≪朝の扉≫銀と騎士団とお日様のエプロン


<オープニング>


「早朝の散歩は、やっぱり気持ちいいな」
 清清しい朝。紗白・すいひ(幻日の紡ぎ手・b27716)は、人気のない森林公園をのんびりと散歩していた。
 広場に出ると大きく手を伸ばして、早朝の少し冷えた空気を肺いっぱいに吸い込む。その直後、すいひは謎の騎士団に囲まれていた。
 騎士甲冑とサーコートで身を固め、突撃槍を手にしたその騎士団は、すいひが誘い出そうと考えていた騎士団に他ならない。
「お、出たね……。うん、これは1人じゃとても勝てる気はしない」
「わざわざ詠唱銀を見せびらかすように歩くとは、愚かとしか言いようがないな」
 リーダーらしき男が凄んだ。身長は2メートルはあるだろうか。がっしりとした体格をしていてかなり迫力がある。「鮫」という表現が似合いそうな、獰猛な顔つきだ。
「愚かなのはどっちかな?」
 すいひは動じない。その冷静ぶりに、鮫面のリーダーは怪訝そうに眉根を寄せた。
 その顔を見て、すいひはニヤリとする。
「みんな、始めるよー!」
 すいひが合図すると、木々の陰に潜んでいた仲間たちが一斉に姿を現す。朝焼けの光に照らせれて、翻るはエプロン。
「エ、エプロン?」
 鮫面のリーダーは、呆気に取られたようにその集団を凝視する。
「そうだ!」
 すいひは凛と言い放つと、どこからともなく取り出したエプロンを身に着ける。「空色に太陽マーク」のエプロンは、彼らが結社≪朝の扉≫に所属している証である。
「は、はろー」
 少し緊張した面持ちで、瑠璃・未羽(倖せの足音・b29815)が騎士団に挨拶する。
「なに友好的に挨拶なんてしてるの? それに発音がなってませんわ」
 英国人の血を引く風見・莱花(高雅なる姫君・b00523)は、ちょっと発音が気になるらしい。
「でもこの人たち日本語喋ってるよーな」
 すいひとのやり取りを聞いていた獅竜・瑠姫(スターメイガス・b00740)が小首を傾げる。確かに、流暢な日本語を話していたような気がする。
「日本語勉強したんでしょうか?」
 古史・庵(呪術使い・b56357)が「うーん」と唸る。
「勉強したんだろうね、ちょっと尊敬」
 リュート・レグナ(しあわせの唄・b41973)が尊敬の眼差しを向ければ、
「日本語おじょうずで、春子はたすかります」
 佐倉・春子(さくらのうた・b56291)はちょこんと頭を下げ、御礼まで言っちゃってる。
 その横で、水瀬・桐花(西風の魔女姫・b01667)が頭を抱えていた。

「あれは、貴公の仲間か?」
 どこか同情めいた視線を、鮫面の男はすいひに向けた。
「……と、とにかく、みんな行くよ!」
 すいひはイグニッションカードを取り出した。
 謎の騎士団とエプロン集団との戦いが、今開始された。

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参加者
風見・莱花(高雅なる姫君・b00523)
獅竜・瑠姫(スターメイガス・b00740)
水瀬・桐花(西風の魔女姫・b01667)
紗白・すいひ(幻日の紡ぎ手・b27716)
瑠璃・未羽(倖せの足音・b29815)
リュート・レグナ(しあわせの唄・b41973)
佐倉・春子(さくらのうた・b56291)
古史・庵(呪術使い・b56357)



