんなさーい!?」
 今度は、マサトがぶつかってこれを妨害。玉は明後日の方向へ飛んでいった。
 ――パーン! パーン!
「それまでーっ!」
 空砲が鳴り響き、ここで時間切れ。
「それでは、両チームの玉を数えます。いーち、にー、さーん……」
 カウントを待つまでもなく、白組の勝利は明らかだった。


「「いちにっ、いちにっ」」
「しろさん、幸奈さん、頑張ってー!」
 2つめの競技は二人三脚。先頭のしろ・幸奈ペアが慎重にコースを走る。紅組も卒のない走りで、両者は抜きつ抜かれつ、デッドヒートを演じている。
「良い調子だよー! 頑張って!」
「(ちょっとドキドキします……でも、ここでリードを取れればアヤさんも走りやすくなると思うのです)」
 2番手はつかさ、マサトペア。
 ちょっと気恥ずかしい様子のマサトだが、深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
 やがて、最終コーナーを回ったしろ・幸奈がラストスパートを掛けてやってくる。
「出来るだけ有利な形で次に回したいね。行こう! いちに、いちにっ」
 ゆっくり、ペースを掴むように歩み出すつかさ・マサトペア。しろ・幸奈ペアからそれぞれバトンが手渡される。
 つかさ、マサトとも運動を得意とするだけあって、かなりのハイペース。じわじわと紅組ペアからリードを奪ってゆく危なげない走り。
「2人とも良い感じね。わたし達も息を合わせていきましょ♪」
「ああ」
 次に控えるのは桜花・勇人ペア。
 男の子ならドキドキが止まらない様な過剰な密着具合にも、勇人は冷静そのもの。
 幼女じゃないからなのか、根っからクールなのかは不明だが。
「頼んだよ!」
「お願いします!」
 結局、つかさ・マサトペアの活躍によって奪ったリードはそのままに、バトンは桜花・勇人ペアに渡る。
 受け取る側は下から手を出すと言う基本をしっかり踏まえ、スムースなバトンリレー。
「1.2.1.2♪」
 リズム感に優れた桜花と、やはり運動能力に長ける勇人のペアも、危なげない走りを見せる。
 いや、桜花の胸の揺れ具合が危ないと言えば危ないが。
「き、緊張してきました」
「落ち着いて深呼吸を……さぁ、もうすぐ2人が戻って来ますの」
 さぁ、次はいよいよアヤとファルチェ。
 最終コーナーを回った桜花・勇人は、一定のリードを守りながらやってくる。
「ゆっくり息を吸って、吐いて、深呼吸ですの」
「すーはーすーはー……」
 リードを奪っている事はもちろん良い事だが、もし自分の所でヘマをしたら……そんなプレッシャーは大きい。
 勇人のアドバイスを思い出しながら、バトンの受け渡しに集中するアヤ。
 ――どんっ。
「あっ!」
 まさにバトンが受け渡されようと言う瞬間、紅組のペアがアヤの背を突き飛ばす。
 その衝撃でアヤは、バトンを取り落としてしまった。
 こういう仕掛けはファルチェも予想済みの事だったが、受け渡しのタイミングを狙われては防ぐ事は至難。
「見ろよ、落としてやんの!」
 指さし笑いながら、さっさと先を行く紅組ペア。
「ご、ごめんなさい……」
「大丈夫ですの。さぁ、いちに、いちに」
 笑顔のファルチェに励まされたアヤはバトンを拾い上げ、再スタートを切る。
 焦るアヤは、中々かけ声に合わせて足を動かすことが出来ない。だが、そこは巧くファルチェの方が合わせて足を運ぶ。
 リードを広げられることなく、逆に猛烈な追い上げを見せながら最終コーナーへ入る2人。
「さぁ、もう少しですの。いっちに、いっちに!」
「はいっ!」
 結局、アヤ・ファルチェペアは序盤のビハインドを大分リカバリーし、僅差の状態でアンカーのデューテ・めぐるペアにバトンを回す事が出来た。
「さぁ、行くわよ!」
「皆からのバトン……トップでゴールに届けられるよう頑張るよ!」
 アンカーを任された2人は運動神経も良く、また気心の知れた仲と言う事もあって息の合った足運び。
「2人とも、頑張ってー!」
 アヤも祈るような気持ちで、必死に声を張り上げ応援する。
「いちにっ! いちにっ!」
 その応援が届いたのか、デューテ・めぐるペアは最後の直線で猛烈な追い上げ。
 ついには紅組ペアを抜き去り、ゴールテープを切った。
「やったー! ……でも、ごめんなさい。ミスしちゃって」
「ドンマイですの」
「そうそう、少しくらい波乱がないと面白くないしね」
「ありがとう! 最後の競技も頑張りましょう」
「おーっ!」
 申し訳なさそうに言うアヤだが、皆の笑顔と勝利が彼女を励ます。
 次は最終競技、棒倒しだ。


「食べた食べた! アヤさんはあんなちょっとで大丈夫?」
「私もお腹いっぱいですよ」
 確かに運動会と言えばお弁当タイム。棒倒しの前に、一同はお弁当を食べて腹ごしらえ。
 しろ程ではないにせよ、アヤもしっかり英気を養ったようだ。
 さて、2勝を上げながらも点数は僅差の両組。最後の棒倒しが勝敗を握る。
「アドバイスは、ひとまず当たれ!」
「それってアドバイスと言えるのかな……?」
「皆、そろそろ始まるみたいよ」
 見れば、紅組は中学生とは思えないような体格の者ばかり。
「つ、強そう」
「潰されたって諦めなければ大丈夫! 最後まで頑張った人に、栄光は与えられるものなのです」
「今度こそ優勝を勝ち取ります!」
「わたし達がついてるから、アヤさんは紅組の棒を倒す事だけ考えて」
「解りました!」
 攻撃部隊はアヤを中心に編成されている。
 確かにアヤが棒を倒せれば最高の結果だが、敵に狙われやすい諸刃の剣でもある。大胆な試みが吉と出るか凶と出るか。
「幸奈達はしっかり棒を守りましょうですの」
「ええ、指一本触れませんの」
「さぁ、始まりますの……じゃなくて、始まるわよ」
 ――ぱぁん!
 銃声が響き、戦いが始まる。
 攻撃部隊はやや迂回気味に紅組の棒へ、紅組からも勢いよく白組の棒目掛けて突進してくる者達が居る。
「アヤさんいこー! 突撃だーっ!!」
「お、おーっ!」
 ――どかっ! ばきっ!
 しろとマサトは、目の前に立ちふさがる紅組を次から次へグラインドアッパーで吹き飛ばしてゆく。
 しかし雲霞の如く襲いかかってくる紅組。アヤ目掛け捨て身の攻撃だ。
「おらっ!」
 堅い守りを強引にかいくぐって、アヤへ伸ばされる手。
 ――バシッ。
 だが、すんでの所でそれを払い除けたのは勇人。
「やらないか?」
「うほっ、邪魔な男……どけっ!」
「いいのかい、ホイホイ付いて来ちまっても? 俺は雑魚でも構わずインパクトしちまう男なんだぜ」
 ――ドゴォッ!
 勇人のパイルバンカーは痛烈な一撃を見舞い、憐れな衛兵は瞬殺されてしまった。

 その頃、白組の棒にも無数の敵が押し寄せていた。
「来ないでくださいですの! 次から次に、キリがありませんの」
 ――バシィッ!
 幸奈の手から放たれた衝撃派が、敵を吹き飛ばす。
「しばらく、そこで大人しくしてて下さいですの。……デューテさん!」
 ファルチェも必死に、魔法の茨で攻め手の動きを封じる。
「大丈夫、触れさせないよっ!」
「アヤ達は大丈夫かしら……っと!」
 デューテとめぐるもまた、背後から忍び寄っていた敵をジェットウインドで足止め。
 ひたすら白組の棒を死守しながら、攻撃部隊が敵の棒を倒してくれるのを待つ。