<リプレイ>


 朝の柔らかな光の中、徐々に秋色に変わりつつある森林公園。
 対峙する14の影。
 6つの影が1つを取り囲み、僅かに離れた位置に7つ……いや、8つの影。
「大体ショップ結社にケンカ売るなら、まずは何か買ってもらわないと!」
 自分に不利な状況ではあるが、後ろには心強い仲間がいる。紗白・すいひ(幻日の紡ぎ手・b27716)の表情に焦りの色は見られない。
「我らに有益な品があるのなら、考えないでもない」
 鮫面の大男が口元だけ歪めて笑みを作る。本気で笑っていないのは目を見れば分かった。
 騎士団が直ぐに仕掛けて来ないのは、様子を窺っているに他ならない。多対一の状況ならば強硬手段を取れるが、相手の方が人数が多い状況で、下手に動いて隙を作るわけにはいかないと考えているのかもしれない。
「……囮作戦とは、姑息な真似を」
 鮫面の騎士団のリーダー―――ザンギーは肯くと、すいひを憎々しげに睨め付けた。
「姑息な真似? お互い様じゃないかな」
「……ふん。成る程、確かにな」
 ザンギーは苦笑する。まだ仕掛けて来る様子はない。ザンギーの視線の先には、すいひの仲間たちがいる。逆光になっている為か、やや眩しげに眼を細めている。
「戦う前に、あなたの名前を聞いておきたい。私は紗白すいひ」
「我が名はアーク・ザンギー。……貴公のその詠唱銀。我らが貰い受ける」
 ザンギーが突撃槍を構えた。それが合図だった。
 すいひを囲んでいた残りの5人の騎士たちが、一斉に間合いを積めてきた。
「すーちゃんを救うよ!」
 言うが早いか、獅竜・瑠姫(スターメイガス・b00740)が前方の騎士に向かって一直線に駆ける。
「りょうかい!」
 水瀬・桐花(西風の魔女姫・b01667)はその手に、雷の弾を生み出す。
 ザンギーに視線を固定したまま、素早く後ろに下がったすいひは、瑠姫の足音を耳で捉える。
「!」
「銀操刃・火華」に不死鳥の力が宿り、真後ろから間合いを積めてきた痩せ男の甲冑に、振り向き様に叩き込まれた。
「ぐがっ」
 低い姿勢で痩せ男の鳩尾(みぞおち)辺りに一撃を見舞ったすいひは、男が呻いたと同時に顔を上げた。その視界に、痩せ男の背中に必殺のクレセントファングを浴びせた瑠姫が、弧を描いて旋回する様が飛び込んできた。視線が合った瞬間、瑠姫はニコリと笑みを作る。エプロンが靡く。
 直後、桐花の雷の弾が痩せ男の背中で弾ける。
「倒れない!?」
 かなりのダメージを受けたはずなのだが、痩せ男はその場で踏み留まった。
「ぐっ」
 背中に衝撃が走る。一瞬呼吸が止まり、すいひは膝を突いた。太陽のエプロンが、鮮血にまみれた。
「躱された……!?」
 風見・莱花(高雅なる姫君・b00523)が、思わず目を見開いた。すいひを助けようと放った茨が、残念ながら誰も捕らえることができなかったからだ。
 それはパラライズファンガスを放った瑠璃・未羽(倖せの足音・b29815)も同じで、
「ぬいぐるみ係隊、隊長の名において成敗しますの!」
 自信を持って放った技だったが、命中精度が低かった為に回避されてしまった。
 すいひに迫る5人の騎士のうち、動きを止めることに成功したのは1名のみ。リュート・レグナ(しあわせの唄・b41973)が投じた眠りの符が、騎士団の女性騎士を眠りへ誘うことに成功しただけで、結果、4人がすいひに攻撃を加えた形となった。
「すいひお兄さん! いま、春子がおたすけしますの」
 佐倉・春子(さくらのうた・b56291)は直ぐさま土蜘蛛の祖霊を呼び出し、すいひの身に降臨させる。降り立った霊は、彼ら力を与えると共に、傷口を僅かに塞ぐ。更に古史・庵(呪術使い・b56357)が投じた治癒の符が、流れ出る血を止めた。
「集団で襲い、銀を奪う不届き者は許しません。そのような者が騎士を自称するとは呆れます」
 ザンギーは庵のその言葉が耳に入ったのか、一瞬、苦虫を噛み殺したような表情をみせたが、直ぐに平常心を取り戻す。
「……回復手が2人。躱せたとはいえ、厄介な足止めの技の使い手もいるか」
 初めの位置から動かず、成り行きを眺めていたザンギーが冷静に状況を分析する。
「紗白すいひを包囲の外に出すな。次で決めて詠唱銀を奪い、即座に撤退する!」
 ザンギーの号令を受け、騎士たちは再びすいひへの集中攻撃を敢行する。