「どいてよっ!」
 つかさの花軍が、また敵を1人屠る。
 攻撃部隊はジワジワと、しかし確実に敵の棒に迫ってゆく。
 ――バッ!
「今がチャンスよ!」
「今です! アヤさん!」
 桜花による茨の領域が、再び数人の敵を封じる。間を置かず、マサトの震脚が敵を吹き飛ばし道を切り開く。
 紅組の守備隊はいずれも能力者達と対峙しており、棒の守りは極めて薄い。
「は、はいっ!」
 棒目掛け、猛然とダッシュするアヤ。
 ――がっ。
「うぎゃっ!?」
 だが、転がっていた石に足を引っかけて派手に転倒。
「ぎゃはは! だっせー!」
「後ろにでもすっこんでな!」
 一斉に巻き起こる嘲笑と罵声の渦。
「め、眼鏡眼鏡……」
 おまけに眼鏡を落として、あたふたと地面を探している。
 ――ガシャッ。
「おっと、わりぃわりぃ。踏んじゃったよ」
 その上、落ちていた眼鏡を踏ん付けて壊されてしまう。
「ううっ……」
 とっさに蹲り、耳を塞ぐアヤ。
「アヤさん、悪口なんて勝って全部吹き飛ばしてしまえばいいのです!」
「棒はすぐ目の前にあるから!」
 しろの炎の蔦と、つかさの気迫の鎖が残っていた敵を拘束する。
 アヤは仲間の声に励まされて何とか立ち上がる。
「ビシっとキメちゃいなさい♪」
「アヤさん、そこだ!」
「お願い! 倒れてーっ!」
 ――どかっ!
 渾身の力を籠めた体当たり。
 棒はグラリと傾き――
 ――ズシーン!
 そして倒れた。
 白組の完全勝利である。
「こ、こうなったらあいつだけでも道連れに」
「おいおい、どこに行く気だ?」
「ここまで手加減してた分容赦無くいくとしますか♪」
 最後の悪あがきを試みようとする衛兵達だが、もはや無駄な努力。
 ルール無用の戦いとなれば、能力者達の敵では無いのだ。


「ばんざーい! ばんざーい!」
 グラウンドで胴上げされるアヤ。
「ほんとにありがとう。こんなに運動会が楽しいと思ったのは初めてです!」
 興奮冷めやらぬ様子で、皆と抱擁やハイタッチを交わす。
「運動が苦手な幸奈でも、一生懸命やれば何とかなっちゃいますの。だからアヤさんも、苦手だとか気にしちゃいけないですの」
「ええ、仲間と協力したら優勝だって出来ちゃうんです。だから僕は運動会って大好きなんです」
 幸奈とマサトの言葉に、大きく頷くアヤ。
 一生懸命頑張る事。仲間達と力を合わせる事。勝敗に関わらず、そこには運動会の醍醐味が有るはずだ。
「この機会に、コンタクトデビューはどうだろうか?」
「コンタクトですか?」
 眼鏡が壊れてしまった為、今は素顔のアヤを見て提案する勇人。
 良く見ればかなりの美少女だ。
「もっとお洒落な眼鏡にするとかね。アヤちゃんは可愛いんだから、もっと自信を持って♪」
「……あ、ありがとう」

 こうして、一足先にアヤの夢を後にする能力者達。
 運動会という苦手を克服したことで、アヤは少し前向きになれた様だ。もう同じ悪夢に囚われる心配も無いだろう。
 優勝カップを抱え、手を振る彼女を見て、能力者達はそう確信した。


マスター:小茄 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2009/11/07
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