「そうはさせません!」
 瑠姫の右足が、再び三日月の弧を描く。狙いは先程の痩せ男だ。何か事情あって詠唱銀を集めてるのか分からないが、人様のものを強引に奪おうとすることは絶対許されない。瑠姫の気合いが強烈な衝撃を生む。
 瑠姫の動きに合わせて、桐花も再び雷の魔弾を放った。相手を観察してその後の対応すべく、じっくりと動きを見ていたかったが、まずはすいひを救出しなければならない。仲間の足止めは殆どが不発だ。ここで脱出路を確保してあげなければ、幾らすいひでも、次の集中攻撃には耐えられないかもしれない。
「早くこっちへ」
 痩せ男が倒れ、包囲の一画が崩れた。足止めよりここは攻撃と、莱花が森王の槍を放ちながら、すいひを呼び寄せるべく叫ぶ。詠唱銀を奪われない事を最優先と考える莱花は、早くすいひの安全を確保したかった。
「人の物を盗んではいけないって、教えられなかったの? もう少しお仕置きが必要そうね」
 莱花が凄んでみせた。
「……逃すな!」
 ザンギーが一喝する。手を翳すと、仲間たちが靄のようなものに包まれる。味方全員の攻撃時の射程をアップする、彼ら独特のアビリティだ。これで、後退するすいひをその場にいながら攻撃できる。
 そうはさせじと、未羽は麻痺のキノコを投げた。放物線を描いて飛んだキノコは、ちびデブの少年の頭に当たって胞子を撒き散らした。陽の光が邪魔をして、飛んで来るのが見えなかったようだ。
 リュートの二枚目の導眠符は、ザンギーに次ぐ大柄な男を眠りへと誘う。
「それを使うのを待っていました」
 庵は最年少の少年に視線を固定し、呪いの言葉を呟く。
 呪いの言葉は、少年騎士の体の自由を奪う。
「ラズィーヤ!? あの小娘は呪術使いだったか……。いつまで寝ている! ノーマ!!」
 ザンギーは眠りに落ちている女性騎士に向かって怒鳴った。その表情からは、焦りのようなものを感じる。握ったように見えたペースを、手放してしまったからに相違ない。
「どろぼうは、ぬすっとの、はじまりです。てーんちゅうー」
 春子の元気な声とともに、「はるまき」から破魔矢が打ち出された。狙いは最年少の少年騎士―――ラズィーヤだ。破魔の矢は、ラズィーヤの右肩を貫いた。
(「人の物をとるのは、とてもいけないこと。かかさまや、ととさまや、先生も言っていました」)
 自分もそう思う。春子の強い意志が破魔矢に乗る。ラズィーヤの右肩に突き刺さった矢は、予想以上ダメージを与えたようだった。
「……起きたか、ノーマ」
「はっ。面目御座いません」
 ようやく眠りから覚めたノーマは、ザンギーの元へ駆け寄ると申し訳なさそうに頭を垂れた。
「ノーマは後ろにいてくれ。またお前が行動不能に陥ってしまっては、俺たちが困る」
 まだ眠気の残る頭を激しく振りながら、大柄の騎士が大股で歩み寄ってくる。
「どうします?」
 ザンギーの横に並ぶと、彼に指示を求めた。
「やつの傷はまだ完全に癒えていない。もう一度集中攻撃を仕掛ける」
 眠りに落ちていた2人は目覚めたものの、麻痺を受けている2人はまだ動けない。攻撃を仕掛けるにしても、3人しかいない状態だったが、撤退するのはまだ早いという判断なのだろう。
「了解」
 大柄の騎士は突撃槍を構えた。

「来るな……?」
 敵の動きを見て、すいひはそう判断する。受けた傷はまだ回復しきっていないが、前衛としての勤めを果たすつもりでいた。瑠姫と桐花が左右に陣取った。その後ろに未羽と春子。2人の後ろに、リュート、莱花、庵。そして、騎士団の射程外の位置にいる、リュートのパートナーであるケットシーのルルは、その位置から彼女に魔力を供給して援護している。
 見た目は自分たちに有利な状況になりつつあった。しかし、こちらはあらかた手の内を見せてしまった感があるのに対し、相手の全貌はまだ掴めていない。こちらを警戒してか、騎士団は自分たち特有のアビリティしか使っていない。どんな攻撃方法を隠し持っているのか、分からない状態だった。複数の相手の動きを止めることに成功したのは幸運だったが、それ故に情報を得ることができなかった。
「先手必勝です!」
 その素早さを生かし、相手より先に瑠姫は掌に炎を生み出す。桐花の手には先程よりも大きな雷が作られる。一呼吸置いたことで、魔法陣を展開するだけの時間的余裕があったからだ。
 ターゲットは最年少の騎士。炎と雷が撃ち出され、すいひのジェットウインド、リュートの呪殺符、春子の破魔矢が続く。この怒濤の攻撃には、最年少の騎士は一溜まりもなかった。
「!?」
 気流を撃ち出したすいひの眼前に、3つの人型の靄が迫る。
「うわっ」
 凄まじい衝撃に、すいひの体が吹き飛ばされる。すぐ後ろにいた未羽と春子が、その小さな体を懸命に広げて、2人掛かりで受け止めた。
 攻撃に加わらなかった庵が、治癒の符を投げてすいひの受けた傷を塞ごうと試みる。
「符が!?」
 治癒の符が、すいひの体に触れる直前で弾かれる。
「これは……」
 すいひの左胸には刻印が打たれていた。それは、治癒の力を打ち消す呪われた刻印だった。
 ちびデブの少年騎士が麻痺の胞子を自らの力で振り払うと、靄を発生させた。自らの攻撃射程を伸ばし、味方と連携する為だと思われた。
 次なる攻防が、戦局を大きく左右する攻防となるだろうことは、誰しもが予想できた。


「団結力じゃ負けないわ!」
 莱花が気合いと共に植物の槍を投げる。ザンギーの手前で地面に突き刺さると、衝撃を伴って爆裂する。
 騎士団の狙いはあくまでもすいひだった。ならば守りきるまでと、仲間たちが一致団結する。太陽が描かれたエプロンが、そんな彼らを誇らしげに見守る。
 激しいアビリティの応酬。《朝の扉》の面々の次なる狙いは、麻痺を打ち払ったばかりのちびデブの少年騎士。少しでもダメージの残っている相手を集中攻撃し、確実に倒す作戦だ。
 対して騎士団は、今まで温存していたアビリティでの攻撃に切り替えてきた。ザンギーと大柄な騎士サーリフが操るのは黒き蟲の力。固まっていた彼らは、ルル以外全員が暴走する黒燐蟲たちの餌食となる。女性騎士のノーマは、華麗なステップを踏むと連続攻撃を叩き込んできた。近くの敵を攻撃する技だったが、それは靄を通してすいひの体を打ち据える。
「ぐぁっ……!」
「すーちゃん!!」
「すいひお兄さん!!」
 禁癒の刻印を打たれていたすいひは、この攻撃には耐えきれなかった。気を失わないまでも、最早戦いを継続できる状態ではなかった。
 騎士団にも被害がなかったわけではない。集中砲火を食らったちびデブの少年騎士も、戦闘継続は不可能だった。
 残り3人となった騎士団は賭に出た。その巨体を揺るがし、ザンギーとサーリフが突進してきたのだ。土煙を上げて突進してくる様は、正に猛牛。
「詠唱銀を守るわよ!」
「ここを凌げば勝てるわ!」
 すいひが倒れたことで、動揺の色を見せる仲間たちを莱花と桐花が叱咤する。2輪の可憐な花は、ただ美しいだけではない。敵の攻撃に備え、若き者たちを支え、そして導く。
「おお……!!」
 腹の底から絞り出すような声を上げ、サーリフが瑠姫目掛けて突撃してくる。
「小さいからって甘く見ないで!」
 迎え撃つ瑠姫は、サーリフよりも一寸早く、その右足が三日月の弧を描く。
「ち、ちびっこにはちびっこの戦い方がありますのっ!」
 瑠姫の陰から飛び出してきたのは未羽。クレセントファングを連続で浴びたサーリフは、苦痛に表情を歪めた。
「だめですー」
「は、春子ちゃん!」
 倒れているすいひの前に立ちはだかる春子。猛牛の如く突進してきたザンギーは、彼女の目からは小山のように見えたろう。春子にとって幸運だったのは、ザンギーの狙いが詠唱銀だったということに尽きる。ザンギーは春子を無視し、すいひに迫る。
「させません!」
 庵が呪詛を唱える。ザンギーの体の自由を奪うことができたのは一瞬だけだったが、それでも彼に詠唱銀を諦めさせるには充分な攻撃だった。
「作戦は失敗だ! サーリフ、ノーマ。お前たちは退け!!」
「ザンギー様!?」
「行け!」
 ザンギーは突撃槍を振り回し、サーリフに次なる攻撃を仕掛けようとしていた瑠姫と未羽を牽制し、桐花の華麗なロンドを受け止める。
「御免!」
 サーリフは身を翻すと、一気に駆け出す。途中、倒れていた痩せ男を抱え上げる。
「ビルトンとラズィーヤは無理よ!」
 ノーマの言葉に唇を噛むと、サーリフは痩せ男を抱えたまま離脱する。
 追撃はザンギーがその身を盾にして断ち切った。怒濤の集中攻撃を浴びた騎士団のリーダーは、ドサリとその場に倒れた。


「おなわを、ちょうだいしましたー」
 春子が高らかに宣言する。捕らえた騎士はリーダーのザンギーを含めて3名。快勝だった。
 騎士たちをロープで縛り上げると、《朝の扉》の面々は持ち寄ったお弁当を広げる。
「そろそろ朝ご飯にしよー!」
 すいひの傷は深くはなかった。痛みは残っているものの、仲間たちにお弁当を配るくらいなら問題はない。
「朝から凄い運動ー、もうお腹ぺっこぺこ!」
 瑠姫がお腹を押さえる。
「わ、お弁当美味しそう! 天気も良いし、ちょっとしたピクニック気分だね」
 リュートは早速お弁当を食べ始めた。自分にも分けてくれと、ルルがお強請りしている。
 未羽がテキパキとジュースを配って歩く。その辺りのチームワークも見事だ。
「私もお弁当作ってくるんだったわね」
 桐花の作るお弁当も少し気になるが、それはまたのお楽しみといったところか。
「私はたい焼き持参しました。中身は勿論、つぶあんです」
 庵は笑顔でたい焼きを披露する。何故かがっかりする面々。
「……蹴りますよ?」
 庵は不満らしい。
「同じ能力者なら仲良くしたい。でもそれは難しいかしら?」
 捕虜となった騎士たちに歩み寄り、莱花は問う。しかし、彼らは頑なに口を閉ざす。すいひが、詠唱銀を集めている理由を問い質した時も同じだった。
「お腹空いたでしょう?」
「食べさせてあげましょーか?」
 すいひと瑠姫がお弁当を運んできた。
 ザンギーはジロリと2人を見やった後、
「いただこう」
 ニコリと笑って答えた。
「そのエプロン、後で人数分購入しよう」
「まとめ買いしても、割引はしないよ?」
 朝の光に包まれて、死闘を演じた者たちは、今は晴れやかな笑いを浮かべる。いつか手を取り合う日が来るのか、それとも相対する日が来るのか、それは誰にも分からない。
 だが、この一時だけは、一つとなれたような気がした。


マスター:日向環 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2009/11/03
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冒険結果:成功!
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